われても末に逢はむとぞ思ふ

読み終えた後、溜息をつきました。

やっと呼吸が出来たという方が正しいでしょうか。

物語に描かれているのは禁断の恋。
兄妹の尊い想い。

ライトノベルにありがちな"ニヤニヤ、ムフフ♡"の妄想を楽しむよう内容ではなく、
完全なシリアスものです。



叶わぬ事がわかっているからこそなのか、
これほどまでに狂おしい愛を叫び綴った物語を始めて読んだ気がします。


とにかく熱量が凄い。

その想いの強さに圧巻させられました。


幾度もの雨を浴びても、
幾年月もの季節が移ろっても、
頑なに開くことのなかった蕾がやっと花開いたのに、
そのひとひらはまるで散る時を知っているかのように儚く、

されど秘めたる情熱は冷める事のなく、
むしろ存在価値すらもお兄様との思い出が全てとも取れる彼女にとっての幸せを思うのなら、冷ます必要などなく、

覚ます権利など誰にもない。
ましてやそれが交わる事のなかった両想いであったのなら…。


あゝ、これ以上は語るまい。

読んで貴方様自身の心で感じるのが宜しいかと。


私は鳥肌が立ちました。


そんなとてつもなく途方もない切なさに、
物語の最期を締める挿入歌が敢えて、


"瀬をはやみ 岩にせせかる 滝川の"


までなのがまた何とも胸に染み入る恋慕の物語です。

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