自然と現実の厳しさと、小さな希望

 普段なじみのない新石器時代、シベリア。その時代に生きる人々の様子がとても緻密に描き出され、物語が進んでいきます。その知識と表現に感銘を受けました。読み進めるごとに今まで知らなかった世界が広がっていき、彼らのいとおしいほどに穏やかで慎ましい暮らしがいきいきと目の前に見えるようです。素敵です!
 その一方、物語では自然と現実の厳しさ(小説の中で現実というのも変な話ですがそれだけ真に迫っています)が容赦なく登場人物を翻弄していき、胸に迫って切なくなります。ままならないこと、取り返しがつかないこと…その厳しさに変わらざるを得ない主人公二人と周りの人物たち。けれどその中で人と人、人と人以外のものとのささやかな心の交流が何か小さな希望となっていて、ノンフィクション作品のような面白さを感じました。
 また、動物たちのしぐさの描写が細かく、特に犬たちはしっぽの様子や鳴き声がかわいくて仕方ないです!
 ハラハラしながらも、今後の展開を楽しみにしています。

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