第64話 Dear My Friend


 Dear My Friend


 ケイ、急に姿を消したことを許して欲しい。

 なにしろ、全ての事件を無かったことにする為には時間が無かったし、ともかく急いで私自身も君の下から消えなくてはいけなかったのだ。

 だがどうか悲しまないで欲しい。

 君の居る世界と、私の居る世界は本来交わるべきではないのだから。

 君と過ごした数日間は、中々Excitingであり、私の大切な思い出となった。

 もしかすれば、外なる世界からの干渉が消えたことで、私との記憶も風化し、何時かこのメールの意味もわからなくなる時が来るかもしれない。

 そうなったらこのメールはためらわず消してくれ。

 それは君があの冒涜的な神々によって日常を脅かされた事件から立ち直ったという証であり、君が新しい出会いや別れを体験し続けているということなのだから。

 

 しかしそれでも、どうしようもない困難や君たちの手に余る途方もない事態が起きてしまったならば、私はまた現れることだろう。

 君が忘れていても、それだけは間違いない。

 だから、君と私が守った神無き世界で力強く生きてくれ。

 私のような不生不滅の存在と違い、君ら人間は生きていかねばならぬのだから。


 君の親愛なる友人、チクタクマンより


 God be with ye

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

邪神任侠~仁義なき探索者~ 海野しぃる @hibiki

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る

この小説のタグ