星が5個あったらよかった。

病に臥せった沖田総司にどうしても、何か美味しいものを食べさせたい。京育ちの町娘花乃は、ただただ心を砕く。
ただそれだけの話が、きりっと物語として立つのは、その背景にある「死」が、かっちり描かれているからだ。
死があまりにも近くにある時代の話だからこそ、「生」のために必要な「食べる」という営みが際立って美しい。

史実を無理なく混ぜ込みながら、緊張感のある文体で、揺れる心情をすっきりと描く。さらりと書き込まれているが、中医学の話も面白かった。

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