走狗の末路

唐の武則天の時代の後宮が舞台。
この時代に関する豊かな知識に裏打ちされているのだと思いますが、華麗な文章描写が大唐帝国の栄華を鮮やかに彩ります。
が、しかし。
後宮というのはハーレムですから、華やかな見た目とは裏腹に、内側では恐ろしい権力闘争があります。皇帝の寵愛を受けた女に対する羨望嫉視がおどろおどろしく渦を巻きます。
武則天というのは中国史上唯一女帝になった人物なわけで、当然、後宮の中でも最強であり最凶な人物。
本作の主人公は、その武則天の懐に飛び込んで行って成り上がりを目指す、というもの。
主人公が上手く立ち回って成功するたびに、次に起こる悲劇を予想できずにいる主人公の姿にやきもきしながら、盛り上がっていって最後に……というしっかりした構成の物語を楽しめます。

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