タイトルの言葉がつげられるとき、きっとさわやかな風を感じます。

 「退屈」をめぐる、高校教師と女子生徒の物語です。
 不穏な空気にみちた下り坂や、終盤にかけてたかまる緊張感、そして最後にひろがる風景と、スポットライトのあてられた場所ごとにちがう景色をみているうちに、気づけば物語のふかいところへといざなわれていました。
 「退屈」にとらわれてしまう可能性は、きっと誰にだってある。そこからみえる灰色の景色に色をつけるのは、一人ではむずかしいかもしれないけれど、国立先生や千早先生、そして月島さんが見つけだした方法のために、人は言葉を手にいれたのだとおもうのです。

その他のおすすめレビュー

望月結友さんの他のおすすめレビュー41