第5話 READY?!
ここは、私立オズウェル魔法学園 廃墟と化した講堂
教員達も全員避難したはずだったのだが、逃げ遅れたのだろうか、腰を抜かし地べたに座る女性らしき人影が1人。その時。
再度解き放たれた【幻想獣・タイタン】は、
荒れた息づかいをし、自身の拳を大きく後ろへ振りかぶり、溜まりに溜まった怒りを解き放つかのように拳をその者にぶつけた。その時。
自身の生命の終わりを直感し、顔を庇うように片腕を出し、眼をつむり待つのだが、死に誘う衝撃がいつまでたっても来ないのを不思議に思い、恐る怖る眼を開た。その時。
彼女は、唖然とした。。。
自身と化け物との位置が掛け離れ、半径2〜3m在ろうクレーターが出来、その中央部には、美しい長髪の黒髪を後ろで束ね。そして。
時おり廃虚と化した壁の隙間からの風で、草原を走る馬の鬣のようになびかせ、左手には槍を携え、自身の右手よりひとまわり以上に大きい拳を受け止めている『少女』の姿。そして。
場所同じくして、白目を向いて気絶している『少年』が1人 。その後、何の音もなく転移して来た魔女のコスチュームを着た『少女』が、体格差20cm以上もあろう『少年』担ぎ上げ。そして。
「???回収完了」____________「了解ですわ!」→
耳に手を当て念話をする魔女のコスチュームを着た『少女』が1人。
「こっちも、無事救出完了」_________「了解ですわ!」→
立ち膝を支点にし、彼女を細い腕で抱きかかえながら念話で誰かに伝えた後、彼女に向い『にこっ』と笑みを浮かべたのだった。そして。
時おり廃虚と化した壁の隙間からの夕陽の光に照らされ、金色の長髪が、優しく輝いていた。
「大丈夫?」
「えぇ、ありがとうございました。」
彼女は『少女』に自身の無事を伝え。
「立てる?」
「はい」
彼女は、そっと立ち上がると『少女』に一礼し、この子達を止めても無駄だろうと思い、その場をあとにした。そして。
本来なら止めるべき立場なのだが、今にも、あの化け物を射殺さんばかりの表情をした彼女達の眼がそうさせたのだろう。
このやり取りを見ていた織姫は、ほっと胸をなでおろし、左手に持っていた槍の矛先を下げた。
この出来事が起こるほの少し前の講堂
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ハヤテ学園長が先生方を説得 残すところ、彼女達と化け物のみとなった講堂
「はやく、はやく」
と言い、身体をウズウズと震わせ、その場でじたんだを踏むアリス。その隣では。
「ちょっと待って!お姉ちゃんの速さだけが取り柄のその子と違って、私のはデリケートなの!!」
ドロシィがぶつぶつ文句を言いつつも、デバイスのコンソールパネルを呼び出し、『
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このスタンプリスト、創り上げた
因みに陣自体は使い捨て、リストに戻す時は『
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双子の間を分け入り、物凄い勢いで通り過ぎた『少年』の影が横切り、『きゃ』とドロシィが小さな悲鳴を上げ、アリスに、もたれかけた。そして。
「アリス、ドロシィ。お先〜っ!」
「ちょっ!バカまて」
アリスの制止を振り切り現れたのがクラウドである。
「喰らえ!化け物!俺様の必殺技!!」
タイタンが、解放直後という事もあり油断し
ていたクラウドが、瓦礫の山を駆け上がり、頂点に来ると、頭部めがけて全力で飛び上がり、ソードデバイス【百式】を、大きく後ろに振りかぶるのだが、激昂状態の敵にまんまと見つかり『えっ?』と腑抜けた声を上げた。彼は。
敵の攻撃を避けようと奮闘するのだが、時既に遅く、彼の目の前には大きな手があったのである。そして。
まんまと『捕獲』され、大きく後ろに振りかぶり、自身の手に持つそれを投げた。そして。
思い切り壁に打ち付けられた彼は、白目を向いて気絶したのだった。何の脈絡も無く突っ込んで行った結果がこれである。その時。
事の一部始終を間近で見ていたアリス、ドロシィ達双子の姉妹は『あちゃ』と頭を抱え、北側出入り口の奥に位置した傍聴席付近で目撃していた織姫は『やれやれ、クラウド殿には困ったものでござるよ』と頭を抱えたのである。
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執事と共に避難後、南側2F傍聴室で講堂内を見渡せる位置で、ハーティアが1人。スコープ越しで見ていた
「私『無鉄砲』って言葉が似合う人、はじめて見ましたわ!」
と感想を述べたのだが、ハーティアが見ていたのは、彼の、事の顛末だけではない。それはアリス、ドロシィ、織姫の位置からでは瓦礫の死角に入り発見出来ないであろう、要救助者である女性らしき人影を見つけていたのである。
「アリスちゃん、ドロシィちゃん、織姫さん」__「「なーに、はーちゃん」_____「なんでござろう、ハーティア殿」→
ハーティアは念話を使いアリス、ドロシィ、織姫3人に連絡を入れた。
「要救助者を発見いたしましたわ!」____「「何処?ここからは見えないね」→
とアリス、ドロシィは見ていない事を伝え、
織姫は、最初驚くも自身も見ていない事を伝えた。そして。
・・さて、ここからどうしましょう・・
とハーティアは思考する。
・・幸い敵には、まだ発見されてませんけど時間の問題ですわね・・
ハーティアは思案する。最適だと思える解答を探す為。自身と要救助者 の位置関係。敵との距離を考慮した結果。
「私の位置からだと、ギリで転移しても、敢え無く敵に見つかり撃破されかねないので、ここは、スピード重視でアリスちゃん、織姫さん要救助者の位置情報を送るので確保してきてください。それとドロシィちゃんは、いつでもいいので、あの、お頭の弱い男子生徒の位置情報もついでに送るので回収して来てください。」
とだけを3人に伝え、通信を切り、ドラグノフのコンソールパネルを呼び出し、アリス、ドロシィ、織姫 それぞれに、各位置情報を送ったのである。
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「「あ、来た」
アリス、ドロシィは『どれどれ』とクロノス、スケアクロウのコンソールパネルを呼び出しハーティアからの位置情報を確認したのである。
「あれ?もしかしたら私達の方が近いんじゃあ」
ハーティアからの位置情報を確認した瞬間 。ドロシィは何かに気づいた。
そう、避難後、アリス、ドロシィは、東側にある非常通路出入り口扉の付近でもっともタイタンに近い位置にいたのである。
「お姉ちゃん!ちょっと、飛んで来る!!」
と言ったドロシィはコンソールパネルを開いたまま、『
《standby Ready?》とデバイスに搭載されてるナビの音声が聞こえ、左手に構えていたスケアクロウの下に二重丸の中央を黄色く塗り潰した魔法陣が浮かび上がり、石突部分には、バーコードが出現。
聖火にも思わせるトーチを中心に囲むように、古代文字とも見てとれるものが円を描き出現したそれを、スタンプを押すような動作をし、バーコードを魔法陣に重ね。
電子基盤の配置図のような光の線が浮かび、波紋のように広がる。そして。
《
そして、二重丸を黄色く塗り潰した魔法陣には、『complete』と文字が浮かび、間を開けずに『GO』と書かれ、【
【
しばらく飛んだ後魔法陣が消え、自身の姿が見えたらまずいと思い、次の魔法使用する為上空で
今度は、スケアクロウの下では無く前方に、再び二重丸の中央を黄色く塗り潰した魔法が浮かび上がり、再び石突部分にバーコードが出現し、そのまま加速させ、魔法陣を中央を潜るように通過し、ドロシィ、スケアクロウの姿消えたのである。
因みに、使った事のある魔法陣は、履歴に新着順にリストアップされ、デバイスに搭載されてあるスキップ機能を編集すれば次回からは『
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「ちょ、待て!私飛べないんだてば!!」
慌てて飛翔していき、その場に置いてけぼりをくらったアリスは、しばらくの間その場でガミガミと文句を言い、ジダンダを踏むのである。
「しゃあない待つか」
天井が崩壊して高く積み上げられた瓦礫を見上げ独り言ちするのである。
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「はーちゃんの情報だと・・この辺かな?」
天井付近まで上昇したドロシィは、正確な敵の位置 救助者の位置を確認したのである。
「鬼さん、みーつけた☆」
上空から目標物を発見し、その場でUターンをし、一度 魔法を『
し、元の状態へと戻ったのであった。そして。
上空から、アリス、織姫にハンドシグナルで正確な場所を伝え、その場で待機するドロシィ。だが。
・・見つけたのはいいけど・・彼女・・ちょっとまずいんじゃない?・・
それはまるで、獲物を探し森を歩く狩人のように徘徊していたそれは、救助者である女性教員らしき人物に接近していたのである。そして。
ドロシィは、瓦礫の山のせいで非常口への退路を絶たれ、身動きすら出来ずに、たじろんでいた彼女を上空から見て、まずいと思った。その時。
地上から、高速で接近する人影が見え、その者は、スケアクロウを右手で掴み、鉄棒の要領で大車輪をし、乗り込んで来た人物が1人。
「アホ姉!!危ないでしょがー」
ドロシィが、唯一『姉』と呼ぶ人物。そう、アリスである。
「ごめんて。救助者どっち?」
と聞くアリス。
「あっち」
と指し示したドロシィ。
「了解!!」
と言い、
《standby Ready?》とデバイスに搭載されてるナビの音声が聞こえ、【
そして、両手でスケアクロウを掴み、木々に止まるコウモリの体勢のようになりつつ、車のアクセルを踏むような動作をし、バーコードを魔法陣を重ね。その後。
電子基盤の配置図のような光の線が浮かび、波紋のように広がる。
《
そして。二重丸を青色に塗り潰した魔法陣には、『complete』と文字が浮かび、間を開けずに『GO』と書かれ、【
「こんなところで!
彼女の叫びは、虚空を切り、アリスの姿はどんどん地上へと消えていくのだった。
「・・おっと、こんな事をしてる場合じゃないや。私も、あほクラウドを回収しなきゃ!」
と思い、再び
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時は少し遡り織姫はある問題を抱えていた。
「これ、どうするでござるよ」
それは、織姫の目の前には、天井まで届かんばかりの瓦礫の山 しかも、救出経路が絶たれた状態。何故か。
先のクラウドのおかげで、講堂が大きく揺れ、ドロシィのハンドシグナルを見た直後に、ギリギリで均衡を保っていた建物の一部が倒壊。という分けである。
「やれやれ、まったくどうして、これはもうクラウド殿のせいでござる」
・・まあ、なってしまったものは、仕方がないでござる・・
と思い、【蜻蛉切】のコンソールパネルを呼び出し、再度位置情報を確認したのである。
「ふむ、これならいけるやもしれん」
ある事に気付いた 織姫。
・・拙者の位置と目標物の位置・・?!
「こやつを真直ぐな線で結ぶように射抜けば問題無いでござるな」
目の前の瓦礫の山を見上げ独り言ちし、
《standby Ready?》とデバイスに搭載されてるナビの音声が聞こえ、【
スタンプを押す動作をし、魔法陣とバーコードを重ねると、電子基盤の配置図のような光の線が浮かび、波紋のように広がる。そして。
《
織姫の目の古代文字に似たものが螺旋を描き現れ、その中央部には高密度に圧縮された空気を、半径40cm程度の球体へと成長させ、魔法陣には『GO』と文字が浮かび上がり、ビリヤードの球を打つ時のような体勢のまま【
織姫が放った『
「ふむ、これで通れるでござるよ」
と言い、再び魔法陣を発動させ新たな『
【
暴風を見に纏いし『織姫』もまた『加速』する。
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