第3話birthday!?

ここは、私立オズウェル魔法学園 講堂

二年生の為に用意された傍聴席の一角に双子の姉妹が座っていた。


「さっき感じた、いやな空気本当なんだった

んだか」

「パパや、他の先生方も気付いたみたいだね

雰囲気がピリピリしてる」

「姫ちゃん達、風紀委員もすごく警戒してるし」

「ハーちゃんも、気付いたみたいだけど、いつも通りかな」

「「あれ?ちょっと笑ってる?」


2人が、こんな会話になるのも無理は無い、不思議なくらい何もなさすぎるのだ。そして

式典は、滞り無く進んでいき、生徒会である ハーティアの祝辞の出番がやってくる。


「初めまして新入生の皆さん!わたくしが生徒会長のハーティア・フォン・グリムワールですわ!」


と言って壇上で挨拶をするハーティア。


「まず、始めに新入生に言いたいことがあります。」


会場内が少しざわつくのだが、真剣な眼差しになり彼女の視線に釘付けになり1年生達。


「それは、中途半端な覚悟や遊び半分で入学して来た方々は、当学園には要りませんので即刻!退学届けを提出してください。」


と言って厳しく激励するハーティア。


「何故なら、三年生になると、魔獣討伐の実地調査がございます。そこで、命を落としたくなければ、幼心を今ここで、捨てなさい!」


そう言うと、彼女は1年生の傍聴席を端から端まで見渡しながら、違和感を覚えた物が、何なのか、確認するのだが。何もなかった。そして。


「そいう方々がいないようなので安心しました。それでは、新入生の皆さん3年間の学園生活を良き物になるように願い、私の挨拶に返させていただきます。」


無事挨拶も終わり、何事も無かったかのように自分の席へと、再び戻っていった。



・・・続いて新入生代表の挨拶です


このアナウンスをきっかけに、不気味に身を潜めていた闇が動き出したのだ。そして。


場内アナウンスで、呼び出された少年の名は『ロイ・ヒュウイット』1-B.騎士科 彼が壇上に上がり、マイクの前に立ち、第一声を発言する。


___「諸先輩方。始めまして僕の名前は・・?________________


彼の視界が白と黒が逆転した、モノクロのフィルターがかかり、歪み、万華鏡の中にいるような感覚に陥った。


『嘔吐』


胃の内容物を撒き散らし、その場で足から崩れ落ち、その光景を目の当たりにした生徒達は騒然とした。そして。


騒然とした空気の中、先生達は倒れた生徒の容体確認する為近づくのだが、彼の身体から発せらた波動のような物に当られ吹き飛んだ。その時。


魔法陣が展開し、身体が宙に浮き、黒い煙りがたち昇り、時おり、人の顔のような形状を創り出しながら、倒れた彼を包み込み、球体へと形を変えた。


「な、ん、だよこれ」


この光景を一部始終見ていた。いや、見てる事しか出来なかった先生か、生徒のどちらかだろう誰かが発した言葉だ。それもそのはず。


呪いの儀式のような光景。贄を得て変貌を遂げた物体。異様なまでに存在感を放つそれは、時おり禍々しく輝いていた。そして。


その全ての光景が、近づく事すら危ぶまれたからだ。その時。


球体から突然!鐘の音が鳴り響く。


それは、まるで、心臓の鼓動のように講堂内を鳴り渡る。そして_______________________________









球体に取り込まれた彼は、何も無い空間に漂っていた。


「あれ?僕は学校にいたはずじゃ...うっ!」


・・やーい!能無し!ヒューイ・・









「あれは、子供の僕?」


・・能無し!能無し!能無し!・・


彼はある欠陥を抱えていた。




「違う!僕は能無しなんかじゃない!!」


・・能無し!ヒューイは、アッチ行けよ!!・・









「こんどは、なんだ!?中学の時?」


・・あいつ!『補強組』とかマジきもいんですけど・・・キャハハ・・


そう彼は、10000人に1人という割り合いで発症する【先天性魔力欠損症】患者なのだ




「やめろ!やめてくれ!そんな目で僕を見るなぁ!!」


・・ああ、君が・・可哀想に・・じゃあ他の奴に頼むから・・・君は帰りなさい・




「やめろーー‼︎」


魔法が全てのこの世界にとって彼は、致命的な欠陥を抱えていた。そして求めた。






・・ごめんね・・ごめんね・・ごめんね・


「母さん・・大丈夫だよ・・もうすぐだから・・」








・・なら君に力を与えよう


「力?」


・・そう力だ!こんな理不尽な世界に抗う為の力だ!!・・


「あんたは誰?」


・・私?私は、君のような困った人を助けるのが趣味の足長おじさんとでも思ってくれてればいい・・


「はぁあ」


・・君?力が欲しいんだろ?・・


「はい!こんな世の中!変えるくらいの最強の力が欲しい!・・けど・・今の僕じゃ」


・・では、これをあげよう


謎の人物は、彼に何かを渡した。


「カプセル?」


・・それを飲めば、たちまち君が欲する力が手に入る!!・・どうかね?


「・・はい!ありがとうございます。」


・・そうか、なら私はこれで失礼するよ。


「あのーお代は?」


・・いいよ、お代は、時季外れのサンタさんからのプレゼントだ!


と謎の人物は、それだけを言い残し、彼の前から姿を消した。そして。


「ありがとうございます、ありがとうございます」


彼はそれを、何のためらいもなく飲みほした。その時。



ドクン!身体の中から衝撃を感じた。


「な、ん、だこれ・・・熱い!?」


胸が苦しくなり、押さえるロイ・ヒューイット


「熱い!苦しいっ!けど、何だ?この湧き上がる力は・・」


腹の底から得体の知れない何かが込み上げてきた。


「力?!そうか・・やっと手に入れた!」


身体中から溢れんばかり、強大な魔力を感じ、歓喜するロイ・ヒューイット。


「やった!!あははは、やっとだ!あははは、あはは、あははははー!!」


得体の知れない異物を呑み、強大な魔力を得た結果。


「俺様を、蔑んできた愚民共を見返す為にも、最強目指すしかねぇよなー!俺!」


彼の性格が変わり、凶暴性を残したまま中学時代を終え、私立オズウェル魔法学園の入試も無事に終了し、晴れて新入生代表となった彼は、先の出来事となった。

____________________


とある、研究施設のモニター室で、謎の人物が鼻歌混じりに、踊っていた。


「happy birthday to you ♪happy birthday to you♪ happy birthday dear ・・・・・・蔑まれ続けた!!今ここに!新たな産声を上げ!再びこのくそったれな大地に生まれ変われた喜びを!分かち合おぞ!フフ、フハハ、フハハハハハ!」



そして謎の人物がキーボードの[Enter]キーを押し、モニターに映し出された『黒い球体』

がある、私立オズウェル魔法学園へと映像が変わる。


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


そして、黒い球体に変化が生じる。それは、小さな亀裂が入り、やがて雛鳥が羽化するかのような状態になり、そこから変わり果てた彼が這い出てきた。


自我を失ったまま・・・


「グガァーーーー」

____________________

【幻想獣・タイタン】

暴走状態\__[danger‼︎]


ウィザード級/ ̄ ̄[danger‼︎]


 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄


彼が、這い出てきた直後、魔獣出現のアラートが入学式典の最中である、講堂内に鳴り響き、計測器が破壊され、この光景を目の当たりにした、アリス、ドロシィ、ハーティア、織姫、ハヤテ学園長が


 ̄ ̄「お姉ちゃん!!あれはまずいよ!」 ̄

「あれはまずいっ!!」______________「大分まずそうですわ!!」

「これはちょっとまずいでござるよ!」 ̄

_「これはこれは、ちょっとまずい事になりましたねぇ」__________________________________


こう述べた。

















とある研究施設のモニター室で事の顛末を目の当たりにしていたもう一人の人物が


「おやおや?私が錬成し、彼に与えた『愚者の種』それが発芽する際に自我をなくしましたか、やれやれ、だが、それはそれで面白いデータが取れそうです、では、頑張って抗ってくださいね」


この日、彼女達 二年生にとって初めての実戦となった。

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