第9話 噂の美少女

所変わり、魔獣襲撃から数日過ぎたオズウェル魔法学園


ここではある噂がながれていた。


「1年に編入生が来るらしい…」

「まじかー!って、どうせ男とかそいうオチだろ?」

「いや、俺一度だけすれ違ったんだが・•マジ美少女だった•・笑顔に後光が差してたといか•・ちょっとキュンッときた。」


その微笑みを思い浮かべ、絵で表わすのも阻まれる程の良い笑顔になる男子生徒。そして。


春、出会いの季節、まだ見ぬ転校生への期待に胸が踊る男子生徒達なのである。どうせ。

イケメンにかっ去られるだけだというのに•・男ってバカよねー


それはさておき、この噂の真実を知っているもの達が2年生に数人いたのである。そして。


こんなヨタ話が、学園に広まる前日の出来事なのである。


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時は遡る事 編入生の噂が流れる前日臨時休校中 私立オズウェル魔法学園 学園理事長室


ここへ来るよう呼び出されたであろう2人の『少女』達が見え、理事長室の扉を叩こうとするのだが、重要人物の職場だというのに、時折、『女子会』の雰囲気を思わせる黄色い会話が漏れ聞こえ。そして。


「入れ。」


意を決した雰囲気の2人の『少女』は扉を叩き、部屋の中から『成人男性』の入室を許可する声が聞こえ、一歩踏み込んだ。


「パパ?来たよー」

「パパ?用事て何?」


2人が『パパ』と呼ぶ男性こそ、ハヤテ・オズウェル学園理事長本人なのである。そして。


「おー我が愛する娘達よー。」


彼が『愛娘達』と呼べるものは、アリス、ドロシィの双子の姉妹しかいないだろう。


因みに、理事長室の造りは西洋の風が暖かく包み込みそうな雰囲気を醸し出していたのである。そして。


「今日もプリティエンジェル♡」


ハヤテが娘達を抱きしめ、頬ずりしこの台詞を言い。そして。


「「パパ離れて」」


ちょっと思春期な姉妹は、顔を押しのけこの台詞を言い、ハヤテは渋々離れるのである。


「ごほん、大変失礼をした、改めて詳しい話をする前に、ここに集められたのは…」


とハヤテが語りだした。その時。


「アリスやーん♡」


『双子』の片割れめがけ『アリス』とよび、オッドアイが特徴的な、可憐にも、健康的に発達した美しい身体のラインを持つ『少女』が勢い良く抱きつこうとするのだが。


当の本人は、後ろへ一歩下がり『アリス』と呼んだ『少女』は勢いそのままに、壁へダイブしたのである。そして。


「いつッ。アリスやん・•久しぶりに会うたのにつれへんわー」


頭からダイブしたのだろう。痛みのはしるそれを右の手で撫でるオッドアイの『少女』


「お、ドロシィやーん♡」


今度は、『双子』のもう片割れめがけダイブするのだが、スケアクロウを部分展開していたドロシィが、一歩後ろへ下がり、それを後頭部めがけ振り下ろしたのである。


「いつッ。2人ともつれへんわー」

「「花蓮先輩、ところ構わず抱き付くの止めてもらえる?」」


と2人が『花蓮先輩』と呼んだ人物こそ、現 学園No.1騎士科3-b 犬神 花蓮 なのである。


「否、可愛いは正義!!」


と全力否定し、はいはい、とアリス姉妹は冷ややかな雰囲気を感じさせるのである。

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「•・この先輩がいるてことは、雪先輩も?」

「だろうね」


と思い辺りを見回し、部屋の中央 ソファー

に座り、涼しげな表情を浮かべ紅茶らしき飲み物を飲み、2人に向かい手を振る『少女』が1人。


まさに、『王子様系女子』という言葉が似合いそうな容姿をしており、『現学園No.2 騎士科 3-B 兵藤 白雪』 その人である。そして。


「「雪先輩。お久しぶりです。」」


と白雪に伝え、


「2人共久しぶりです。相変わらず元気そうね」


と白雪が、


「はい、まあ元気が取り柄みたいなもんですからね」


とアリスが、


「それは、お姉だけ。」


と突っ込みを入れるドロシィ。

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はーちゃんも、姫ちゃんもいるし•・何だろう?パパの用事て•・


あーなるほど、なんとなく、集められた理由分かったよ•・


あれ?こんな可愛い子!?ウチの学園に居たっけ?!•・


2人がこんな事を考えていた、その時。その輪の中に居た1人の女の子が、双子の姉妹の存在に気づき、その場で立ち上がり。


「は、はじめまして、シャル= ロア •テディベアラと申します。いつもは、愛犬のウォルフがいるのですが、散策してくると言って不在です。この度は、当学園へ編入する運びとなりました。お二方よろしくお願いします。」


と軽い自己紹介をした『女の子』の容姿は、黄色のショートヘア くせ毛なのだろう、美しいウェーブが掛かり。未発達ながらも美しい身体をしており、その場のだれもが妹にしたいと思わせるほどだった。そして。


時折見せる微笑みは、天使をも彷彿とさせていた。そして、双子の姉妹もよろしくとだけ伝えソファへ座るのである。


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『シャル』と名乗った少女と先輩達とどいう関係か気になりだした、アリス、ドロシィは、交互に観察し、ある事に気づいたのである。


「花蓮先輩•・•まさか!?•・」

「花蓮先輩さすがに誘拐はまずいんじゃあ•・」


いつの間にか、2人の対面に座っている『花蓮先輩』を見てこの台詞を言い、まるで、可哀想な者を見るような眼差しを向けるアリス ドロシィ。


「ちゃうちゃう!!」


と必死に弁明する。


「分かってます•・自首しましょう先輩」


とこの台詞の冒頭あたりからすっと立ち上がり、後ろへ回り込むと右肩に手を置くドロシィ。


「そうだぞ。ドロシィの言うとおり悪い事をしたら反省しなきゃだね。先輩。」


とこの台詞の冒頭あたりからすっと立ち上がり、後ろに回り込むと左肩に手を置くアリス。


「ウチは無実やーー!!」


花蓮の叫び虚しく只々室内に響き渡るだけであった。その時。


「や、止めてください!!お二方!私の恩人に…」


テーブルを叩き抗議しようとする『シャル』なのだが


「先輩イジリはこの辺にして」

「だね」


と言い、笑顔を見せるアリス、ドロシィ。


「そうですね、通例行事みたいなものだから、あまりお気になさらない方が言いですよ。シャルさん。」


と、涼しげな表情で紅茶らしき飲み物を飲み話す白雪。


「ですわね、」


優雅に、紅茶らしき飲み物を飲み話しに入るハーティア。


「花蓮先輩殿の日頃の行いが悪いせいでござるよ」


呼応するかのように、話しに入る織姫。


「せやな、ウチの日頃からの行いが悪いせいやな、てなんでやー!!」


こんなコントのような光景を目の当たりした『シャル』は、突然吹き出し、腹を抱え笑い、『もう、何がなんだか、皆さん面白い方々で良かってです。改めてよろしくお願いします』と伝えてたのである。そして。


笑いに包まれ、和やかなムードがしばらく続き、


「お互いの紹介が無事、済んだようなので、今回ここに、集められたのは…」


ハヤテ学園長が再び進行を勧める。


「ちょっと待って?ハヤテくん!?私の紹介は?」


進行を割って入る、主張し過ぎるほど強烈に発達し、美しい身体のラインを持ち 顔にある泣きぼくろが妖艶さを引き立て、厚い唇を艶やかな色で着飾る『女性』がいた。


「出やがったな!妖怪!」


と罵り


「ちょ、人を神出鬼没見たにい言わなくてもいいじゃない。」


と猫撫で声で返す。


「テメェ気持ちわりんだよ!そんなんだから、お前は、未だに…」


この台詞を言い終わる直前で、ハヤテの胸倉を掴み


「アァ!私は、結婚出来ないんじゃなくて、しないだけですー」


満面の笑みでキレる『女性』なのだが、この一連の流れを見ていた。ハヤテの愛娘こと、アリス、ドロシィが近いていくようにも見え。そして。


「はいはい、2人共喧嘩はその辺にして、」


と止めに入るドロシィ。


「「私達、この気になるんで、お願い?教えてパパ♡」」


左にアリス、右にドロシィと父であるハヤテの腕にしがみつき、上目遣いでお願いし。


そして彼は、ラウンド型眼鏡の鼻掛けを位置調整し『分かった』と述べ、その場は収まったのである。



「やるんなら、早くやれ」


と、ちょっと投げやり気味に話すハヤテ。


「あ、そう、なんか上から目線で気にいらないけど。」


と愚痴をこぼすも『少女』達が、座るソファーの方に向き直る。そして。


「はじめまして。皆さん。マリアンヌ・ローレライよ。シャルちゃんの叔母です。よろしくね。」


と簡単な挨拶をし、手を振り、ウィンクする。


「あー、こう見えて俺より上だから、見た目に騙されんなよ!」


とハヤテ学園長の一言をきっかけに、一瞬。静けさがその場を支配するのだが、まるで、女性の美意識というやつは、どの世界でも共通概念らしいと思わせてくれる程に、騒然となったのである。


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「「はぁあ」」


密かに、自身達の健康的にも女性らしく発達した体と、魅力的な彼女を見比べ、ため息をもらす双子の姉妹なのであった。そして。


「ごほん、そろそろいいですか?!皆さん?」


とその場を抑えたハヤテ学園長。


「そうね、こっちも話して置きたい事あるし、そろそろ続きをどうぞ、ハヤテくん」


とマリアンヌは言い。


「皆さん!ここに集められた理由は、他ではありません。先日起きた襲撃事件を見事に解決し、未だに犯人は捕まっておらず、不安になることでしょう!でも、それを解消するのは、我々、大人の役目!というわけで、少しばかりですが、ここに祝勝会を開きたいたと思っています。では、短い時間ですが楽しんでいってください。」


このハヤテの長くも短い司会で、親睦も含めた慰労会となったのである。そして。


「セバス!料理を」


まるで、影のようにドア付近に待機していた彼が、一礼し、その場を離れ、再び現れる頃には、数人のメイドと共に、料理を運び、テーブルの上に、並べていくのである。


まだ、闇は諦めたなど言ってはいないだろうに、でも彼女達には、そんな事関係なくて、

今を楽しむ笑顔で溢れ、長くも短い宴の席は、盛り上がりを見せたのである。


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