第2話予感
ここはアリス達が通っている、私立オズウェル魔法学園 2-A 教室。そして。
そこへ慌ただしく教室の扉が開き、双子の姉妹が姿を見せる。
「「ま、間に合った〜」
因みに、クラス分けは事前に生徒手帳型デバイスに通知が届いてる為、それを、しっかり者のドロシィが確認しており、ぎりぎりで間に合ったというわけだ。そして。
2人の姿を見た、知人であろうクラスメート達は、『おはよう』や『相変わらずだね』と声をかけた。
「いやーアハハ」
「アハハじゃないでしょ!アホ姉」
ゴチンと姉の頭部にゲンコツをかます妹ドロシィ
「いっつつ…す、すんません…以後気をつけます」
「はぁあ〜まったく…早く席座るよ!アホ姉」
このやり取りを見たクラスメート達は、クスクスと笑い、そして、自分の席に戻ろうとした。その時。
クラスメート達を掻き分け、アリスの方へと近ずいてくる1人の男の子が見えた。そして。
その男の子を見たアリスの表情が嫌な物を見たような表情へと変わる。
「げ、バカ猿じゃん。また同じクラスかよ」
まいったなぁという感じで、自分の頭を抱える。そして、アリスに『バカ猿』と呼ばれた男の子の本名は『クラウド•バーミリオン』その容姿は、いったて普通の高校生という感じだろう。
「よっ!アリスに、ドロシィおはよさん!」
「「おはよー」」
「それで、私達になんの用?」
はぁあ〜…まったく朝から最悪
こんな、アリスの気持ちとはうらはらに、クラウドが会話を続ける。
「アリス!勝負だ!今日こそ俺が勝たせてもらう!」
彼が、こいうのも無理もない。なぜなら、クラウドが入学して以来、アリスに一度たりとも勝ったことがない。それなのに、何度も何度も諦めずに挑戦し続けている。だが。
アリスには攻撃どころか、指一本も触れる事すら敵わず負け続けていた。そして。
『懲りない奴』これが、去年からアリス達の事を知っているクラスメート達がもつ、彼に対しての共通認識なのだから。そして。
授業開始の合図が、2人の不毛なやり取りを止めた。
「クラウド!チャイム鳴ってるし…早く席座りたいからその話は後でね〜」
シッシと野良犬を追い払うかのように、彼を追い払い、トボトボと肩を落とし、自分の席へと戻ったクラウド。そして。
「ベーー!」
「ほら、お姉も自分の席に行くよ!」
『痴話喧嘩』これが、クラウドとアリスのやり取りを見た事があるクラスメート達の共通認識でもある。そして。
教室の扉が再び開き、このクラスの担任の先生と思しき男性が入室して来た。そして。
入室すると、一瞬ざわつくが、男性が一睨みした後、喝、を入れて一瞬にしてその場をおさめ、生徒を席に座るよう促した。その後。
黒板型デバイスに、自分の名前を書きこんで生徒の方へと視線を向け、語りだした。
「初めましての奴もいるようだし、まず名前からだ、俺の名前は、レオン•ライオネルだ。因みに独身な。」
こう名乗った男性の容姿は、その名の通り、ライオンヘアがとっても凛々しく、ガテン系特有の筋骨隆々な肉体をしていて、体育会系のイメージを与えてくれる。そして。
「この後、入学式典が行われるから、講堂へと移動になる。」
『はい』と生徒達が了承の返事をする。
『移動する前に、去年のおさらいをしよう』といい『えー』と生徒達が否定的な返事をし、それを聞いて、喝、をいれ、黒板型デバイスに、文字を書いていく。
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『魔力量を表す単位について』
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『【sp《スペル》】これが魔力量を表す基準の単位だ』
【M《マナ》 】
10sp~
【Mg《マギ》】
100sp~
【W《ウィッチ》】
1.000.0sp~
【Wz《ウィズ》】
1.000.000.000sp~
【Wzd《ウィザード》】
1.000.000.000.000sp~
『個人差はあるが先天性保有魔力量は、【Mg《マギ》】と【W《ウィッチ》】の間ぐらいとされている。訓練次第では、【W《ウィッチ》】と【Wz《ウィズ》】の間ぐらいまでは行けるし、【Wzd《ウィザード》】ここまで行くともはや人外だな』
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『この世界の病例について』
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【先天性魔力欠損症】
補強組とも呼ばれ、生まれつき保有魔力を持たない者。その治療の為に、デバイスを脳幹付近に着けており、外部から制御できるようにしている。
【後天性魔力欠損症】
魔力酔とも呼ばれ、保有魔力を使い過ぎるとお酒に酔った状態になる。酷い時は、呼吸困難に陥入り、死に至る場合もある。
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「さて、おさらいはこれくらいにして、講堂へと移動しよか、クラス員は...今年もドロシィ頼めるか?」
「はい」
「では、1年生の模範となるような節度ある行動をし、1年間過ごす事・・・特に…アリス!」
おまえだよと言わんばかりの言動で、喝、をアリスに入れる。
「え?何で私‼︎」
対してアリスは、心外だなぁと言わんばかり
の驚愕した表情をするのである。
「お前は絶対!天然でやらかすからな!
後は、自分の胸にでも聞いてみろ!」
「へーい」
ぐぬぬ…この脳筋ゴリラめえ!解せんっ!
むくれっつらのアリスは、何も言い返せないこの苛立ちを、心の中で先生の所為にしたのである。
「さて、そろそろ講堂へと移動だ」
ドロシィの号令の合図を皮切りに、教室内にいるすべての生徒が講堂へと移動した。
「いやー今年も担任 ライオンちゃんかぁ、アハハ」
「お姉ちゃん!担任の先生をそんな風に言わない」
「ほーい」
廊下を歩き、時には階段を降り、長い廊下を会話を挟みながら歩き、そして、講堂へと通づる踊り場に出る。そして。
講堂に一歩足を進めた、その時。講堂内から不穏な空気を感じた、双子の姉妹。そして。
あれ!?この嫌な感じ・・何?
え!?この黒い魔力は・・何?
「なぁ、ドロシィ」
「分かってる、お姉ちゃん」
「ドロシィ、念のため警戒はしておくか」
「うん」
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不穏な空気を感じた者は、この姉妹だけではない。
「え、俺!?」
お前ではない!
「なにぃ!」
こんな、アホ面下げた少年クラウドではない!こいつは、ただのモブです。
「モブじゃねぇし!立派な主人公様だってぇの!!」
チッ、はいはい、見た目はイケメンです。中身はアホの子です以上。
「なあ、お前何で1人で漫才やってんだ?」
「あー誰かに、噂されたような感じがしたんだよなぁ」
「は、何言ってだお前、頭大丈夫か?」
「大丈夫に決まってるだろぉが!!きっと、可愛い子が俺の噂をしてるに違いない。」
自信ありげにガッツポーズをするクラウドを横目で見ていた友達が
「あー確かに、お前モテるもんなぁ〜くそ!リア充め!!」
そして、クラウドに気付いた女子生徒が黄色い声援を送り、手を振り答えるクラウド。
そう!この男モテるのだ!解せぬっ!もういいや、次の場面行こーと。
 ̄ ̄「おい!ちょっとまてや!」___
やめーい!つぎの話しに移れねぇじゃねーか! ̄ ̄ 「俺!出落ちなのかよ!?」__
____「あんまりd....」____________________________
はあ、やれやれ、疲れた。では、話しを続けよう。そして。
不穏な空気を察知したのは、アリス達だけではなく、講堂内にいる人物達もまた。
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ここは、私立オズウェル魔法学園 講堂 式典の準備は忙しく、滞り無く進み、開始を今か今かと待ちわびているハーティア・フォン・グリムワールが1人、生徒会の為に用意された席に座っていた。
そう!何を隠そう、ハーティアはこの学園の生徒会長様である。そして。
『あら?』となにか、不吉な予感を察し、首をかしげた。その仕草さえ、生まれ持つ気品差を隠しきれずにいた。
ハーティアは『セバス‼︎』と真剣な面持ちで待機していた執事を呼び。そして。
「はい、ここに、ハーティアお嬢様」
呼び声に応じて、颯爽ととなりに立ち、主であるハーティアの頼みを聞く体制に入った。
「嫌な予感がします!不測の事態が起きた場合、速やかに風紀委員と協力して、生徒達の安全を守りなさい!」
「畏まりました、ハーティアお嬢様」
そして彼は、主の頼みを聞き終えると、どこかへと移動した。
ここまでの一連の流れは、動作ひとつひとつとっても、流石公爵家に仕える身と言うべきなのだろう。
「本当、退屈しませんわね、この学園は」
場所同じくして不穏な空気を感じ、その表情は真剣な面持ちなのだが、頬には冷や汗を流している少女が1人、名を 天野 織姫 (2-B)
「チッ!やれやれでござるよ。」
と違和感を覚えた方角を睨めつける彼女は『風紀委員』をしており、講堂内を授業の一環として警護に当たっていた。そして。
彼女は、他の風紀委員達に、インカム型デバイスを使い、警戒を強めるよう連絡を取り
・・さて、拙者の刀槍型デバイス《蜻蛉切》を抜く羽目になる事にならなければよいでござるよ
こんな、心境とはうらはらに、表情は、凛としていた。そして。
ハーティアとは逆の位置に座り、まるぶち眼鏡をかけなをし、そのガラス越しの目は、獲物を狩りとる獣の様な眼つきの彼の名は、ハヤテ•オズウェル
ここ私立オズウェル魔法学園の長でもあり、アリス、ドロシィの父親でもある彼は、違和感を覚えた方角を睨み
・・おやおや?
どうやら、ここに招かざる客が入るようです
他の先生方も気付いてるようですし
不測の事態は避けられそうですね〜
幸いここには、血の気の多い連中ばかりですし、大丈夫でしょうが
うちの娘達に、何かあった場合 全員クビですかねぇ
やれやれ、面倒な事にならなければいいのですが・・
だが、学園長の表情は、頬が鋭く上がり、トラブルが舞い込んで来ないかと期待に満ち溢れた顔をしていた。
そして、逆の意味で今か今かと期待している人物が、とある研究施設のモニター越しに不敵な笑みを浮かべ、キーボードをうちながら作業をする謎の人影があった。
「いよいよ始まるのですね、私が愚民共へ贈るパーティショー!なので、人間の皆さん?頑張って抗ってくださいね?じゃないと、折角彼に与えた力が台無しですから…フフ、フハハ、フハハハハハ!」
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