第13話 森の思い出 ①
時間は数週間前まで
ここは森と水に囲まれた国 エレストレア王国
そこでは、数多くの遺産が点在しており、国の観光名所として有名なのだ。さらに。
湖近くでは、別荘地として開拓され、貴族達の憩いの場としての顔を持つ。そして。
『そこで私は、おばさまの別荘でウォルフと一緒に、春休みを満喫していました。』
シャルの思い出話しはここから、始まるのである。
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ここは、エレストレア王国 湖周辺に広がるように別荘建ち並ぶ一角で、ある家族が休日を満喫していた。
「シャルちゃん。私、買い物してくるけど、お留守番よろしくね?」
「はい、マリアンヌおばさま。ウォルフも一緒ですし、大丈夫です。いってらっしゃい」
「
「それもそうね。行ってきます。」
それは、良くある家族の見送り風景『でも、この日は、少しだけ様子がおかしかったのです。特に…ウォルフが』と語る。
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それは、ちょっとした違和感『マリアンヌおばさまが出掛けた直後ウォルフと一緒になった時でした』と語る。
「イラッ⁈
「えっ!ちょっとどうしたの?ウォルフ!」
この時『動物としての本能なのかは分かりませんが、何かが起こる事を予期していたのかもしれません』シャルの袖を引っ張っり、ドアの前まで行くと『ここを開けて』と主張するウォルフ。
「
「そっちは、森の方!待ってウォルフ!」
そして、普段入る事ない森の中へと進み、朝露で湿った若い葉に足を取られながらも、置いてかれまいと追走する。
「待ってウォルフ」
「
それでも『ウォルフは、私の様子を伺いながらも先へと行ってしまうのです。』主人を置いて行こうとはせず、木々の枝を分け入り奥へと進むのである。
「なに…これ」
「
やがて、聖域を彷彿とさせる程の空間に出る彼女達の視界に入るそれは、かつて叡智を掲げていたであろう遺産。
時の洗礼を経て『滅びの美学』という言葉が似合う程に、朽ち果てる寸前の聖堂。
「ここに入るの?」
と聞くと頷くような仕草をし、それに向かって歩き出したウォルフ。やがて。
「分かったよ…行こうウォルフ」
意を決した表情となり、怪しく開いていた入り口から、闇に吸い込まれるように消えて行ったのである。
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「ほぇ〜 中は広いですね」
まるで『トレジャーハンターにでもなった気分でしたよ』好奇心から来る行動にも見えただろう『ウォルフが、ぐんぐんと奥へと進むもだから、まったく味わえませんでしたけど』と小さく笑い語る。
「こいう場所には仕掛けが…! あったっ!」
「
「降りてみようウォルフ」
こうして、牧師等が祭事を行う為に使うと思われるテーブルのようなものに置かれていた 15cm程の女神像を動かし、地下へと続く階段を出現させたのである。
「うっ…気持ち悪いです。」
地下へと降り、暗く冷たいまでに異様な空気にでも当てらたのだろう 唐突に体調不良を訴えるも、長く感じれる程に伸びた廊下を歩いて行く。
••ここで一体何が••あったのでしょう?
こう思うの無理も無い、シャル一行の周りには、牢獄を彷彿とさせる程に、鉄格子が並べられていたからだ。
「ひっ!」
「
「大丈夫。行こう! ウォルフ」
呻き声にも似た隙間風が唐突に響き、恐怖を煽り、重苦しくも冷たい空間を作り出す正体が明らかになるとも知れず、さらに奥へと歩みを進める。
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やがて、歩みを進めるとある壁にぶちあたる。
「行き止まりでs…?…はわっ!!!」
文字通り壁なのだが、シャルが触れた瞬間
ガタッという音と共に回転扉が作動し、盛大に倒れ『私は、罠に引っかって死んだかと思いました』と苦笑いを浮かべ語ってみせたのである。
「痛いですぅ〜」
「
その場で立ち上がるシャル
「うわー綺麗ですぅ〜」
「
すると、まるで彼女が来る事が分かったかのように『オーブ』という発光体が浮かび上がり、幻想的な雰囲気を作り出していた。
「このまま行けって事なんでしょうか?」
「
「分かっよ 行こう ウォルフ!」
まるで何ものかによって用意された
さらに奥へと進むこと数分後 突然として視界が開け、彼女達の視界を支配するかのような異様存在感を放つそれが
「ここで、何かの儀式でもしていたのでしょうか?」
「……」
そして『祭壇』とも呼べる平たい大地には、ルーン文字が円を描き出し、その中央に五芒星が見えた。
•・
「ワォーーーン!!」
「どうしたの? ウォルフ!」
さらに『私達は、ペンタゴンの中心部まで歩くと』何者かによって導かれるようにも見えるだろう『ウォルフが、天井めがけ遠吠えを放つのです。』その光景に『私達は、この時気付くべきでした。』これも運命なのだろうと語る。
 ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄
幾千の月日を経て、ようやっと巡り会えた•・長きに渡り我は汝を探し求めていた•・我と魔が合う者よ・•
突如としてウォルフに憑依した何者かが語り始める。
「貴方は…誰なの?」
•・我は、ゼフィロス!風と大地を司る者也!•・
「それが何?ウォルフを返して!」
•・我は精神生命体故に汝との会話が不可能•・それ故にこの者の体を借りたに過ぎない•・•
「貴方は…何が目的?!」
•・我は、汝を欲す•・我は汝に望む・•我と契りを結べ•・
「いりません!」
この不可解な事象の前にも臆する事なく断りを入れたシャル。
•・何故・•我との契りを阻む•・
「そんな大いなる力は、世界のバランスを崩しかねません!それに、早く私の大切な友達を返して!!」
•・最高位の精神生命体である・•我に説を唱えるとは•・ならば•・汝に問う•・
「は、はい…なんでしょう?」
・•我の力無くして•・
「えっ!」
ゼフィロスの指摘された通り、後ろを振り返るとそこには、聖職者と思われる男性が1人その取り巻きであろう数人が退路を塞ぐ形で立っていた。
「初めましてお嬢さん、私は、この教会の管理しているオラクリオン教団の支部長をしている者。この度は、我々の代わりに偉大なる聖霊王であるゼフィロス様の封印を解き放ってくれた事を、誠に感謝いたします。」
•・我を聖霊とな?何を抜かしてんだ?•・
・•我は魔の者なのに…アホの子達なのかな?・•てか、自己紹介長くない?
「ゼフィロスさん、キャラ忘れてる!」
はっ!取り乱してしまった•・こほん、まだ、汝のを聞いてはなかったな、何と申す?…
「シャル。シャル=ロア•テディベアラです」
•・!!
・•シャル殿!此奴等から殺気を感じた!・•
「シャル様ですか。良い名ですねー殺すのが惜しい程に美しいです。ですから、我々にそのレリックをお渡し頂きたい」
※今のウォルフの状態はこんな感じである。【
その容姿は、薄緑色の毛並みに、片目が黄色のオッドアイ。
この状態のウォルフを自動人形とでも勘違いでもしたのであろう、聖職者と思われる男性が狂喜を感じさせる程に聖書が怪しく光る。
・•シャル殿!!ここで我の魔法を行使する・•
「で、でもこんな狭い場所で使ったらまずいいじゃ…」
・•あっ!我うっかり…テヘペロ
‘‘『真理』に接続を確認しました。”
こうして、脳内アナウンスと共に、太古に眠りし魔法が再び花開く。
【
雷撃を見に纏し嵐が敵陣めがけて放たれた
「ちょ。やめ、とめ、」
・•む、無理だな・•この隙に一旦退くか?…
瓦礫を避けつつ断末魔をあげたり、防御魔法を張ったりと大忙しの敵さんを無視し、その場を離れたのである。
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「お、追え!馬鹿者!!娘は、始末しても構わん!狼の方は殺すな!」
「へい!」
その後、辛うじて生き残った彼等は、逃げたシャル達を拘束するように命じた結果。
「なんで、私がこんな目に…はぁはぁ、はぅ」
•・シャル殿!ぼやっとしてないで走る!・•
「誰のせいですか!!」
・•そ、それは…め、面目無い・•
【
罠師の
「デバイスが無いから、ちゃんと発動するか心配だけど、念のために…」
【
木々に触り、魔法陣を刻印し、相手が近くを通ると発動するように命じ、認識阻害系トラップを仕掛けながら走る。
・•シャル殿先程から何をしている?
「誰かさんの尻拭いですかねー。_◎×△□」
•・うっ…我反省しております。
目は笑っているのだが、唇は引き
「もう、いいですから行きましょう…ゼフィロスさん!」
•・我にめいれ…何でも無いです…
なんだか、申し訳無い気持ちでいっぱいのゼフィロス。そして。
微妙な空気が2人を支配するも、ようやく森を抜けることに成功し、街道とも呼べぬ山道へと出たのである。
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「ゼフィロスさん、この辺で少し休憩しましょうか?」
•・うむ、シャル殿!
罠を仕掛け終えた安堵感が油断を生む事となるとは知れずに、休息の時間を過ごしていた。その時である。
•・シャル殿!先の詫びだ…受け取るが良い
「こ、これはなんですか?ゼフィロスさん」
•・我の力の片鱗だ…受け取ってくれるか?
調律師が使いそうな『音叉』それを形取ったであろう『レリック』をシャルに渡す
「はわわ、い、頂けないです!!」
•・なーに、久方ぶりに、地上を走る事がで来て楽しかった…故に、御礼も兼ねておる
「で、ですか…」
•・シャル殿、何も気にする必要は無い…!
・•おっと、そろそろ時間のようだ…
「えっ…」
徐々に本来のウォルフの体毛へと変わりそれに気付き『我は、この者の体で少し休むとしよう』と提案するのだが
「ちょっと待って下さい!」
・•いざという時は、我を呼べ!シャル殿の力となることを約束しよう…
シャルが引き止めるも、元のウォルフへと戻ってしまったのである。
「
シャルとゼフィロスとの別れの感傷も浸る事も無く、罠をかいくぐり追っ手が再び姿を見せた。
「やっと、見つけたぜ!お嬢ちゃん?」
「えっ、嘘!」
「
「我々を、散々コケにしてくれたなー!オイ!」
「テメー覚悟は出来てるんだろうな!」
追っ手は、シャルを取り囲むように武器をちらつかせ現れたのである。
「だ、誰か助けて…」
「
危機的状況を察して、主人を庇うウォルフ
「邪魔だ!どけっ!」
追っ手の1人が剣を振り下ろす
「
力無くその場で倒れるウォルフ
「ウォルフ!!」
すぐさま駆け寄り抱きしめるシャル
そして『この時でした、ウォルフが私を護ろうと負傷し、あーこのまま終わるんだなと思っていた所』ヒーローにでも見えたであろう『花蓮先輩達が現れたのは』と語り続けるのである。
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