君はそのヘタレさ故に愛おしい!

大江山 いく野の道の 遠ければ まだふみも見ず 天の橋立

百人一首にも入っている、小式部内侍の和歌です。
どういう状況で詠まれたか……?

小式部内侍は、和泉式部という偉大な歌人を母に持つ女性です。
そこに、藤原公任という偉大な歌人を父に持つ男、藤原定頼が「どうせお母さんに歌作ってもらってんだろう?」みたいなことを言ったのに切り返した、というやつなのですが、この話、それを定頼目線で語っているのです。

これが面白い面白い!
何といっても作者の描く定頼のヘタレっぷりの可愛いこと!
結局は逸話通り小式部内侍にコテンパンにされるのですが、その姿の愛くるしさに、「もう、君は一生負けていなさい」と慰め(?)の言葉をかけたくなります。

しかし、そう思ったのは私だけではないようで……。
作中で定頼の愚痴を聞く人物のリアクションもポイントです。

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