概要
「男が脱ぐのはッ、閨の中だけと決まってるだろうが――!」
託宣によって定められた二つの部族の婚礼。年若い夫の少女エレニアと、年上の妻である青年アゼル。幼いながらも夫として奮闘するエレニアと、掟により寝室でしか覆面を取れないアゼルとのほのぼの新婚ヒストリー。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!あちら側とこちら側の民の世界がつながった時、新しい家族の形が生まれる
水の民から選ばれた年下の『夫』エレニアと、砂の民から選ばれた年上の『妻』アゼルの夫婦生活を描いた、ほのぼの短編連作です。
宣託によって選ばれた少女エレニアは『夫』として、同じく選ばれた青年アゼルは『妻』として生きることを自然と受容して結婚をします。
あくまで予言によって義務付けられた結婚です。
けれどそこに悲壮感はありません。
二人は何か難しいことを考えているわけではないでしょう。壮大な宿命を背負っているという意識はまったくありません。
ただ、寄り添う。さだめのままに。
そしてそれを、幸福なことと考える。
読者はその様子に、結婚とは何かを考えさせられるのです。
恋ではない。愛ではない。
でも…続きを読む - ★★★ Excellent!!!夫となる少女。妻となる少年。この先を期待させる、幻想的な物語。
想像を否応なく掻き立てる繊細な筆致で、夫婦となるべき運命を負った二つの部族の少女と少年を美しく描き出す、幻想的な物語です。
部族の言い伝えに従い、女として生まれながら「夫」として結婚する13歳の少女と、男でありながら「妻」として嫁ぐ18歳の少年。
まだ幼い中に凛とした強さと明るさを持つ少女と、わずかに目元しか伺えない衣装に包まれながら、どこか妖艶な美しさを放つ少年。滑らかな文章運びで描かれる美しい世界に、有無を言わせず引き込んでいきます。
まだ物語は始まったばかりですが、これからの展開を大きく期待せずにいられない、ぞくぞくとするような不思議な魅力に溢れた作品です。