人生最後の尊厳を守って下さる、揺るぎない意志を持つ方々の物語です。

 福祉施設での介護は大変。
仕事とは何を指しても大変ですが、それを言ってしまっては彼らの過酷さは伝わりません。
いずれ我々も、お世話になるかもしれない場所で懸命に自らの意志を大切にする甲田、大木、高橋、後藤の物語。
老人介護施設の分刻みのスケジュール。イレギュラーな事案にも的確に対応する姿は底なしの気力と体力で乗り切る頼もしさは、拝読しながらヒーローを追っている気分になりました。

 現場を知る方だからこそ語れる過酷な人間関係にも触れられ、「働くヒト」小説コンテストにふさわしい現実を提示して下さいます。

 介護する側、される側の微笑ましい表情、感謝の場面に心打たれました。
『それでも、ケアさせて頂きたい』を介し、思い込みや誤解で、軽々しく誰かを傷付ける言葉やイメージが無くなって欲しい。
一人でも多くの方に届いて欲しいと感じた物語です。

 甲田くんのオレンジリングは、本当にまぶしいです。

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