"対等" に非ず

介護業界が、純然たるサービス業界なのかという疑問に
応えてくれる作品だと感じる。

介護従事者、施設職員、それにご利用者「様」。

サービスの受益者と提供者との間に
情報交換の上でも、対等な関係が築かれにくいことは理解している。
それでも、ここまで徹底したお客様主義を現実にしている
業界は無いのではないか。

編みこまれている価値観や精神を読んでいると、
お客様に「どうお仕えするか」と形容できるような
traditional, 保守的な立場の強さを感じた。

『ケア』が、ひとつの美学に昇華しつつあるのは、
その過酷な実態ゆえであり、
ただ、その美しさを素直に喜ぶべきかは、同じ社会に住む者、
各々が、考えなくてはならないのだろう。

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