皆さんは介護職に就いてどれくらい知っているでしょうか?
この物語は複数の人物の視点で、介護現場の実態が描かれています。
自分は恥ずかしながら介護の仕事に関しては無知で、漠然としたイメージしか無かったのですが、読んでいくうちに徐々に引き込まれていきました。
人の為に頑張る仕事。それは間違いないのですが、実際の現場は綺麗な事ばかりではありません。
介護の仕事に誇りを持ち、ひた向きに働いているのにそれを理解してもらえなかったり、職場内での人間関係が上手くいかずに苦しむ事もあります。
そんな目を背けたくなるような部分も描かれていますが、それもれっきとした介護現場の実態なのです。
良い所だけでなく、そうで無い所をちゃんと描いたこの作品は読んでいてとても勉強になり、介護職への理解を深めることが出来ました。
もちろん起こる出来事は悪い事ばかりではありません。
辛い思いをしても、助けてくれる人がいる。介護を必要としている方と向き合って行けば、感動や達成感が得られる。
作中に出てくる介護職員達がなぜこの職に就いたか。どうして頑張って行けるのか。一人一人の介護に対する想いがとてもよく伝わってきて、読んでいて何度彼等に負けるなとエールを送りたくなったことか。
決して良い事ばかりではないけど、それでも頑張っている人達がいる介護の現場。
より多くの人に読んでもらって、介護への理解を深めてもらいたい。そんな作品です。
介護業界が、純然たるサービス業界なのかという疑問に
応えてくれる作品だと感じる。
介護従事者、施設職員、それにご利用者「様」。
サービスの受益者と提供者との間に
情報交換の上でも、対等な関係が築かれにくいことは理解している。
それでも、ここまで徹底したお客様主義を現実にしている
業界は無いのではないか。
編みこまれている価値観や精神を読んでいると、
お客様に「どうお仕えするか」と形容できるような
traditional, 保守的な立場の強さを感じた。
『ケア』が、ひとつの美学に昇華しつつあるのは、
その過酷な実態ゆえであり、
ただ、その美しさを素直に喜ぶべきかは、同じ社会に住む者、
各々が、考えなくてはならないのだろう。
この仕事が面白い、働く人コンテストの作品です。
筆者自身の経験を交えた介護の仕事がメインとなっています。
新しく別の仕事に就きながらも、やはり介護の仕事に就きたいという思いに至るオレンジリングまで読ませて頂きました。
介護の仕事は千差万別で、職場によってやり方が違うと聞いています。
本作の主人公は前の職場で、トラウマを植え付けられても、それでも介護の仕事に向かうという読者に勇気を与えてくれる内容になっております。
きっと、皆さんにも、一度挫折して止めてしまったことがあると思います。
それでも、それでも! 前に進む、その気持ちこそが本当の個性であり、一生を掛けてできるお仕事ではないでしょうか。
是非、本作を読み、ご自分を振り返ってみてはいかがでしょうか。
是非、是非、ご一読を!
半分読了してのレビューです。
読み終えたらまた追加しますが、世の中の介護という側面を見事なまでに切っている本作。
おそらく描きたいのは「苛酷な現実の描写」かと推察します。
しかし、楽しんで読めるというよりも、応援を押すも憚れるほどの迫力のある小説にはそうそうお目にかかれません。
ずっとオススメポイントを考えていましたが、やはりこの作品の得手は「揺るがない苛酷な現場」ではないかと。
読んでいて辛いです。それは紛れもなく真実が描かれているから。
読んでいて痛いです。それは紛れもなく苦しんで働くヒトの姿と、「それでも」な温かさと厳しさが突き刺さるから。
小説を超えているような、体感型で痛みのある良作です。
是非じっくりと、お時間をかけて噛み締めるようにお読みくださいね。
福祉施設での介護は大変。
仕事とは何を指しても大変ですが、それを言ってしまっては彼らの過酷さは伝わりません。
いずれ我々も、お世話になるかもしれない場所で懸命に自らの意志を大切にする甲田、大木、高橋、後藤の物語。
老人介護施設の分刻みのスケジュール。イレギュラーな事案にも的確に対応する姿は底なしの気力と体力で乗り切る頼もしさは、拝読しながらヒーローを追っている気分になりました。
現場を知る方だからこそ語れる過酷な人間関係にも触れられ、「働くヒト」小説コンテストにふさわしい現実を提示して下さいます。
介護する側、される側の微笑ましい表情、感謝の場面に心打たれました。
『それでも、ケアさせて頂きたい』を介し、思い込みや誤解で、軽々しく誰かを傷付ける言葉やイメージが無くなって欲しい。
一人でも多くの方に届いて欲しいと感じた物語です。
甲田くんのオレンジリングは、本当にまぶしいです。
この物語は、各章ごとに主人公が変わりとても読みやすく構成されています。
そして何より一番焦点を当てているのは、介護現場で利用者さんに真っ向から向き合う介護福祉士さんたちの視点。
そこには偏見もあり、職場内でのいじめもあり、ストレスを抱えることもある。
多くの問題にぶつかり、時には退職せざる負えない状況になることもありますが、それでも介護の仕事をしたいという強い信念をこの作品から感じることができました。
認知症を発症しても、その人は命あるひとりの人間。
どんなに下(しも)を汚してしまっても、食事がうまく摂れずベチョベチョにこぼしてしまっても、本人さんの人権を大事にしている素晴らしい介護福祉士さんたちの物語です。
みなさま、ぜひ御一読くださいませ。
あらすじにもあるように、介護にかかわる四人の若者が紡ぐオムニバスストーリー。
一人一人が介護に対してどのように向き合っているかが、丁寧に描写されていて、思わず前のめりになってしまうほど。
著者様、おそらく老人ホームについて相当に勉強してきているのでしょう。情景描写の巧さも相まって、とてもリアリティがあります。おそらく最後まで読み終わったあと、読者様の中で「介護」に対する認識が少なからず変わるでしょうね。
おそらく誰もが他人事ではいられない「介護」。
もちろん私もそうであり、「まだ先のことだから」と考えた自分に、改めて心構えをさせる物語でもあります。
そんな「介護」に正面から向き合った現代ドラマ小説を皆さまも是非、ご一読を(⌒∇⌒)