過去と現在とホラーとコメディーと混ぜ合わせているのにこの透明度!

物語はどんどんと変転していきます。
そのさまが実に素晴らしいし、それぞれのエピソードが輝いています。

不思議女子高生と猫とのほのぼの物語から、鏡をめぐる不思議なファンタジーへ
さらにそこから昔話のようないにしえの物語へ。

なんでも望みをかなえてくれる鏡の存在。
そんな魔法を前にしてもマイペースな女子高生主人公。

キャラクターの良さはもちろんなのですが、それを魅力的にする語り口がとにかくいい。
豊富な語彙を縦横無尽にちりばめながらも、読みやすくてイメージを喚起する描写。
シリアスになるとコメディーできれいにひっくり返してくる間の取り方。
これはもう文字を読む楽しさそのものが文面にあふれているのです。

そして物語が進むにつれて明らかになっていく驚きの真相、絡み合った因縁がほどけていく様、この辺りはミステリーの面白みたっぷりです。
しかしながら、とにかくラストにかけて展開される魔物と僧侶の切なくも美しいエピソード、これが素晴らしかった。
人間の醜さと美しさ、どうしようもなさと気高さ、そんなものが高らかに描かれていて感動しました。

とにかく読んでみてほしい作品です。
そしてこの美しい物語に触れてほしい。
きっと忘れられない作品になります。

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