物語はどんどんと変転していきます。
そのさまが実に素晴らしいし、それぞれのエピソードが輝いています。
不思議女子高生と猫とのほのぼの物語から、鏡をめぐる不思議なファンタジーへ
さらにそこから昔話のようないにしえの物語へ。
なんでも望みをかなえてくれる鏡の存在。
そんな魔法を前にしてもマイペースな女子高生主人公。
キャラクターの良さはもちろんなのですが、それを魅力的にする語り口がとにかくいい。
豊富な語彙を縦横無尽にちりばめながらも、読みやすくてイメージを喚起する描写。
シリアスになるとコメディーできれいにひっくり返してくる間の取り方。
これはもう文字を読む楽しさそのものが文面にあふれているのです。
そして物語が進むにつれて明らかになっていく驚きの真相、絡み合った因縁がほどけていく様、この辺りはミステリーの面白みたっぷりです。
しかしながら、とにかくラストにかけて展開される魔物と僧侶の切なくも美しいエピソード、これが素晴らしかった。
人間の醜さと美しさ、どうしようもなさと気高さ、そんなものが高らかに描かれていて感動しました。
とにかく読んでみてほしい作品です。
そしてこの美しい物語に触れてほしい。
きっと忘れられない作品になります。
高校生の時雨〈しぐれ〉はある日、不思議な猫と出会う。夢か現か。誘われるようにして入り込んだ西洋館で、彼女は幼かった頃の記憶を蘇らせていく――。
序盤、友だちとの楽しい日常に不気味な気配が忍び寄り、これはホラーなんじゃないかとドキドキしながら読んでいました。
そんな中で、時雨ちゃんの天然キャラが癒やしを与えてくれます。本人は必死ですが、天然のボケや冴えたツッコミに、思わず笑ってしまいました。
「鏡の間」での冒険は、美しい世界が広がり、感嘆が漏れました。
時雨ちゃんが怖がりながらも進んでいく姿が、健気で可愛らしかったです。こちらも一緒に冒険をしている気分になって応援していました。
後半からは怒濤の展開!
一つ謎が解決するとまた謎が増え、どんどんと惹き込まれていきます。「だからこんなこと言ってたのか!」「だからこんなことしたのか!」と、物語の繋がっていく感覚がとても楽しかったです。
キャラクターの心情も丁寧に描写されていて、作者様の愛を感じました。涙なしには読めなかった!
最後まで読めば、最初見ていた景色とはまったく違うものが見えてきます。
何度も読み返して楽しみたい作品です。
現代和風ミステリー小説です。
冒頭は学園物語の雰囲気がありますが、主軸になる部分は冒険和風ファンタジーです。謎が謎を呼ぶ展開。徐々に謎が明らかになっていく様子は爽快感も感じることが出来るでしょう。
好奇心、恐怖、そして心の温かさが詰まった作品です。
人を疑う心や憎む心理など黒い部分も、しっかりと描かれますが、同等の美しくも優しい心も描かれております。
読後感は間違いなく清々しく温かいものでしょう。
軽快な物語の進行、安心のできる日常から忍び寄る不気味な出来事。
自然豊かに溢れる美しい情景描写に、登場人物を魅力的に描く面白さ。そして、幻想的な非現実を書き分ける執圧は、まさに一級品でした。
コミカルな部分とシリアスな展開の押し引きが絶妙で、とにかく惹きつけられました。応援コメントや応援ボタンを忘れそうになるぐらい夢中になってしまいます。
本作が作者さまの初の長編作品と知り驚愕しました。
無駄のない簡潔な情景描写、台詞に物語の展開。童心ならではの発想。歴史や自然物に対する知識。人間の心理描写など、どれを挙げても洗練されたものでした。
こんなにも素晴らしい作品に出会えたことに感謝します。
そして作者さまが執筆、公開してくれたことに感謝を込めて本作を推薦致します。
どうぞ、是非拝読下さい。
和風ファンタジーに分類されるお話です。
主人公が不思議な『鏡』にまつわる冒険をし、徐々に秘密や過去が読み手側に提示されていくのですが……。
最初は、「高校生女子の日常」みたいなところから始まるわけですよ。だから、「現代和風ファンタジーかな」と思いながら読み進めたのですが……。
徐々に、幼い頃の記憶や過去のシーンに移行していき……。
そこからは、個人的には『児童文学』のように感じました。
私が小学生の頃に読んだら、きっと夢中になるだろうな、と。
授業中にも本を開いて、教科書で隠しながら一気読みしただろうな、と思いました。
(もちろん、大人になった今も夢中になりました。……ただ、子どもの頃と違い、時間が……。一気読みするだけの時間が……)
後半。
法師さまとシグレの関係性が分かり、その心の行き交う様は非常に『日本的』で、読み手の心情を打ちます。
是非。
秋の夜長にご一読下さいませ。
主人公が不思議な世界に迷い込み、鏡をキーワードに謎を解き明かしていくファンタジー作品。鏡の意味、鏡の由来、鏡の効果。色々な要素が盛り込まれて鏡に封じられた者たちが登場します。それらに向き合う主人公の姿が、可愛らしく、そして面白く表現されているのも魅力の一つです。
色々な種類の樹木や花の名が情景を彩ります。古の伝説や古文の授業で習ったような古い言葉が出てきます。同じ名前の人物も複数登場します。でも、難しくない。すんなりと受け入れて読み進める事ができます。わかりやすく読んでもらおうと、いろいろな角度で工夫に割いた労力と能力、そして作者様独自のユーモアと美的感覚で登場人物たちに花を添える筆力に、グイグイと引き込まれていくこと間違いないでしょう。鏡の謎を小分けにして、次々と面白いエピソードを作りだしていく手法も勉強になりました☆
心が晴れ渡ってゆくのを感じさせてくれる。そんな現代ファンタジーでした。
いわくありげな鏡を巡る人と人、それと一匹。
彼らはそれぞれの思いを胸に鏡と関わって行きます。(約一名はそんな大層な思惑もなく関わっていますが(笑))
学園ドラマ主体のあっけらかんと明るく楽しい物語と思いきや、鏡の謎へと迫るにつれ様相が変わり、本格的なミステリーへと豹変を遂げました。最初からその重さを示唆されていたなら、とてもではありませんが短期間で読める文字数ではなかったのですが、導入から転機、変貌を経てラストに至るまでの構成が見事で、あれよあれよと言う間に読み進めてしまいます。
時雨と時雨とシグレ、林と鈴とリン。
現在と過去、そして異空とそこで出会う人達を巻き込んで展開する冒険活劇。
幾重にも絡まり続ける糸と人の思惑。
謎が解けてゆく時のスピード感と、その後に現れる新たな謎。
どれもこれも読者を魅了して止まないパーツ揃いで、気づいたときにはどっぷりと感情移入をしてしまっています。
こんな物語が読みたかったのだと、読後改めて思いました。
女子高生の時雨(しぐれ)ちゃんが、友だちと世間話をしていると、空から猫がボーンっ!と降ってくるところから物語はスタートします。
時雨はある理由から鏡を探すこととなり、物語は深く深く紡がれていきます。
時雨ちゃんの純粋で、ひたむきで、とにかく前に進もうとする姿勢(でもちょっとおっちょこちょいで、言動がおもしろい)に応援したくなります。
日常から非日常へと連れ込まれた1人女の子の冒険劇。そこには様々な出会いがあり、別れがあり、喜びがあり、そして成長していく。
時雨ちゃんの背中を見ながら、一緒に冒険しているようでした。
また、作中にはネコやヘビ、カメといった動物たちが登場します。
この子たち、しゃべります。話します。
作者さまの「終わらないエンドロール」シリーズ(←こちらもおすすめです!)に登場してくる動物たちのように愛嬌があるキャラクターになっています。
愛嬌だけでなく、物語上、重要な役割を持っているので、目が離せません。
個人的にはヘビくんが結構好きです。優しいし、カッコいい!
ぜひぜひ読んで見てください!
人間の根底にある優しさと哀しさが壮大なスケールで語られます。でもスルスル読めちゃうのは、溢れるユーモアと豊かな表現のなせる技!
特に中盤のクライマックスは是非映像化してほしい美しさでした。
そして全編を通してネコと女の子が可愛いです!
後日談もいつかスピンオフでみたいです!
以下、序盤を読ませていただいた際のレビューです。
リズム感のある文章とユーモアでどんどん読めちゃいます!
作者のこの作品世界に対する優しい眼差しと爽やかな空気を感じます。
まだ途中ですがこの先どうなるのかドキドキしています。
あと食べ物の描写が秀逸!
是非!読んでもらいたい作品です!