優しく、怖く、面白い。少女と猫の記憶の旅。

高校生の時雨〈しぐれ〉はある日、不思議な猫と出会う。夢か現か。誘われるようにして入り込んだ西洋館で、彼女は幼かった頃の記憶を蘇らせていく――。

序盤、友だちとの楽しい日常に不気味な気配が忍び寄り、これはホラーなんじゃないかとドキドキしながら読んでいました。
そんな中で、時雨ちゃんの天然キャラが癒やしを与えてくれます。本人は必死ですが、天然のボケや冴えたツッコミに、思わず笑ってしまいました。

「鏡の間」での冒険は、美しい世界が広がり、感嘆が漏れました。
時雨ちゃんが怖がりながらも進んでいく姿が、健気で可愛らしかったです。こちらも一緒に冒険をしている気分になって応援していました。

後半からは怒濤の展開!
一つ謎が解決するとまた謎が増え、どんどんと惹き込まれていきます。「だからこんなこと言ってたのか!」「だからこんなことしたのか!」と、物語の繋がっていく感覚がとても楽しかったです。
キャラクターの心情も丁寧に描写されていて、作者様の愛を感じました。涙なしには読めなかった!

最後まで読めば、最初見ていた景色とはまったく違うものが見えてきます。
何度も読み返して楽しみたい作品です。

その他のおすすめレビュー

宮草はつかさんの他のおすすめレビュー365