圧倒的な火の迫力 響き渡る歌姫の願い そして珠玉のストーリー

第52話まで読んでの感想です。あとはエピローグを残すところだと思いますが、レビューを。

特別消防部隊員である主人公「清志郎」、ある日彼は特殊な火災に出くわすことになります。ここで描かれる火災現場の迫力があまりに圧倒的、まるで本職が書いたような緻密な設定・知識によりその現場のリアリティーが増しています。まるで災害映画を見るような、生々しい現場の中、そこにスルリとファンタジーという異物が紛れ込みます。

そしてここからが作者の真骨頂。不思議な物語がゆっくりと流れ始めます。登場するのは江戸時代に活躍した歌姫「シオン」彼女は守り神のような存在で、やがて引き合うように二人は出会うことになります。

引き合うように交錯する二人の運命、結ばれる友情、悲しい過去、やがて明らかになる強大な敵、その敵を打ち破る唯一の方法……と物語は時にコメディたっぷりに、そして情感たっぷりに、二人の想いをどんどんと積み上げていきます。そして訪れる手に汗握るクライマックス。
文章の読みやすさ、会話文のテンポの良さ、とにかく気持ちが盛り上がっていく盛り上げ方と構成、どれをとっても一級品のエンターテイメント小説です。そして最後に訪れる幸せな気持ちになるエンディング。

ぜひぜひ読んでいただきたい一作です!

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