溢れ出る「ワクワク感」を具現化したような文章。心臓が、沸き立つ。
- ★★★ Excellent!!!
男の子なら、当然バトルが好きですよね。
そして、すごいバトルを見るのはもちろん、やっぱり自分もすごいバトルをしたいんですよね。かめはめ波や二重の極みを練習していた子供の頃の僕は、間違いなくそう思っていたわけです。
この小説に出てくるVRゲーム「プラネット」は、それを叶えうるツールです。男の子なら、それだけでワクワクしないわけがない。しかも、これほどに興奮を煽る文章でプレゼンされているなら、尚更です。
読み味としては、「ドラえもん」に近いものを感じました。少し不思議な秘密道具を使って、普段できない遊びをする。そういう、ドラえもんでしか感じたことのないような強い「ワクワク感」を覚えました。鋭一くんも、葵ちゃんも、本当に楽しそうに遊ぶ姿が印象的です。
また、キャラクターが本当に可愛い。挙動や言動はもちろんですが、重いものを背負っていたりもするのかもしれないのに、ゲームを遊んでいる時はそんなことをおくびにも出さず、ひたすら楽しそうな姿がカラッとしていて、爽やかさすら感じます。楽しそうな人を見ると、楽しくなりますよね。そういう感じです。
戦闘描写も丁寧で、一つ一つの動きが分かりやすく、かつそこに込められた戦略を描くので、ワンアクションごとにこの後どうなるのかという緊張感を醸します。だからこそ、興奮する。
今から読まれる人は、是非三話まではお読みください。三話で行われる戦闘は、ワクワク感、緊張感、そして興奮の全てが最高潮に達する、前半の山です。
格闘技が好きで、ゲームが好きで、楽しく遊んでいる人たちが好きな人は、間違いなく楽しめると思います。