さながら杖を作るかのように、一つ一つ丁寧に紡がれる話

まず、何よりも雰囲気がいいです。表題から想像される空気を全く裏切らない、優しくも丁寧で、幻想的かつ地に足のついたお話作り。求めていたものを与えてくれたというだけで、好感度はうなぎのぼりです。

その雰囲気を支えるのは、作り込まれた世界観。一つ一つの事柄が、「魔法にとって変わられつつある文明」という世界観に、実に見事にマッチしています。特に、魔法は豊かさを産み出したけれども、なんでもできる代物ではないという設定が好きです。

また、キャラクターの心情描写も凄くよい。先生は多くを語らずとも人となりがどんどん見えてくるし、ラストくんの幼さと真面目さの混在するキャラクターは、凄く魅力的なものです。特に、「廃光晶の欠片」は凄くよいお話でした! 心捕まれました。

何がよいって言うと、突出してよいところを一言で言うのは難しいです。全部の良さが絡み合って、ひとつの素晴らしい物語を作り出しているという印象。続きも楽しみにしています。

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