竜眼(りゅうがん)

作者 和久井 透夏

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★★ Very Good!!

郷土料理や伝統文化。

今の時代、敬遠されてしまいそうな言葉ですが、それらの素晴らしさと美しさを再認識させてくれる作品です。

本来、故郷や郷土料理への愛は、絶対に誰もが心のどこかに持っているもの。

ただ、たまに忘れてしまうのです。
たまに、埋もれてしまうのです。

だから、たまには思い出してほしいのです・・・

★★★ Excellent!!!

ああ、とても感動して涙が出そうなのに、上手い言葉が見付からない。
著者の代表作とは全く違ったテイストの、家族愛がテーマの作品だ。
竜眼とは何ぞや?
固ゆで卵の回りに魚のすり身をつけて揚げた、卵の黄身を竜の目に見立てた長崎(主人公の郷土)の料理である。
危篤の枕元で、母が主人公の作った竜眼が食べたいと言う。
悲しくも暖かい、涙が零れそうになる珠玉の短編だ。

★★★ Excellent!!!

一読してため息が出た。
この人は、どうして。
私が苦手とするものを、こんなにも優しく書けるのだろう。


竜眼という聞き慣れない料理。
私には食べられない、とある材料を使っているらしい。
けれども見てみたいのだ。
作中の「私」が作る竜眼と、それを食する母君の笑顔を。

長崎の街並み。
父と母。
「私」を取りまく世界と人々を見つめるまなざしは、ただただ温かい。


竜眼。人々を見守る瞳。
この温かさがずっと受け継がれてほしくなる。
ぜひ多くの人に読んでほしい一作だ。

★★★ Excellent!!!

『竜眼』という、聞き慣れない料理にまつわる物語。

僕は初めて聞いた料理だったけれど、この物語を読み終わってみると、不思議と親しみやすい、まるで昔から知っていたかのような料理に感じられてしまう、そんなお話し。

もの悲しく、切ないんだけれど、それでも未来へと――親から子供へ、その子供が親になった時に、また子供へと繋がっていく短くも長いお話し。

料理のレパートリーがいくつあったとしても、受け継がれた料理よりも思い出深い味は存在しないのだ。あなたには、そんな味がありますか?

★★★ Excellent!!!

誰にでも死は訪れます。
それがたとえ、血の繋がった家族でも。
だから人は、自分の子供に願いを込めるのでしょうか。

そんなことを考えさせるような素晴らしい物語でした。
日本の文化と家族は大切にしようと思います。

竜眼、はじめて知りました。
名前がかっこいいです。

★★★ Excellent!!!

家族とは、人が生を受けたその瞬間に属することとなる最も根元的な所属集団と言える。
だからこそ、最も大切なものであり、同時に最もその大切さを見失いやすいものでもある。

月並みな話だが、一人立ちし、親元を離れた人間が親と過ごせる時間というのは本当に限られていると言われる。
仮に盆と正月のみ帰省するとすれば、それぞれ五日前後、両者を合わせても十日程度しかない。
つまり、一年でたった十日しか顔を合わせないことになる。
仮に膝下を離れてから両親が三十年息災でいてくれるとしても、顔を合わせる日は合計してたった三百日しかない。
つまり、家を出た人間が家族と共に過ごせる時間は一年あるかどうかわからないのだ。

この物語は長崎の実家にいる母が倒れたという知らせが届くところから始まる。
喪服を持って帰ってこい。
そう言われて実家に戻るのだ。

危篤の母に対面し欲しいものを尋ねたところ、竜眼が欲しいと答える。
私は寡聞にして知らなかったがそのような郷土料理があるらしい。このあたりは本文に詳しいので是非とも本文を読んでお確かめ頂きたい。

母の作る料理は子にとって特別なものである。
「家の味」なんて言葉があるように、料理とは一つの家ごとに違った味がある。
それを受け継いでいくことが家を受け継ぐことなのだとも言えるかもしれない。

主人公は実母に昔教わったとおりに竜眼を作り、振る舞う。
母はそれを喜んで食べるのだ。

その味はやがて子へ孫へ受け継がれていく。
一つの個体としての人間は有限である。
しかし、連面と続く何かは無限の連続性と続く可能性を秘めて持つ。
我々は自分が何を為し、何を残していくのか。そんな葛藤に苦しみ、生を潰している。
受け継がれる何か。
それが、人生の意味に苦しむ人間への一つの解答なのではないだろうか。

コンテストという観点から見ても、長崎という土地をリアリティー豊かに描写… 続きを読む

★★ Very Good!!

なんでしょう、あまり味わったことのない感情が込み上げてきました。

竜眼、初めて耳にする料理です。
どんな味がするのだろう。

地元の人なら、その味と共にまた違ったイメージを思い起こすのでしょうか。


暖かく込み上げるこの感じ。
これが「幸せな味」ということなのかもですね。

★★★ Excellent!!!

よく「人生の最後に何を食べたいか?」って質問を目にする。
答えは人によって様々だろうけれど、想い出深い料理を挙げる人は多いのではないだろうか。
何故ならば、それは幸せの記憶だからだ。
他の人にはなんてこともない料理でも、その人にとっては一口食べただけで記憶が蘇り、幸せな気持ちになれる。
ましてやかつて自分が作った料理を娘が受け継ぎ、その味をしっかりと再現してくれていたらどれだけ幸せなことであろうか。
綿々と受け継がれていく、その地方の、家庭の味。
これもまた確かに、ひとつの風景だと自分は思う。





★★★ Excellent!!!

短い文字数で、過不足なく故郷への思いを綴った、素敵な作品でした。
懐かしい家庭の温かさが、故郷の味によって表現されています。
その「竜眼」という食べ物の作り方や味わいなど、細部をしっかりと写し取った賜物で、細部が物語を豊かにするというお手本のような作品でした。

方言の柔らかさも、ノスタルジックな雰囲気を醸し出していました。

★★★ Excellent!!!

竜眼。
知っている人は少ないかもしれない。
だけれどたぶん、それはあまり関係がない。
何処の家にもおふくろの味というものがあって、それは、続いていくものなのだ。
そう、人の営みの、そのつながりのように。

(心地よい読後感に浸りながら)

★★★ Excellent!!!

母から子へ受け継がれる伝統の味。
しかし、受け継がれるのは味だけでなく、お母さんの愛もまた受け継がれていくのだと思いました。
読むと暖かい気持ちになる、読後感の良いストーリー。
竜眼は食べたことのない料理ですが、読んでいるだけでよだれがでてきて、思わず食べてみたくなります。