ランサム、異世界へ行く
野球の全てを極めた男、コーディ・ランサム。
2015年シーズンに向けて仕上げも順調だった。トリプルスリー、いや、4割70本100盗塁は確実だった。
そんな時。新外国人セラテリの策略により、ピッチングマシーンのボールを頭部に受けてしまう。
意識を失うランサム……。
目を覚ますと、そこは大きな島が空に浮き、竜やオーク達が生きる異世界だった。
「この世界では、野球が全てを支配する」
野球の強い国が権力を握り、弱い国は搾取されていく……。
ランサムを介抱してくれたエルフの美少女・マキータは、そんな世界の野球選手だった。
だが彼女の所属するツツーミ王国ヴェストレーヴェ隊は、かつては強豪だったものの、有力選手達の度重なる亡命により、もはやスタメンを女性のみで組まねばならぬ程に戦力が落ちていた。
勝ち目の薄い試合に悲壮な覚悟で望む、命の恩人マキータ。
そんな彼女を放っておける程、ランサムのハートは冷たくはなかった。