どこまでも真っすぐな物語

この作品の登場人物はどこまでも真っすぐ音楽に向き合っている。

メンバー集めを条件に『Bloody』の武道館ライブのバックバントをすることになった主人公のミリ。
天才的なセンスと耳の良さで、一切の妥協なくメンバーを探し回るのだが、ドラブルの連続で……


『武道館でライブが出来る!』二度とないようなチャンスをミリに持ち掛けられたとしても、みんなすぐに頷かない。
夢の舞台に怖気づいた? そんなことはない。
ミリが選んだ人は、みんな音楽を愛していた。
そして、自分の音楽を聴いてほしい人ばっかりだった。

すでに実力を周囲に認められているなんて、彼らには関係ない。
だって、選ぶのは話を持ち掛けてきた、ミリだから。
揃いもそろって彼女にオーディションして欲しいと言う。

誰かの代わりとか、そんなんじゃなくて、自分を直接選んでほしい人たちばっかり。
驕ることなんてない。音楽をとにかく楽しんでいる人なんですよ。

色々な世代の音楽人が出てくるのですが、もうみんな目をキラッキラに輝かせて……眩しいッ。

読んでいて本当、気持ちがいい。
途中ハラハラする展開もありますが、読了後の爽快感、これは素晴らし……い、と言いたいんですけど、続きが読みたくて、素直に言えない(笑)。

一応言っておきますが、中途半端に終わったとか、そういうことじゃないですからね。
ちゃーんと纏まっているからこそ、この感情って生まれるんですから。

でも、ヴァンパイアの2人があんまり物語に絡んで来なかった気がすん……
>>長~い物語の第1部を全部公開しています(引用)
おぉ、それなら納得だ。続きがあるんだ、安心安心。


ストーリとはあんまり関係のないところだと、音楽、楽器に疎い人(具体的にいうと、私)でも楽しく読めるような配慮がされていて、とても気持ちがよかった。

いつのも私ならGoogle先生の力を借りて、分からない言葉は(神話要素とかあった時は特に)いちいち調べていたのですが、『じゃんじゃん読み飛ばしちゃって大丈夫!(引用)』とあったので、文字通りじゃんじゃん読み飛ばしました。
そして、読み飛ばして正解。用語が出た少し後に、その言葉の簡単な説明が物語に違和感なく組み込まれていましたから。

誰でも読みやすい、読者を楽しませようと練られた文章ってこういうことなのかなぁ、と感じましたね。

うんと、たんと、たっぷりと楽しめるお話です。

さぁ、読んで。じゃんじゃん読んで。そして、こう書いて作者さんを焦らせるのです。

――「第二部楽しみにしていまーす!(大声)」、と。

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