花火はどこへ消えたのでしょう?

作者 深海 映

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★★★ Excellent!!!

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どれだけ素敵な思い出もいつかは色褪せて、
自分の成長と共に咲き終えた花火のように消えていく…

そんな感覚を丁寧に描いた短編。

ゆっくり淡々と、少しだけほろ苦さを挟みながら綴られていく、
少女から大人の女性への成長の物語でした。
作者様のあとがき?も近況ノートで拝見して納得。
確かにこれはハッピーエンドだなと私も思う。

明日お祭りに行くので読まずにはいられませんでしたよ!
また何年後かに自分で浸りたくなるような思い出を作れますように。
そしてそんな思い出が色褪せてしまうくらい
もっと楽しい思い出を重ねていけますように。

★★★ Excellent!!!

――

『花火はどこへ消えたのでしょう?』
そんな疑問系のタイトルに引き寄せられて拝読致しました。

丁寧で美しく、読者の頭にダイレクトにスッと入ってくる流れるような文章。

好きな人と一緒にいれる、一夜限りの花火大会の情景が、叶うことのない初恋の儚さを伴って描かれます。

しかし、この日のことだけで物語は終わりません。
成長した主人公が、あることをきっかけに、その花火大会のことを思い出しますが……。

さて、花火はどこへ消えたのでしょう?

★★★ Excellent!!!

――

ほとんどの「初恋」って、本人にとって、とても大切な思い出ですよね。

でも、それがどれだけ大切な思い出でも、時間が経つにつれ、どうしても薄れてゆく。断片的にしか思い出せなくなる。

それは「今」を生きていくために、新しい「恋」を見つけるために、必要なことかもしれないけれど、やっぱり寂しいですよね。

大切な初恋の思い出を忘れていくのは仕方がない、だけどやっぱり寂しいしやりきれない。

そんな気持ちはきっとほとんどの人が共感できると思います。

そんな気持ちを、初恋の思い出を、夏の切ない雰囲気で再認識させて頂きました。
とても雰囲気のいい作品です。

★★★ Excellent!!!

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好きになった人と 結ばれない恋。
それは、何処にも行き着けずに、浄化されることもなく
ずっと 自分のすぐ上に 小さな雲のように まとわりついて離れない。

それでも、いつしか、人は その雲を追い払って 忘れていくもの。
逢わなくなれば、遠くで なつかしく想えばいいのだから。
なのに、いつまでも すきな人が 至近距離にいたなら。

ずっと、すきな人の行方を 知ることができるのは
しあわせなようで、せつない。でも、やっぱりすてきなこと。
あの人の 記憶の断片にある 水色の朝顔を 大切に。

★★★ Excellent!!!

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淡く切ない初恋の記憶。

それは時間とともに美化されて、美談になって、どんなに心の中で脚色されても、結局は過去のことであり、徐々に忘れて行くものです。

主人公は年上の男性に憧れるも、次第に記憶が薄れ、大人になった頃にはおぼろげな思い出として、形骸化してしまう…。
この恋は墓まで持って行く、なんていう誓いも、そのときの感情論でしかなく、大人になって振り返ると、何とも滑稽に写ってしまう。

花火はどこへ消えるのか。
思い出は、記憶は、あのとき感じた真剣な気持ちは、どこへ霧散してしまったのか。

恋愛なんて所詮そんなもんさ、とシニカルに笑うのは簡単ですが、心の在り処について考えさせられる、素敵な掌編だと思います。

★★★ Excellent!!!

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記憶は美化される、とはよく言われるが、それだけじゃない。印象的なところだけが切り取られている。
では、忘れてしまった部分は?
過去が記憶の中だけのものならば、忘れてしまったものは、なくなってしまったことになる。
それでも、いいんじゃないだろうか。
過去は永遠に自分だけの過去なのだ。

★★★ Excellent!!!

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これはひと夏の思い出と、初恋の物語。姉の恋人であり、いずれ自分の兄になる人の恋をした切ない思い出の物語。

恋してはいけない人に恋をしてしまった妹の一人称で綴られる物語なのだが、けっして禁断の恋に発展したり、姉といがみ合ってドロドロとしてしまうような昼ドラ的な展開にはならないので、安心して読み進めてほしい。

むしろ、物語はものすごく穏やかに進み、そして穏やかに終わっていく。まるで夏の終わりの線香花火のように、すがすがしく切ない物語なのだ。

文章は淡泊でありながら情緒的で、細部にまでわたって抑制が効いている。そして巧みな比喩表現と、思わず胸を突く文章に、僕たち読者が過去に経験した初恋の思い出が、ふわりと喚起することは間違いないだろう。

そして読み終わった後で、あれほど思い悩んでいた、激しく燃え上がっていた、切なさに苦しんだ僕たちの初恋が、夏の花火のように消えてしまっていることに気が付くだろう。

この短くも愛おしい物語と共に記憶の川べりに立ち、あの日の花火を探してみませんか?

★★★ Excellent!!!

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小さな世界しか見ることのできなかった幼き日の記憶はキラキラしていて、美しく、いつまでもとっておきたくなる。だけど必ずしもそれがいつまでも残れば良いっていうものでもない。

美しい文章で、ある少女の切ない初恋を語った一作です。ぜひ読んでみてください。