楽しかったこと、辛かったこと、そして、切ない初恋も。すべてはいつか、思い出に変わる。記憶というものの儚さと、あたたかさを教えてくれる作品でした。
子供の頃の恋、いいです。しかも想い人は自分の姉が好きなんて。そこで終わらず、その後までしっかりと描いてくれているのがとてもよかったです。さわやかな余韻がありました。
どれだけ素敵な思い出もいつかは色褪せて、自分の成長と共に咲き終えた花火のように消えていく…そんな感覚を丁寧に描いた短編。ゆっくり淡々と、少しだけほろ苦さを挟みながら綴られていく、少女から大人の女性への成長の物語でした。作者様のあとがき?も近況ノートで拝見して納得。確かにこれはハッピーエンドだなと私も思う。明日お祭りに行くので読まずにはいられませんでしたよ!また何年後かに自分で浸りたくなるような思い出を作れますように。そしてそんな思い出が色褪せてしまうくらいもっと楽しい思い出を重ねていけますように。
『花火はどこへ消えたのでしょう?』そんな疑問系のタイトルに引き寄せられて拝読致しました。丁寧で美しく、読者の頭にダイレクトにスッと入ってくる流れるような文章。好きな人と一緒にいれる、一夜限りの花火大会の情景が、叶うことのない初恋の儚さを伴って描かれます。しかし、この日のことだけで物語は終わりません。成長した主人公が、あることをきっかけに、その花火大会のことを思い出しますが……。さて、花火はどこへ消えたのでしょう?
切ないですねえ……。姉妹ならではの恋愛あるあるでしょうか。きっとこういうことを経験した姉妹は多いと思います。だからこそ、普遍的に万人に響く。恋のライバルが友人ではなく、姉妹だからこその切なさと、美しさが、ぎゅっと詰まったほろ苦な小説でした。
いろんな恋愛の形があるんだなと思いました。読みやすく、情景が浮かんできました。
初恋は、叶わぬもの。 そして、忘れるという行為は、決して軽薄だからではなく、人が、前に進むために、とても必要なことなのだと思います。 余韻も素晴らしいですね。 夏の日に出逢うべくして出逢った作品でした。 ありがとうございます。
ほとんどの「初恋」って、本人にとって、とても大切な思い出ですよね。でも、それがどれだけ大切な思い出でも、時間が経つにつれ、どうしても薄れてゆく。断片的にしか思い出せなくなる。それは「今」を生きていくために、新しい「恋」を見つけるために、必要なことかもしれないけれど、やっぱり寂しいですよね。大切な初恋の思い出を忘れていくのは仕方がない、だけどやっぱり寂しいしやりきれない。そんな気持ちはきっとほとんどの人が共感できると思います。そんな気持ちを、初恋の思い出を、夏の切ない雰囲気で再認識させて頂きました。とても雰囲気のいい作品です。
好きになった人と 結ばれない恋。それは、何処にも行き着けずに、浄化されることもなくずっと 自分のすぐ上に 小さな雲のように まとわりついて離れない。それでも、いつしか、人は その雲を追い払って 忘れていくもの。逢わなくなれば、遠くで なつかしく想えばいいのだから。なのに、いつまでも すきな人が 至近距離にいたなら。ずっと、すきな人の行方を 知ることができるのはしあわせなようで、せつない。でも、やっぱりすてきなこと。あの人の 記憶の断片にある 水色の朝顔を 大切に。
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