概要
葬儀省のおくりびとイーサン・シヴィルベッドは、予め計画され選択された人生の最期を見届ける。
おすすめレビュー
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- ★★★ Excellent!!!あなたの死はあなたが決める
死の定義とは。私たちが生きる世界では脳が死んだら、心臓が止まったら。この世界では、注入された体を病魔から守り、また身体を維持するナノマシンが抜き出されたら。
私たちが考える死というのは、大概自身が予期できないもの。ある種の運命的なものに振り回される。対してこの世界における死とは、自身でナノマシンが抽出される時を決める、つまり自分で自分の死に時を決めることが出来る。
人の寿命というものが伸び切り、病気に冒されることなく平穏に淡々と生きることが出来るようになったら、人は自ら自身が最も幸福な時を選んで死ぬ。ある種の自殺にも似た死に方なのではないか、と思ってしまいました。人間という生き物が神を…続きを読む - ★★★ Excellent!!!8000文字の中に魅力がギッシリと詰まる良作
舞台は近未来の葬儀屋。
それだけで言うと少し古臭いようにも感じるが、作者の言葉選びの丁寧さとセンスでオシャレさを演出している。
話の節々でその世界の中の死生観について触れているが、どちらの意見にも肯定出来る部分や否定出来る部分があり考えさせられる。
まだ、話数も少なく、見えてこない部分もあるが、ミステリー的な要素を伸ばして行って貰えたら相当面白い作品になると感じた。
また、話にはあまり関係のない部分の事だが、作中の言葉で分からない箇所が多々あり(誤字脱字ではない)話の冒頭や終わりに説明文があれば良心的。
まぁ、それを踏まえた上でもこの作品は面白い。 - ★★★ Excellent!!!かくして、未来は広大で従順な魂の郊外となった。
この作品は、医療技術の進歩がもたらすであろう終末を描いている。
生が特別なものでなくなるとき、死もまた特別なものではなくなる。いつどのように生きたとしても、いつどのように死んだとしても、なんの痛みも、なんの後悔もなく、満ち足りて生きることが約束された社会。
それは、人生を平穏で満ち足りた一本の道にしてくれるだろう。生誕を祝福され、予定された出会いと死別があり、人生の絶頂のなか、自ら選択した満たされた死を迎える。まるで一本の映画のように美しく均整の取れた人生。まさしく、人生はあなた次第(Life's what yon make it)。
それは真の意味でアクシデントのない、退屈な世界であり、ま…続きを読む