.PERIOD.

作者 X天荒巛

41

16人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

 死の定義とは。私たちが生きる世界では脳が死んだら、心臓が止まったら。この世界では、注入された体を病魔から守り、また身体を維持するナノマシンが抜き出されたら。
 私たちが考える死というのは、大概自身が予期できないもの。ある種の運命的なものに振り回される。対してこの世界における死とは、自身でナノマシンが抽出される時を決める、つまり自分で自分の死に時を決めることが出来る。
 人の寿命というものが伸び切り、病気に冒されることなく平穏に淡々と生きることが出来るようになったら、人は自ら自身が最も幸福な時を選んで死ぬ。ある種の自殺にも似た死に方なのではないか、と思ってしまいました。人間という生き物が神を冒涜するようなどうしようもなく愚かな行為をする存在のように思えてやるせなく感じました。
 

★★★ Excellent!!!

医療技術の進歩で人類が死を克服した時代。人は自由の死を選択できるようになっていた。そんな世界で、死を選択した人々を送る『葬儀省』に勤めるイーサンが主人公。

『ナノマシン』と『クリーム』によって手軽に生を維持できる人類の魂は、どこか空虚で渇ききっている。ユートピアが完成したはずなのに、イーサンの視点で描かれる世界はディストピアそのもの。そして、その視線の先は死で溢れ返っている。そんな虚無的な雰囲気が文章を通じてひしひしと伝わってくる。

この物語の結末をぜひとも見届けたい!!

★★★ Excellent!!!

舞台は近未来の葬儀屋。
それだけで言うと少し古臭いようにも感じるが、作者の言葉選びの丁寧さとセンスでオシャレさを演出している。

話の節々でその世界の中の死生観について触れているが、どちらの意見にも肯定出来る部分や否定出来る部分があり考えさせられる。

まだ、話数も少なく、見えてこない部分もあるが、ミステリー的な要素を伸ばして行って貰えたら相当面白い作品になると感じた。

また、話にはあまり関係のない部分の事だが、作中の言葉で分からない箇所が多々あり(誤字脱字ではない)話の冒頭や終わりに説明文があれば良心的。

まぁ、それを踏まえた上でもこの作品は面白い。

★★★ Excellent!!!

この作品は、医療技術の進歩がもたらすであろう終末を描いている。
生が特別なものでなくなるとき、死もまた特別なものではなくなる。いつどのように生きたとしても、いつどのように死んだとしても、なんの痛みも、なんの後悔もなく、満ち足りて生きることが約束された社会。
それは、人生を平穏で満ち足りた一本の道にしてくれるだろう。生誕を祝福され、予定された出会いと死別があり、人生の絶頂のなか、自ら選択した満たされた死を迎える。まるで一本の映画のように美しく均整の取れた人生。まさしく、人生はあなた次第(Life's what yon make it)。
それは真の意味でアクシデントのない、退屈な世界であり、まさに魂の郊外と呼べる世界だ。
この作品は、そういう、空虚となってしまった未来を物語っている。

人々にとって空虚となった世界。
それを筆者の詩的で流麗な文体がいっそう美しく装飾する。
一言でいって、一読する価値のある作品だ。
ひとたび読めば、あなたもこの美しい終末の世界の虜となるだろう。