第8話 予行演習(リハーサル)
「何なのコレ?」
〈
〈俺〉は、あわてて左右に目を走らせる。
幸いなことに、誰もこちらを見ている者はいない。
「ぉぃ。
もっと
ちゃんと聞こえてる」
「じゃ~あ。
これでどお?
じゃじゃーん。
〈
「やめないか!
それなら、“
『ちぇっ。
おもしろいと思ったのに』
「遊びに来たんじゃないんだぞ!」
〈俺〉は、いかにも通信しています。
というように、ワザとらしくインカムに手をやりながら話す。
もちろん、小声でだ。
〈
『“
楽曲スタート
楽曲終了
退場”って、コレだけよ?
わたしへの指示』
「ブリーフィングを聞いてなかったのか?
その間、ずっと会場をスキャンニングしているんだぞ……。
パフォーマンスをしに来ているんじゃないんだ。
会場の警備任務なんだぞ」
ステージ
それに
「そんなのわかってるよ。
何度も同じようなこといわなくったってさ。
歌って
「ダメだ!
余計なことは一切するな。
こういう任務ではな。
なるべく目立たないのが、
観客にとっては、ちょっと残念なぐらいのパフォーマンス。
それでちょうどいい」
などと言っているウチにも……。
「わあー。
これが
ステキ~。
お人形さんみたい!」
と、声をかけてくる出演者に軽く右手を振っている〈
〈俺〉は、もうすでに「目立たないというのは無理かな?」と思いはじめていた。
それにちょっと少女が
だが、無機質な〈
その美しさは、
リハーサルのステージでは、
〈
が、そのときメインホールの入口のほうに顔を向けた。
『〈
あの警備員。
本日の
「
〈俺〉は壁の時計を見るフリをして、視界の
確かに、何か落ち着かない感じだ。
周囲にほかの警備員の姿を探すが、あいにくいない。
「〈
『わたしのセンサが必要になるかも?』
「よし。
着いて来い。
命令するまで何もするなよ?」
『
〈俺〉たちは、〈警備員〉を見ないように近づいて行く。
しかし、〈俺〉は会場では自分が目立つ存在である。
そのことに、いまさらながら思い
〈俺〉は
『先行してくれ、
『了解。
まかせて!』
〈俺〉が歩みを
『デイパックの中身が気になる』
『接近して、スキャンします』
『前方から行け。
〈俺〉は
『了解』
〈
『〈
デイパックの中に金属反応アリ。
毎度ながら、その
そんなことを頭の
「
『いまのところ、それらしきものは確認できず』
「よし確保しよう。
〈俺〉が行く。
ゆっくりと、
落ち着いて行こう」
『了解。
行きます』
「あの。
スイマセン。
警備員さん?
ちょっとイイですか?」
〈
立ち止まり、周囲を見回すと〈俺〉と目が合う。
そのぎょろついた目つきから、〈俺〉は
コイツはダメだ!
イッちまってる!!
「〈
「えっ!?」
〈
そして、デイパックと
〈
振り向きざまに〈
こういう
そして、
今回ばかりは誤ったようだが。
〈
しかし、
周囲で
「警備員はどこだ?」
だの……。
「警察を呼べ!」
だの……。
混乱した状況をなんとなく聞きながら、〈俺〉は〈
次の瞬間。
「クソっ!
この
〈
そして、〈
〈
周囲から、
だが、〈
〈
〈俺〉は訓練のタマモノだなと思いながら、〈
「相手がワルかったな。
手首を
〈俺〉は、
〈
そして、落ちた
それを視界の
「なんなんだコイツは!!
〈
その後、強引にステージに向き直った〈
「馬鹿にしやがって!
殺してヤル!!」
どうにも、
まったく、聞くに
教育が必要だ。
ステージの上では、ひとりの少女が耳をふさいでしゃがみ込み、ほかの少女たちが心配そうにしている。
もがき続ける〈
「〈
まわりに
『了解』
〈
『〈
離れて!』
〈俺〉が手を
「バチッ」と音がして、ギャーギャー言っていたのが
「おい!
大丈夫か!?
〈俺〉は、
そして、非常口のほうへ引きずって行く。
「指示は?
〈
『駐車場に陸軍のクルマがあるそうです。
そこへ……」
「陸軍?」
〈俺〉は、こういうときの部隊と言えばアレしかないか……と思いながら、駐車場へと向かう。
すると予想とおり、
〈俺〉はターゲットを引き
ちょっとだけだが……。
〈俺〉は〈
「よくやった。
腕は大丈夫か?」
「ぜんぜん大丈夫じゃないよ!
せっかくの
〈
〈俺〉はその昔、
〈
「これじゃあ、ステージに上がれないよ。
どうしよう……」
「いや。
これだけの
残念ながら、
今日はコレでお
「えーーーーーーーーーーーーーっ!?」
〈
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