モルモット小隊の帰還
SKeLeton
第1話 モルモット小隊の帰還
「しかし、なんとかならなかったのかね?」
「〈
『いた仕方がなかったこと』
として、処理済みのハズです。
いまさら、この場で
「
私にだって
だが、〈
「ちゃんと〈
それに〈
いまはそのことを喜ぶべきでは?」
「それはそうだが……」
〈俺〉は、プロジェクトには
それが「組み込まれていたハズだろう?」と思う。
〈俺〉と〈AIユニット〉どちらかが失われてしまっていたとき。
そのときは、
「〈
今回のあなた
イベント会場の
〈
それを
「警備は警備会社にしてもらってくれ。
なんだったら、元
〈俺〉が
略してGPは、〈
それも、やっとのことでだ。
それから、まだ数日しか
緊急事態でもないのに……。
これは、ちょっと……。
働き過ぎ、というものじゃあないのか?
「
「中止したらいいだろう?」
「
このご
ひとつもイベントは
「
イベント会場は、民間人で
戦場で、敵兵を相手にするよりタチが悪い。
「〈
〈
〈
〈俺〉を除けば、我が小隊、唯一の構成要素は〈
〈
「調整中ですが、勝手が違うようです。
ずいぶんと……。
でも、〈
すごくがんばってる。
見ていて、痛々しいほどに……」
「俺も〈
でも、“彼女”は言い過ぎじゃあないのか?
それとも、〈
お人形さん
「〈
〈
〈
「〈
と、いうのなら
しかし、くれぐれも。
それを忘れないように。
「
「では〈
後はよろしく。
私もおかげさまでいろいろと忙しいものでね」
〈
「〈
心配してたの。
〈
〈俺〉に向き直った〈
それが、
「〈
『何があっても〈AIユニット〉だけは持ち
と」
「えぇ。
〈
「おかげでこっちは
もう少しで
「ごめんなさい。
あたしがもっと考えて
もしも〈
娘さんにもなんて言ったらいいか……。
本当にごめんなさい」
〈
〈俺〉は、〈
そして〈俺〉は、肩に置かれた〈
「すまない。
そういうツモリで言ったんじゃないよ。
送り出すほうがツライってこともある。
待つことしかできないほうがな……」
〈俺〉は〈
〈
有能で、将来を
しかし、とある事件の
彼と彼の妻(〈
〈俺〉は彼らを救うべく、現地へ飛んだ。
でも、〈俺〉が突入したとき、彼らはすでにこの世になかった。
彼と彼の妻は、寝室のベッドの上で真っ二つになっていた。
文字通り真っ二つだ。
〈俺〉は、
しかし、目を
こういうことを経験すると……。
「犯人と交渉すべきだ」
などという、エセジャーナリストの話に耳をかすことなどできなくなってくる。
そして、寝室のクローゼットから救いだされたのが〈
まだ少女だった〈
すべてを目撃してしまったハズなのだが……。
いまだにあのときの記憶だけは戻らないのだという。
でも、そのほうがいいのかもしれない。
過酷過ぎる
それには、きっと……。
心が
あのときの少女が、いまや陸軍の研究開発施設群の中でも先進的といわれる〈
その研究員というワケだから、〈俺〉も
優秀な
でも、あの少女が立派に自立した女性として……。
いま、〈俺〉の目の前にいる。
心地よい重みと、
「すまない。
〈俺〉を
それなのに、あまりに非礼な言い草だった。
ありがとう。
おかげでまた娘に会うことができるよ」
〈俺〉は作戦から戻ってからのドサクサ。
そのせいで、まだ言うことができていなかった気持ち。
やっといま、それを伝える機会を得た。
「じゃあ、〈
新しい情報を聞こうか」
「〈
もう〈
〈俺〉は〈
そこに、ただならぬものを見る。
「私たちが〈
というより、〈
それは……人間の女の子なの。
だから、もう、そんな言い方はやめてほしい。
たぶん、今後も〈
〈
〈
あたしはもう大丈夫。
だから、今度は〈
「……」
〈俺〉は言葉を失う。
『行ってください。
どうせ、もう、わたしには
〈
頭の中に先日の〈
〈
ヤケに人間臭いことを言うとは思ってた。
だが、本当に
それに女の子だと?
「〈
そういう
だが、まさか、〈
そうか!
だから!!
「“モルモット”っていうのは、そういうことか!?」
〈俺〉はてっきり、ロボット兵器を運用する〈俺〉の
それが“モルモット”なのだ、と思っていた。
でも、本当は、本当の意味は……。
なんてこった!!!
〈
「このことは、〈
そして、あたしの
〈
このことが明るみに出れば、〈
それぐらいの
「ビックリだな!
立派な
「あたしが、誰かに非難されるのは覚悟してる。
だけど、〈
〈
今度は私が、〈彼女〉を救う番だと思ったの。
〈
あたしも〈
あのとき〈
「見せたいものがある」と、〈
すると、しばらくして〈俺〉も何度か会ったことのある、顔見知りの〈女性職員〉が現れた。
そして、ファイルをひとつ〈
〈女性職員〉は、〈俺〉に気づくとニッコリと笑って会釈した。
〈俺〉は穏やかな微笑を浮かべて、うなずいてみせた。
〈女性職員〉は、口を開こうとした。
しかし、深刻そうな〈
すると、ハッとした表情を浮かべた。
それから、「失礼します」と言って下がっていった。
なんとなく、実の娘を連想させる〈
特に顔立ちが似ているのでもなければ、年齢が近いのでもないのだが。
もしかしたら、〈俺〉を見てうれしそうに微笑んだときの
それが娘を思い出させるのかもしれない。
〈
そして、〈俺〉のほうへゆっくりと
いまどき、紙のファイルとは珍しい。
表紙に押された“
その存在が、
〈俺〉が表紙をめくると、少女の
透けるような色白の肌、整った顔立ちは、美少女と言っていいのだろう。
だが〈俺〉は顔立ちよりも、その
両の
それは、この少女の意思の強さを感じさせるものだ。
〈俺〉はまるで、重要な任務を
そういう眼をした兵士は、必ずやり
たとえ、任務がどんなに困難なものだったとしても。
「父親役をやれって言うのか?
この〈俺〉に?」
「そうは言ってないわ」
「ハニー。
〈俺〉には、そう聞こえたよ」
「いい?
〈
別に父親役や過度の愛情なんて期待してない。
この場合、逆に有害だわ。
それに“普通”ってけっこう難しいのよ?
でも、〈
だって、〈
なんだ、それは!?
〈俺〉は〈
その、いたずらっぽい
「簡単に言ってくれる。
〈俺〉にできるもんか」
どう考えても〈俺〉は……。
いわゆる、一般的ないい父親ではないだろう。
任務で
約束だって、いつも守れるかどうか
どちらかといえば、父親失格……。
そう言われても、
「あら〈
〈
「……」
「あたし、あとで
あんまりふたりの息が合いすぎてて……。
ちょっと、
「……」
「そろそろ行きましょう。
〈
きっとビックリするわよ。
〈
〈俺〉は、新しい
例のヤツを思い浮かべてしまう。
よく、イベント会場で案内や
クルクル・キビキビ走り回る、
無骨で
安っぽい銀色に輝く、
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