第12話 撤収(リターンホーム)
〈俺〉は駐車場で、〈
すると、聞き覚えのある声がした。
「さっきはどうも」
「やあ」
〈元カレ〉だ。
「〈
「やはり、電池が切れたよ。
いま中で補助電源に接続してる」
「そう……ですか……。
あ、歌、聴きました。
ヤバかったです。
まるで自分のことみたいに……。
言葉がせまってくるような
「また、どこかのイベントか何かで会えるんじゃないか?
まだ、いつとは言えないが……」
〈俺〉は〈
「実はオレ……。
国外からの
正直迷ってる。
でも、〈彼女〉がくれたチャンス。
自分を
そうか、それなら、もう、しばらく会えないということか。
でも、それは……。
「ちがうな」
「……」
「『自分を
『キミと〈彼女〉を
俺は、右の
そして、彼の胸にそっと押し当てる。
「まず、自分が信じないでどうする。
自分のことも、〈彼女〉のことも」
彼は〈俺〉の目を見た。
視線をそらすことなく受け止めた。
「答えは、もう出ているみたいだな」
〈俺〉は、ゆっくりと
「なんでだろう。
会ったばかりのあなたに、こんなことを言うなんて……」
「きっと。
〈
〈俺〉は背後のクルマを親指で
「そうかもしれません」
〈元カレ〉はうなずいた。
〈俺〉は〈元カレ〉と別れて、〈
〈
「どうだ?
気分は?」
「『
なんて、よく
『
こういう気持ちなんだね。
もう、なにがなんだかわかんないの!
自分の気持ちが、さ。
なんか、もう……。
いろいろで、いっぱいいっぱいをとっくに通り
笑っちゃいそうだもんっ!!!」
そうか、外での〈元カレ〉とのやりとりが聞こえたか。
地獄耳も
「聞いていたのか……?
……とにかく、〈
いくらなんでも、今日はいろいろあり過ぎだ。
〈俺〉は運転席に声をかけた。
「クルマを出してくれ」
「〈
〈
そして、口を開いた。
「あー。
でも……。
『飲みにつれてって〈
“生前”だったら、そんなキブンね。
たぶん……」
「“生前”は、か。
もう、そんな言い方はやめたほうがいい」
「でもさあ……」
「〈
それに機械でもない」
「……」
「自分で未来を切り
それを
ほかの
だが、少なくとも〈俺〉はそうだ」
「……」
「よし、今度、飲みに連れてってやる。
とっておきの場所にな」
「優しいね。
〈
「命の
それに……。
どうせ」
「えー。
イメージちがわなーい?
いつも軍人さんたちに大人気なのに……。
いが~い。
それになんか、それじゃあ。
わたしが
「文句をいうな。
とっておきの場所だぞ!
どうせ、〈
「うわ~。
ひっどーい。
〈
〈
ひねり
「ワルかった。
それだけは……。
カンベンしてくれ!」
その後、〈
〈
異例中の異例だが、
この手の、あちらこちらの
よっぽどこの前の
実に手っ取り
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