章の名前当てカルタ勝負

ここから先は会話文のみで進むため、下記の通りキャラ名を省略させていただきます。


葉胡桃萌木:萌木

安部晴明:晴明

南雲・霞・十二神将:そのまま

源義俊:義俊

作者:皆麻


◇◇◇


皆麻:「これより、“章の名前当てカルタ”を始めます!!」

南雲:「歌留多かるたなる遊戯ならば聞いた事あるけど、“章の名前当て”ってのは一体…?」

萌木:「作者曰く、『装い改めますればっ!』に出てきている章の名前。あれは重ね色目の名前からつけていて、私が現代と平安時代に滞在していた期間を現すようなモノなの。でも、読み手はわからないだろうから…って、企画したみたいよ?」(私は元々知っていたけど…)

義俊:「歌留多かるた…絵札のようなものであろうか?」

皆麻:「そういう事★これから私が、本編に出てくる話の一端を口にするので、それを元にここにある牡丹の章~櫨の章の字と花の札を取って一番多く取れた人が勝ちです!」

晴明:「やり方はわかりましたが…これは色目の知識がある萌木が有利なのでは…?」

皆麻:「うん。故に、参加者は晴明様・南雲・義俊・霞・十二神将で行います。萌木は皆が迷った時にヒント出したり、解説する役」

萌木:「え~!?」

天一:「我ら十二神将は…一人ずつ交互に参加せよ…という事でしょうか?」

皆麻:「そういう事!!最も、朱雀ら“四神”の神将は、都の守りがあってこの場にはいないので、八神将で回してね!」

霞:「よくわからないけど、面白そう!!早く始めましょ♪」



皆麻:「では、最初。萌木が初めて、十二単を着たのは…?」

霞:「あった!萩の章!!」

萌木:「流石、霞!やっぱり早いね★…ちなみに、萩は6月~7月にかけて使われる色目。私が平安時代にいた時の話ね!」

義俊:「…あの時の萌木殿は、まるで天女の如く美しかったですぞ」

晴明:「“馬子にも衣装”とは、まさにこれをいうのでしょうね…」

天一:「…晴明様。それは、女子たる萌木に失礼かと…」

南雲:「そういえば、あの時していた髪型って垂髪でも束ねでもなかったね?あれって、“先の世”の髪型とか…?」

霞:「あれは、あたしのオリジナルかな!夜の密仕では、己の髪を自分で結っていたし…」

義俊:「霞は何でも器用にこなせるから、いとうらやましいぞ」



皆麻:「次いくよ!南雲が王家の別行べつぎょう(=別荘)に行くという名目で、晴明様や十二神将を連れて出かけたのは?」

南雲:「…あれって、いつ頃だったっけ?」

義俊:「確か、師走の頃だったので…」

南雲:「じゃあ、これかな?枯色の中章!!」

皆麻:「何故、師走でそう浮かんだの?」

南雲:「うん。色目についてはわからないけど、“枯れる”という言霊は、冬を現す意味合いが強い。…それ故かな?」

騰蛇:「…まさか、己が倒れていた萌木を見つけたあの時、賀茂道葦によって呪詛を仕掛けられていたとは…気が付けなかった己が情けない」

晴明:「騰蛇、己を責める必要はありません。わたしとて、瘴気の蛇を見て初めて気が付いたのですから…」

霞:「…何だか、晴明が全うな事申しているのって珍しいわね」

晴明:「…霞、何か申しましたか?」

霞:「何もー?」

南雲:「あはは…」(晴明、眉間にしわ寄せてるな…)(笑)

萌木:「…そういえば、晴明様!あの日、青龍に会いに行って“玄武に渡すように”って札を預かったんですけど…あれって、何だったんですか?」

晴明:「あれですか…そうですね。“ご想像にお任せ致します”と申したい所ですが…」

皆麻:「すみません。執筆当時は、特に何も考えていませんでした」(晴明様の視線が怖い…)



皆麻:「どんどん行くよ!!南雲の弟・沃硴いがきが初登場した章は?」

義俊:「その時は確か、宮のご生誕記念日でしたので…これか」

霞:「あら!ちょうど、あんたの目の前にあったのね。“蘇芳菊の章”(使用される時期:秋)…」

南雲:「流石、義俊♪よく覚えてくれていたね★」

義俊:「ありがたき、御言葉。…しかし、宮様。せっかくなので、ここで再び萌木殿に謝罪をすべきでは…?」

萌木:「謝罪…?」

南雲:「あ…だね。萌木ちゃん、君はあの時、沃硴いがきとは偶然話したりしたと思うけど…ごめんね。あれ、俺が探りを入れるよう命じていたんだ」

萌木:「…そうだったの!?あまりに自然で、全く気が付かなかった!!」

霞:「…ちゃっかりした東宮様よね」

晴明:「…おや、霞。わたしも珍しくそこは同意見です。何せ、南雲が臣下に伝えなければ、わたしも萌木も、神泉苑あそこで舞を披露する事はなかったですから…」

太陰:「そういえば、後から聞いた時は驚いたけど…ちょっと遠目から見てみたかったな!萌木が沃硴(いがき)に迫られて、チューされそうになる所!」

晴明:「太陰…。少し、こちらに来てもらってもよいでしょうか?」

義俊:(…その後、太陰がこの場に戻ってくる事はなかった。…状況をしっかりと把握して物申してほしいものだ。全く…)



皆麻:「萌木の兄・襷の結婚式が行われたのは?」

晴明:「萌木あれが宿下がりしていた頃の話故に…これですね、冬から春にかけて使われる“躑躅つつじの章”」

萌木:「正解!挙式の後にやった披露宴で、私が白拍子を。お父さんが竜笛を持って楽の奏者をやったんだ♪」

晴明:「笛や琴といった楽器は、慶介と共に学びましたからね。…せがれのために笛を披露するのは、彼らしいといえばそうでしょうね…」

南雲:「白拍子しらびょうし…?あまり聞いた事ないけど、如何なるものなんだい?」

萌木:「今だから言えるけど、白拍子は女性が男性モノの装束を身に纏い、舞を披露するの」

義俊:「…先の世で行われる舞なのか?」

匂陳:「…いや。白拍子しらびょうしが現れるのは、平安時代末期…。東宮らが生きる時代よりも後に確立するもの…。故に、先の世の技術というわけではない」

霞:「何にせよ、その場に居合わせてみたかったわー!妻になったっていう“知子”って女子も気になるし♪」

皆麻:「あれ?霞って、恋愛対象は男じゃないの?」

霞:「ん…?ええ、もちろんそうよ。ただ単に、二人一緒にいるところに現れて、襷をいじくり倒したいってだけ♪」

匂陳:(…霞は、根っからのどSだな…)



皆麻:「賀茂道葦によって攫われた萌木が、装束を着替えさせられたのは?」

六合:「…櫨の章だったな。確か、初めて十二神将の視点で描かれた話があったはず…」

萌木:「あの時、腹掛けと小袖を着せられたの。それにしても、あの三升って奴には頬ひっぱたかれるわ、肩まで無理やり脱がされるは、最悪だったわ!」

義俊:「か弱き女性にょしょうに、そのような仕打ちを!?…許せぬな」

晴明:「…最も、義俊そなたがそのように申す権利は皆無だと思いますがね」

南雲:「…あーあ。義俊、黙り込んじゃったよ。今更言っても仕方ないだろ?彼だって好きで操られた訳ではないんだし…」

霞:「…ただし、襷や慶介が聞いたら、流石に激怒するかもだけど…。まぁ、未遂くらいなら、まだ許容範囲じゃない?」

萌木:「…霞は随分、余裕だね。やっぱりニューハーフだと、そんなものなのかな?」

霞:「あんたが言う“ニューハーフ”なるものは良くわからないけど…そうね。私が女房になりたての頃、慣れない十二単で躓いて、よく(間違えて)女房どうりょうの上に覆いかぶさっちゃった事なんて、しょっちゅうあったわ」

義俊:「お…覆いかぶ…!!?」

六合:(…純粋な義俊には、まだ過激な内容だったのかもな…)



皆麻:「…そろそろ、皆が1枚ずつ取った頃かな?では、次に取れた人が優勝ってかんじですかね★」

晴明:「何でもよいから、早く進めなさい」

皆麻:「…はい(汗)。じゃあ、次で最後!下鴨神社…平安時代では賀茂御祖神社かもみおやじんじゃと呼ばれた場所に、晴明様と萌木の二人で行ったのは…?」

南雲:「萌木ちゃんから話に聞いたその神社…確か、先の世ので訪れたものと合わせて、三度みたびくらい出てきていなかったっけ?」

萌木:「そうだね。それに、私の曽祖父とかが昔、時代を超えるのに利用したなんて事も聞いているから…何気にこの物語では重要な場所になりつつあるかも!」

晴明:「わたしと萌木で行った時なると、確か…」

義俊:(む…?晴明の表情、少し“照れ”が入っておるような…?)

霞:「晴明、隙あり!!!」

皆麻:「霞が取ったのが…うん、正解。杜若かきつばたの章(=使用されるのは主に5月頃)だね」

天一:「晴明様。これは、貴方様にとってはいとも簡単に取れる問いだったのでは…?」

晴明:「…口が過ぎますよ、天一」

南雲:「俺にしてみれば、吉備国の巫女・竜胆やその守護妖たる支木くちなしとの出逢い。あとは、賀茂祭の方が注目した章だったけどね」

義俊:「その口ぶり…もしや宮、賀茂御祖神社かもみおやじんじゃで萌木殿と晴明に何があったのかをご存じなのですか?」

南雲:「んー…そうだねー?詳しくは解らないけど、萌木ちゃんのあの可愛らしい照れ顔を見たら、おおよそ察せるさ」

萌木:(…作者がその話出すから、思い出しちゃったじゃないのよー!!)

皆麻:(…二人して照れてる(笑)でも、まんざらでもなさそうだし…個人的に、あの回は上手く書けたので、良しとしますか!)



皆麻:「これにて、カルタ大会は終了!!優勝者は…2枚獲得した霞です!!」

霞:「南雲に勝てたのは嬉しいけど…勝者って、何か良き事でもあるの?」

皆麻:「勿論!勝者は他の人達に対し、好きな事を一つだけ命令できます!!無論、ここは本編じゃないので例え東宮様とて、霞の命令に従って戴きます!!」

霞:「本当!?やったー♪」

皆麻:「…ただし、ここでは書けないような内容は絶対に駄目」

霞:「無論、それくらいは心得ているわ!」

萌木:(慣例とかにあまり縛られない霞のことだし…突拍子もない事命令してきそう…)

霞:「そうねー…。あ、思いついた!!」

騰蛇:「その内容は、如何なる…?」

霞:「晴明・南雲・義俊の3人に、女性にょしょうの装束を身に着けて、化粧をして1日過ごす事!因みに、十二神将も男は女。女は男の装束を身に纏う事!!…あ、萌木は狩衣も女房装束も垣間見ているから、あんたはやらなくていいわ」

晴明:「なっ…!?」

義俊:「女性にょしょうの装いを…!?」

南雲:「流石、霞!しかも、ちゃっかりこの作品らしい命令と来ましたか…」

萌木:「じゃあ、着付けは私がやるので…早速衣裳部屋へ行きましょう♪」


小一時間後――――――――――――

霞:「あら、来たわね」

匂陳:「…少し重いな」

天一:「私、冠は初めてかぶりますね」

皆麻:「匂陳は武官束帯で、天一は直衣かぁ…二人とも、結構似合っているわね!」

萌木:「匂陳は特に、“男勝りなお姉さん”のイメージが強いから、義俊さんから借りてきた黒漆野劒くろうるしのだちを腰にかけても何も違和感なしって所ね★」

霞:「思いのほか、女神将は二人とも”男装の麗人“って所かしら」

天一:「不本意な装いですが、お褒めの言葉、ありがたく受け取ります。あ、次は晴明様と南雲様のお出ましですね」

萌木:「自分で着付けしてなんだけど…二人とも、女房装束がよく似合う。特に晴明様は元々髪が長いから、垂髪も鬢そぎも束ねも、皆似あいそう…」

霞:「伊達にイケメン設定ではないという事ね…。しかも…」

南雲:「うーん…確かに、この女房装束は重くて歩きづらいなぁー…でも、女性にょしょうの格好とか化粧とか、一度戯れでやってみたかったから、調度いいなぁ♪」

皆麻:(罰ゲームのつもりでいたけど…南雲の場合、全然楽しそうで意味なしか。それと比べて…)

晴明:「烏帽子を脱がされ、しかも斯様に屈辱的な姿…。霞、明日はこの煮え湯をたっぷり味あわせて差し上げますよ…!」

匂陳:「お、落ち着け、晴明!!…ぷふっ」

晴明:「匂陳…笑みがこぼれていますよ?」

匂陳:(やっと収まった…)「…ところで、晴明。騰蛇や六合や太陰は?」

晴明:「太陰は鳥なので物理的に無理ですし、残る2人の神将は、今にも消えてしまいそうなくらい恥らっていて面白くないので、帰らせました」

天一:「あの二人は、意外と繊細な方々ですからね。今回ばかりは致し方ないでしょう」

南雲:「では、後は義俊だよね。おーい!義俊―――??」

義俊:「み…宮…!」

南雲:「隅っこに隠れていないで、出ておいでー??」

義俊:「う…」

皆麻:「…ったく。もう時間もページもあまりないから、さっさとお披露目するの!ほらほら!!」

霞:「…作者あんたってば、結構強引…」

皆麻:「では、萌木が着付けした義俊の女房装束をお披露目―…」

萌木:(皆固まっている…。まぁ、図体のでかくて強面な義俊さんの女装姿…普通なら、固まるか)

霞:「ぶっはははははははははっ!!!」

天一:「か…霞様、少し笑いすぎなのでは…」(汗)

霞:「だだだだって、これが…笑わずにはいられないわよ!あはははははっ」

義俊:「霞…貴様ぁ!!」

南雲:「…ごめん、義俊。そこはフォローできないや」

晴明:「同感ですね。ククク…」

義俊:「宮に晴明まで!!!な、何たる屈辱っ!!!」

萌木:「ま、まぁ…“先の世”では、お笑い芸人が女装して観客笑わせるなんて事もあるし…義俊さん、そういうのに出ればすごく人気者になりそう…かな?」

義俊:「萌木殿…。フォローしてくれているのだろうが、若干莫迦にされているような気がするのは、気のせいか…?」

皆麻:「こ…このままだと、頬が真っ赤になった義俊が何やらかすかわからないので、ここいらでお開きとさせて戴きます。読んでくれた皆様、ありがとうございました。残念ながらこの『装い改めますればっ!』は外伝書く予定等はほぼないですが、本編をより多くの方に読んでいただければ、幸いです。では、やばくなる前に退散…」

義俊:「元を正せば…“好きな事を命じてよい”と霞に許可した作者そなたが…!!」

皆麻:「ちょ…義俊、落ち着いて!!…って、ギャー!!!」


そうして、彼らが去った後には、義俊によってたたきのめされた物体だけが、残っていたのであった。



  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る