あとがきという名の解説 壱
別サイトで掲載していた際、各話のあとがきにいろんな事を書いていたのをまとめてみました。ある種、装束や陰陽術に関する解説とかになってたみたいですね☆
是非、本編と併せてごらんください。
●主人公・萌木の名前の由来
”萌黄”という狩衣等に使われる重ね色目の名前から取っています。
ちなみに、重ね色目とは、表と裏の生地が重なり、そこから生まれる色目の事を指します。萌黄は萌黄と
●ニューハーフの女房・霞のモデル
少女漫画「ふしぎ遊戯」に出てくる
●一条戻り橋について
萌木が作中で言っていたように、「あの世とこの世の境目」といういわれは資料によると、本当らしいです。それに対する逸話はあるらしいですが、長くなるので割愛させて戴きます。この逸話は橋が都の北端にある…っていうのも、逸話が本当の物と考えられる要素の一つかもしれません。ただ、「異界への入口」という噂話は、作者が考えた噂話(フィクション)です。
こうすれば、これは「噂話ではない!」と主人公が認識できるかなと思った次第でございます★
●出張着付けについて
萌木達が襲装束を雅楽団体に納品と一緒に着付けしに行っていましたが…とある装束店のサイトを見た時に、やはり「出張着付け」というサービスがあるらしく、今回はそんな事も踏まえて書きました。
●襲装束と舞楽
映画「源氏物語~千年の謎~」で生田君が身に着けていたように、源氏物語では主人公の光源氏も今回出てきた襲装束を身に着けて、「青海波」を演じていたと思われる。
●京都旅行の行き先
萌木が友人らを案内した場所は、全て私が京都へ一人旅して見た事を参考にして書きました!実体験していることはリアルに書きやすいし、感情移入もしやすいですしね☆
ただし、作中に出てきた”下鴨神社の大木”は、文で書いたような位置にはないです。
そこはフィクションなので、あしからず。
でも、実際の糺の森は、樹齢?年の大木は存在し、森林浴にはうってつけの場所でしたね!
●京ことば
京都旅行の話に限らず、萌木と結。葉胡桃家の面子らが口にする台詞では、ネット上にあった「京都弁変換システム」を使用して、京ことばを話しているように描いています。
ただ、作中にもあったように萌木は京都育ちですが、東京の専門学校を通っていました。そのため、標準語⇔京都弁を代わる代わるしゃべるそういった経歴をつけたのは、平安時代で標準語を話せるようになるためである。
●南雲と義俊が着る「夜の仕事での格好」
義俊の褐衣は平安時代の武官が多く身につける装束で有名ですが、使われた色は資料や時代設定にあわせず、自分で決めました。資料によると、実際の褐衣は身分に応じて身につける衣の色が決められているのですが、今作品では義俊が律令制度の中ではどの役職なのか曖昧にしているため、作者が考えている。また、資料に沿っていたら、”義俊に似合う色”ではなかったというのも、色を変えた一因になる。
南雲に関しては、中紫色が古代より”最高色”と云われていたから…と理由で決めました。霞については、あえて書きません。
●平安時代の髪型
女性に関しては作中にある垂髪が主流ですが…男性の場合は本来、平安時代では冠下という髪を束ねて頭上で折り曲げ、先端を頭の上に持ってきて紫の紐で結うという髪型が主流でした。ただ、髪型の写真を見た時…「萌木の場合、
●江の島神社を東京旅行の行先に選んだ理由
江の島神社を選んだ理由は「関西人が関東に旅行に来たらどんなかんじか」「自分も行ったことのある場所について書いてみたい」という願望から。また、それだけではなく、ご祭神が日本神話に出てくる神様というのも、起因している。また、この作品の舞台である平安京は仏教というよりは神道の方が定着しているであろうと思い、日本神話に縁のある場所を選びました。最初は鎌倉と迷いましたが、主人公達が山育ちなのと、私自身行った記憶(執筆前)が残っているのが江の島だったので、こちらを選択。
鎌倉は10年以上前に行って記憶薄れているんで、今回はやめときました。
ちなみに、萌木らがやらかした"エスカレーターの立ち位置"。私も京都行った時は同じような事をしてしまいました。
また、本編を完結させた後に江の島を再び訪れる機会があったので、その時は鐘を鳴らしに行くことも叶いましたね。
●神泉苑で物語を展開させるにあたって
神泉苑は、現在の京都には二条城の近くにありますが、それを間近で見た時の感覚とゲーム「雅恋~あわゆきのうたげ~」をプレイしながらこの話を考えました。
●偏つぎ
一応、平安時代の貴族の遊びの一つだったそうです。
学生時代にあった文化史の授業では勉強しておりませんが( ´艸`)
●南雲の弟・
"沃”という字は平安時代の武官が儀式用で使う刀から一文字戴いています。その刀は沃懸野剱(いかけのだち)という検非違使辺りの人間が使用していた刀だそうです。
●
夏場によく使われる扇子。見てわかるように、
●貴船について
京都に行った際、私も貴船山に上った事があるんで、その体験を元に書いています。
実際、貴船神社の奥の宮はアニメ「少年陰陽師」とかでも似たかんじで背景としてあったんで、平安時代当時もあんなかんじだったのかと思われる。
●壺装束
外出用の装束である壷装束は、平安時代の人は旅の時くらいしか着ないだろうし、どうせ書くなら現代で着る方が…という事と、何かの撮影で使いたいというのもありました。
撮影・ロケの話としては、ドラマや映画。舞台と迷いましたが、とある男性歌手のPVを見て、PV撮影に決定というかんじです。
●五節の舞と磯路姫
本編に出てきた
ちなみに、霞の亡き妹・
●相思相愛だった萌木と襷
ただ、兄妹婚が有りな平安時代と比べ、現代で兄妹の結婚は許されぬ行為。萌木は初恋だったのでまだ先がありますが、襷はある意味報われない想いかも?でも、婚約者の知子と暮らす上で、報われぬ思いも報われる事を祈りましょう。
●鞍馬山の天狗
天狗の名前である僧正坊は、装束とは関係なく、山に住むと伝わる天狗の名をそのまま戴きました!ただ、怖いイメージの強い生き物なので、少しイメージを崩そうと考えたのが、幼い外見の天狗様。僧正坊が身に着けていた装束は修験者に多い装束でもあるため、思わぬ形でこの装束を描けて良かったと思っています。都人や現代人も身に着ける事が滅多にないので…。
●2つある千引きの岩
「千引きの岩が二つある」というのはフィクションです。もちろん、岩を開ける方法とかも然り。
●京都でのお正月
萌木が実家で正月を迎える話では、京都のガイドブックと寺社サイトとにらめっこしながら、執筆していました。
小説でお正月の話を滅多に書かない上に、自分の出身地でない場所の正月について書くのは少し苦労しました。
お参りするのはどこがいいのか、京都の人はどんなかんじで正月を過ごしているのか…とか。それと、なるべく自分が行ったことのある寺社を書けたらな…と思い、平安神宮と八坂神社を選びました。
因みに、「初お参り」は厄年を終えた後のお参りを指します。これに関しては、葉胡桃兄妹の年齢から執筆当時の年で数えているため、書籍が発売した今年ではないことになります。
登場人物に出てくるのもあり、晴明神社も考えましたが…萌木の父・慶介にとって彼は古き友人。複雑なかんじだろうと思ってやめました。
ちなみに、作中に出てきた「桔梗」という日本酒はもちろん、実在しないお酒です。
●触れたことがなかった晴明の容姿
実は作中で容姿の事が書かれている部分がありますが、晴明の容姿について書いたのはここが初めてだったんです!
というのも、この作品が装束に関する話が多い作品のため、身に着けているものしか今まで特徴づける物がありませんでした。しかし、慶介が彼に出逢った頃はまだ「稀代の陰陽師」と呼ばれていなかった頃なので、何か服装以外の事も書かねば…と思って、今回初めて載せてみた次第です。
また、これに関しては義俊や南雲も該当しますが、一応連載開始前に、主要キャラのラフ画は自分で作って人物像をイメージできるようにはしてあります。
●宮中行事が最も多い1月
冒頭であったように平安時代における宮中行事、1月が多いというのは本当です。インターネットで調べたのを見ると、ひと月で合計19くらいあるそうです。
●萌木が狩衣を脱がされた理由
陰陽師に関する資料を読んだとき、「
●踏歌節会
宮中行事であるこの催し。今回は南雲が参加していましたが、これは男性版の踏絵節会。この行事の場合、男性が舞う日とは別の日に女性も舞を披露するという内容となっています。今回は義俊・南雲・霞の3人が語らうシーンがメインだったので、宮中行事もここまでしか載せられないという結果で終わりました。
●壁代
読んで字のごとくで、平安時代における
◇◇ ◇◇
ここまでが、上巻での内容となります。
近日発売予定となっている下巻に関する解説は、また別の回にて書かせていただきます。
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