つかず離れずで書けた和風ファンタジー『八犬伝異聞録 蒼き牡丹』

『八犬伝異聞録』を書こうと思ったきっかけ

 『ガジェイレル』シリーズを経て、初めて主人公を女にしたのが『八犬伝異聞録 蒼き牡丹』でした。

これを書くきっかけ…決定打となったのは、最近いろいろ増えている女性向けアドベンチャーゲーム。やらない人にとっては偏見の塊かもしれないですが、皆麻にとっては「声優さんの声が聴ける」っていうのもありますが、「小説で書く文の参考になる」という部分は結構大きかったですね★

ラノベの書き方が書かれている冊子を買って読んだりしましたが、文の作成例として参考にしたのは、本当にこれらの乙女?ゲームだったのかなと思います。

実際プレイしたのは、

薄桜鬼(本編&FD)

華鬼

源狼

十鬼の絆

雅恋(本編&FD)

ディアボリックラヴァーズ

…など様々。

決定打になった作品が、PSPゲーム『二世の契り』。戦国時代の話ですが、主人公はある女性の生まれ変わり…というのは、八犬伝異聞録でも生きたのかなと思います。

余談ですが、小説家やラノベ作家さんって、いろんなジャンルの物を踏み台にしてプロになられますよね。「ソードアートオンライン」や「アクセルワールド」で有名な川原礫先生は確か、オンラインゲーム「ラグナロクオンライン」をすごいやられていたそうです。

もちろん、書くきっかけはまだ多々あります。TBSのお正月ドラマで放送されていた「里見八犬伝」。元々は大角役で出ていた俳優・勝地涼君が当時好きで見たのですが、CGいっぱい使っていたり、世界的有名なデザイナー・ワダエミさん監修の衣裳が印象的で、『蒼き牡丹』書き上げていく上での土台になったんだろうなと、今では思います。


実在した文学作品がベースなので、資料集めは大変でした。しかし、ネットが盛んになった現代と、八犬伝好きの方が今でも多い事に助けられました。冊子としては、犬藤九郎佐宏さん著の『図解 里見八犬伝』を購入しましたが、それ以外の資料としては、ネットにある八犬伝について詳しく書かれているWEBサイトを参考にさせてもらいました。

ただ、ちゃんとした原作本で実際の物語(八犬伝ベースの作品は、所々カットされている場合が多いので)も見ておきたかったので、図書館とかで原作『南総里見八犬伝』の現代語訳版とか探して一通り読むという事をしております。


また、実は八犬伝縁の地は、第九章に入った辺りに行きました。日帰りで行った館山は八犬伝の博物館と、富山。伏姫洞穴の3か所。八犬伝の博物館は、大きな公園の中にあったので見に来ている人もちらりほらり。その日晴れていたのもあって、館山の景色が綺麗でしたね。原作に纏わる資料の展示は当然の事ながらテンションあがりましたが、一番凄かったのは多分、“これまで発売されてきた八犬伝に関する作品の紹介”ですかね。

中には私が昔読んだ漫画とかもありましたし。

一方、伏姫洞穴がある所は地図で見ると駅から大分離れた場所らしく、土地勘もないので諦めてタクシー乗りました。(因みに、観光案内所行けば、チャリもレンタルできたはず?)行先を告げた際、運転手さんにはかなり驚かれましたね。

でも、タクシー利用したのは、ある意味正解。山の麓にある洞穴へ行くまでの道は、足場が悪く、すごく歩きづらいかんじで、タクシーも結構揺れた。到着した時、

「観光バスとかは、この辺りに止まったりします」

と言っていましたが…その場所、バスが止まるにはかなり狭い場所でした。

行きは楽をしてしまったのもあり、流石に帰りはちゃんと歩いて帰りました。意外と道順が単純だったので、「これだったら、歩いて行けたかも」と思った次第です。

富山は、整備されていた道が途切れるくらいまで登りました。頂上まで行けばまたいろいろあったらしいんですが、観光スポットでもないので人全くなし。時間ももうすぐ夕方で怖かったんで、足早に登ってすぐ降りました。

でも、歩いている途中で作中の背景画にピッタリな場所を山間で見つけた時は、かなりテンションあがりましたね!

「こんなかんじの場所で、毛野は戦っていたんだ!!」…みたいな。

ちなみに、ピッタリな場所と称した回は第七章となります。ただし、その回の舞台は富山ではありませんでしたがね。

女性を主人公にしたのも初ですが、別のトライとしては小説本来の書き方である「視点を一つに絞った書き方」もこれが初でした。初作の『紅の鳳凰』段階から難しい書き方にチャレンジしていた皆麻なので、“基本に戻ってちゃんと書こう”という想いが強かったと思います。あと、視線を一つに絞った事で狭子の特殊能力“千里眼”を設定できたし、犬士達による外伝『犬鬼人随想録』も書けたから、この書き方は成功だったという事にしておきます。


書き終えて思ったのは、これは大分商業向けな作品だったなと。文字数も、多少のカットは必要ですが、新人賞とかで応募できそうな文字数になるし。ちなみに、現在、某新人賞にも応募して結果待ちです。あと、「これがメディア化したら…」なんて妄想をしたりもしましたし。ちなみに、「なろう」サイトで一回、「もし実写化したらキャストどうなる?」なんて雑談を書いていました。ただ、「もしアニメ化したら声優はどうしたい?」とかになると、少し困ります。

私の知識が足りないだけかもしれませんが、知っている限りの範囲だと、狭子や八犬士らにピッタリな声がなかなか…って首を傾げそう。

一方、少し矛盾しているかもですが、「女性向けゲームにできそう」とか考えた事もありました!攻略キャラは多分、メイン攻略が信乃・荘助・現八・毛野・親兵衛。2周目からプレイできるのが、素藤といったかんじで。笑

狭子も、第二章にある名前の文字エピソードをカットすれば、名前変更可能な主人公になり得そうだし。


この作品は、和風ファンタジーとしては大分書きたい事出せたし、文の書き方も少しはまともになってきたくらいに書いた作品なので、総合的に安定しているという意味では大満足の作品といった所だと自負しております。また、戴いた感想で「原作につかず離れずで面白い!」と書いて戴いたのがだいぶ嬉しかったです!!

他の八犬伝作品と見比べながら「どこを忠実に、どこを変えていこうか」と試行錯誤繰り返しながら、描いていました。

自分で思い返してみると、この“八犬伝”は他の八犬伝作品ではカットされているエピソードをちらほら入れているのが、やはり一番の強みなのかなと思いますね。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る