マスターアップ

ゲーム会社で働く登場人物の描写が程よく綿密で、会社内部の何気ない情景の切り取り方も上手く、読者に没入感を与えることに成功している。それが結果として、作品の「リアルさ」やストーリーの説得力に繋がり、深みのある作品に仕上がっていた。
サスペンス寄りの作品で推理要素は少なめだが、テーマと響き合う叙述トリックでも仕込めば、『殺戮にいたる病』のような小説にもできそうで面白い。

また、個人的には「光田寿」という、作者と同名のキャラクターに魅力を感じた。テンポと勢いが良い軽妙な語り口のセリフは、生活感を感じさせながらも、現実を一歩引いた視点から笑い飛ばしているような、独特の雰囲気がある。

言語では追いつかないクリエイターの
感情を鋭い視点で書き起こした恐るべき
作品！！
著者特有の職種から得られた経験も
織り込んだ次世代型の奇書(*´ω｀🎀)

目が離せない展開から、驚きのラストに思わず、星を連打してしまいました。

物語の作り込みが迫真で、個性的でブレがないキャラクター、知識に裏付けられた舞台設定に小道具の数々、どれもがリアリティを生み出していました。

まず何よりも、短編でこれをまとめた手腕に舌を巻きました。

作者と同名の登場人物が出て来るのは、ミステリーでは伝統。
また、作者自身もゲーム会社勤務なのでしょう。高知県の方言も達者なもので、現実と虚構をオーバーラップさせる「作者同名演出」は成功していると言えます。

不可解でおぞましいバラバラ殺人の冒頭と、一見無関係なゲーム会社のミッシングリンクをさり気なく張りめぐらせる筆力も堂に入ったもので、ところどころ挿入される実在のゲーム知識やミステリ作家の薀蓄など、ニヤリと出来る小道具も満載。

作者の遊び心とインテリジェンスを惜しみなく凝縮させた、秀麗な短編です。
感服。

心底、ゾッとした。
その一言に尽きます。

真の天才に備わる絶対的な要素。

その一端を目撃したとき、あなたは正気を保てるだろうか？
私は保証しません。