概要
南部与七郎。
鉄道唱歌をもじった多少下品な替え歌を口ずさみ、「サムライなんて前時代の遺物さ!」と吐き捨てる彼は、横浜・関内の雑居ビル二階に事務所を構えていた。
「横浜グランドホテル」で起きた 資産家婚約者同士の 毒殺事件。
疑われたのは、南部の知人の市会議員・川村三郎。
事件の鍵は、横浜から八王子へ続く「横浜線」の土地権利と、港の赤レンガ倉庫から立ち上る奇妙な煙。
そして街の地下に隠された「秘密の地下鉄」……?
男装の娘「永倉磯子」と手を組み、資産家の屋敷に潜入。
バイオリン弾きの歌う「煙の唄」を追ううちに、あの「新選組の生き残り」たちまでもが絡み始める──。
毒の花緑青(パリスグリーン)、変装と暴露、疾走
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!明治横浜を舞台にした伝奇探偵ミステリー
この作品は、明治の横浜という近代化の入り口に立つ都市を舞台に、実在の歴史人物や鉄道計画を下敷きにしながら展開する伝奇探偵活劇としての構造が魅力の作品だと思います。
物語は、市会議員の事件をきっかけに探偵・南部与七郎が動き出すところから始まりますが、山下町の「The Bar Samurai」での出会いを境に、単なる推理劇では収まらない広がりが見えてきます。また、港の倉庫街から思いがけない地下の世界へ踏み込んでいく場面も印象的で、明治という時代の表と裏を行き来する物語のスケールが自然に伝わってきました。
単なる歴史ミステリではなく、新選組の記憶を背負った人物たちが近代都市の成立と重なり合うよ…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ねえ、知ってる? 横浜線って新選組が作ったんだよ!
なんのこっちゃと思った人。
ぜひ、本編を読んで見給え。
時は明治。舞台は馬車と汽笛が混じる港町横浜。
物語は市議会委員が殺された事件から始まる
赤丸ポルトワインとバイオリンの音色に誘われて
とある探偵と、胡散臭いバーのバーテンと男装の娘の道が交差したとき
何かが起きる?
どこか不可思議な世界を垣間見てはみませんか?
妙に納得できるラストに、きっと、ふふっと笑える筈。
本編は作者さまの、
新選組エリクサーシリーズ Shanghai samurai dad&son の番外篇です。
新鮮組が好きな方はもちろんですが、よく分からなくても大丈夫。
楽しめます。 - ★★★ Excellent!!!地下に蠢くは、はてさて明治の亡霊か。
現代の都市伝説じみた導入から、気がつけば明治横浜の毒殺事件と地下鉄の秘密の中へ深く引き込まれていく。その運びが非常に巧みです。
しかもそれが単なる“昔の話”ではなく、現代に残った伝説の輪郭を内側から照らしていくような構造になっているので、読みながら物語の奥行きがどんどん増していきます。
そして第9話。ここが本当にお見事でした。詳しくは伏せますが、それまでの出来事や人物関係の見え方が、ここで一気に組み替わる。大胆な展開でありながら、前の話数で積み上げてきた要素の上に成り立っているので、驚きと納得が同時に来ます。
「ただ意外なだけ」の種明かしではなく、人物の正体や事件をめぐる違和感、散りばめられ…続きを読む