様々な怪異を収容する、アメリカのエリア51。その地下深くに「無限館」と呼ばれる部屋が存在した。そこで起きた殺人事件を解決すべく日本人探偵の外良羊介が現場を訪れるが……。
この事件の最大の特徴がタイトルにもなっている「無限館」。無限と名がつくのは伊達ではない。一見するとただの広い部屋だが、部屋の奥にあるドアを開けると全く同じ部屋に繋がっており、さらにその部屋の奥のドアを開くと……といった具合に同じ部屋が無限に続く。名前こそ館だが、その実体は完全な怪奇現象である。
「館もの」なので当然犯行にはこの部屋の奇妙な構造が利用されており、現実離れした設定ながらもトリック自体はあくまでフェア。与えられた手がかりを見逃さず丁寧に推理すれば解答に辿りつけるだろう。
しかし、本作の恐ろしさは事件を解決した後に明かされる犯人の真の狙いにある。その内容は驚愕必至で、こちらに気が付ける人はそうそういるまい。また推理に疲弊した探偵・外良が醸し出す虚無感もラストを演出する良い味付けになっている。
一万字に満たないわずか4話の短編ながらも、タイトルに「無限」を冠するだけあって、常軌を逸した奇想と壮大なスケールで読者を驚かせてくれる怪作だ。
(新作紹介「カクヨム金のたまご」/文=柿崎憲)