その『本棚』こそが、最も美しい一冊でした。

(追記させていただきました)

 ある人の本棚に並べられた本には、その人の人生が詰まっている。私はいつからか、そう思っています。この本棚に並んだ本も、だれかの美しい人生の思い出です。
 空白を用いた、散文と韻文の中間のような文体は、目にも耳にも心地よく響きます。ぽつぽつと語られる本の思い出には、きらめきながら霞んでゆく色彩が見えます。よく選ばれた言葉は、或る人の本の思い出を語るだけ。それなのに、いや、だからこそ、お堅い批評や書評よりも、ずっとその本への興味を惹きます。
 ここに出てくる本はきっと、誰かの人生を垣間見る読者の、その人自身の人生となるでしょう。
 これからどんな本が並べられていくのか、これからの「本棚」を楽しみにしたいです。







(5・7追記)

 最新話まで、拝読しました。ちょっと、どうしても書かなければいけないと思ってしまったので、こっそり追記します。個人的な思いになってしまって、しかも感情の迸るまま書きますので、もし目障りであったのなら、消してしまってください。
 第5話を読んで、動けなくなりました。何度も何度も、読み返しました。読み返せば読み返すほど、ああ、ここには私がいる、私とおなじ寂しい誰かが、この手紙の向こうにはいる。そう思って、しばらく、何も出来ないでいました。誰かの書き残した言葉が、こんなにまで自分のなかに入ってきて、声が聞こえて、怖ろしいほどにずっと残って、そんなこと、ちょっと今までにありません。
 レビューの質とか、文体とか、「誰かもまた読んでみたくなるような」とか、そんなこと、もう気にしていられない、書くしかない、それでこの追記を書いています。文章も何も滅茶苦茶です。乱文をどうかお許しください。
 それほど、どうしようもなく、持っていかれました。この感情を書くために、こんなにも言葉がみつからないものかと、困っています。
 本棚を覗き見るつもりだったのに、気づけば、自分の本棚のいちばん大切なところに飾りたい、そんな文章に出会ってしまいました。できるのなら、作者様と、お友達になりたい。会って、お話がしてみたい。文章を読んでそんな事を思ったのは、初めてです。
 なんだか少年の初恋めいた、痛いものを書いてしまいました。でも、書かずにはいられないので、恥ずかしいですが、そのまま送ります。
 どうか、身勝手な感想を、ご容赦ください。
 

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