飯島 遥

 ◆【魔女】A 飯島遥



「……絶対に守るんだ」


 0時を告げる鐘の音が響き終わった直後、あたしはパソコンの通信を終え、1人部屋の中で敢えて決意を言葉にした。

 どこか儚げで、危なげがある、彼のことを。

 そんな彼が、単純にこのゲームを生き残れるわけがない。

 今回だって、彼が呪いの対象に上がったが、何とか別の対象へと切り替えた。

 説得した。

 呪いの対象も、あたしが選んだ。

 パソコンの画面の中の名前を自分の意志で押した。

 には悪いと思っている。

 だけど、彼を守るためには、自分が矢面に立つ必要があった。

 守るべき彼。

 

 ――


 彼はあたしのことを異性として認識していないかもしれない。

 ただの友達だと思っているかもしれない。

 だけど、あたしは彼のことを、きちんと異性として好きだった。

 ――だから。


「あたしは、絶対に守るんだ。例え、どんな手を使ってでも……」


 もう一度言葉に決意を込め、自身の中にある罪の意識や芯から凍えるような震え、吐き気と戦いながら、あたしは布団の中に潜り込んだ。



 ――

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る