7 ミナ
ほとんど夜の色に変わった空が、マンションとビルの間に見えていた。
雨は暗くなる前に止んで、空は晴れてきたけれど、星は一つしか見つからなかった。
おばあちゃんが小さい頃に住んでいた、岐阜の山の方に行きたい。親と一緒に住んでいた頃に一度行った。
おばあちゃんが育った家の回りは、道の脇に小川が流れていて、小さいサワガニが住んでいた。綺麗な水が流れているんだ、と思った。
岐阜に行った小三の頃は、天の川は七夕の夜にしか見えないと思っていた。
小学校の上だけ、夜空が少し広く見える。校門の方に歩きながら、見えるはずがない天の川を探してみる。どの辺を探せばいいのかも知らないけれど。
校庭から吹いてくる風が冷たい。
平気で歩いている。
同じ道。
罪は消えるわけでも、償ったわけでもないのに。星が見たいと思うことだって本当は許されないのだろう。
ごめん。
許してなんて、言えない。
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