限界集落・オブ・ザ・デッド【旧版】

作者 ロッキン神経痛

421

162人が評価しました

★で称える

レビューを書く

★★★ Excellent!!!

限界集落という、終わりの近い人々の住む地にやってきたゾンビ達。
住民達は終わりとの距離を知っているからこそ、彼らの生への熱情は力強い。
そして、終わりが近いからこそ、長い時を歩んだからこそ、その別れはより一層苦しいものとなる。

ゾンビを決してただの怪物としてだけでなく、かつて人であったものとして扱った本作品を評価したい。

★★★ Excellent!!!

限界集落を迎えた田舎を舞台に繰り広げられるゾンビ物。定番のゾンビ物とは少し違い、読んでいる時にはこの先はどうなるんだろう?と色々と考え楽しみながら、読まさせていただきました。
爺さんの生き様にグッとくるシーンやカッコいい場面が沢山盛り込まれており、惚れ惚れしました。

文章の節々から感じる構成や設定の深さもさることながら、著者様の爺さんへの愛と熱意のこもった一作。

★★★ Excellent!!!

 まるでギャグにも思えるようなタイトル。
 百人にも満たぬ限界集落の中で起こるゾンビ騒動という内容。
 「なんだ、変則的なゾンビ物か」と思わせるようなキャッチコピー。

 だがそこから想像される、ともすれば一般人が「ゾンビ物」と聞いて想像するパニックホラーとは一線を画した良質な一作。

 それがこの「限界集落・オブ・ザ・デッド」。

 1話において「留人(ゾンビ)」となった老人の姿は物悲しさすらあり、それを処理する「送り人」である恐山の姿は、淡々としながらも胸にくるものがありました。

 限界集落でありながら、出て来る爺さんたちが格好いいんだ。
 「留人」の存在を受け入れ、それでも生きていく人々の姿がそこにある。

 ケイの存在もまた、(出て来たときは、「ああ、若い人も出るのね」という感じだったのですが)物語の中でいい感じのスパイスとなっていました。
 老人たちの中で、若さや理想といったものを体現するケイ。そんな彼が祖父であり「送り人」である恐山の背中を見て何を思うのか。ネタバレになってしまうので避けますが、これはエピローグまでぜひとも読んでいただき、個人で感じていただきたいものです。

 余談ですが、ゾンビである「留人」や「叉鬼衆」などの単語にグッときました。留人となったものを殺す「送り人」が使う道具も独特で、リアルです。

 短い話なので、個人的には、短編集やゾンビ系のアンソロジーあたりに、ちょっと変則的なゾンビものとして入っていてほしい一作。

★★★ Excellent!!!

死とは常に、傍に寄り添う影のようなものだ。
ぴったりと背後にいて見えないときもあれば、自分の進む先で長く長く伸びて道のような姿をとることもある。
死は命の終着地点であると同時に、自分が進む道なき道の一生において、灯台のように指針となりうるものなのかもしれない。

パニックホラーとエンタテインメントの融合として、1968年のロメロ映画作品以来、ゾンビものは脈々と進化を続けてきたジャンルの一つである。
そこには死と生の間で揺れる人々のドラマがいくつも生まれ、多くの観客を恐怖させ、感動させ、魅了してきた。
幽霊や悪霊によるホラーとは全く異なる、生ける屍“リビングデッド”を相手にするがゆえに生まれる苦悩を見事に描ききった作品は、今日でも名作として支持を受けている。

さて。この作品はゾンビものとしては異色の設定を持ちながらも、前述したゾンビものとしてのエンタテインメント性を損なうことなく、むしろ新しい可能性を提示しながら展開していく。
年老いた人々を物語の中心に据えるという、一見すれば華も何もない設定は、こと生死のドラマにおいては納得のリアリティを与えるスパイスとして機能している。

見事、と言わざるをえない。

“送り人”と呼ばれる職人の存在も物語に深みを与えており、読んでいる最中のハラハラもさることながら、読後に“命”について考えさせる役割も果たしている辺り、本当に素晴らしい。
ゾンビもののニュージェネレーション、として紹介することに何の躊躇いもない一本。ぜひ、ご一読あれ。

★★★ Excellent!!!

強いジジイ好きは読んで損はありません。
そして、設定が実はさりげなく凝っています。よく作りこまれた構成と、何より強いジジイ愛が素晴らしい(笑)
いろんなジジイが出てきますが、送り人のジジイもさることながら、私は最期までスピーカーで村民に避難を呼びかけたジジイに漢の背中を見ました。

若者?
そんなものはオマケです。
とても面白かったです。

ところで、この作品、ランキング上位を走り続けていたと思うのですが、なぜかコンテストの一次審査通過をしていません。…なんで?紙で出たら買いますのに。

★★★ Excellent!!!

 ゾンビとなった人々を再殺する老人と、彼の住む村を巻き込むゾンビの大量発生事件を描いた物語。
 老人の郷愁やプロの誇り、そしてそれを目近にした老人の孫の成長や、家族の絆は一度読めば胸の中に深く刻み込まれる筈です。完成されたストーリーが魅力のA級ゾンビ物です! B級じゃないよ? だって作りが綿密で話としてレベルが高すぎるもの……。

 と、レビューはここまでにして個人的な感想。実写化で映画とかスゴク見たいですね! 孫の役で佐野岳さんあたり嵌めたら絶対に似合うと思うんですよ! ネタバレなので言えない一部の登場人物についても色々妄想が膨らみます!
 この世界観で別の話をぜひ読んでみたいです!

★★★ Excellent!!!

ゾンビ物の舞台は大別できる。
「学園」「病院」「商業モール」等の屋内型と、「世紀末」「孤島」「田舎」等の屋外型に分かれる。
両者に明確な境界線は無いし「豪華客船から孤島」みたいに複合されたりもする。

ゾンビという恐怖の曲がり角が何処に隠れているかを想像させる舞台選びはゾンビパニックの為の重要な装置に違いないはず。
そこに人口50余前後の限界集落を選んだ理由が気になってしまった。これが『介護施設・オブ・ザ・デッド』だったなら見向きもしなかった。

どうしてこの村でなければならなかったのか?それは読んで知るべし。読み終えて何を思うかは皆さん次第なので読みたくなったキッカケをしっかりと書いてみた。僕の場合はそれがそのまま面白かったんだ。

★★★ Excellent!!!

タイトルの語呂の良さとインパクトに惹かれ、読ませていただきました。

ゾンビホラーとしてのお約束はしっかりと抑えつつも、消え去りゆく日本の「地方」に生きる、強く、そして誇り高い男たちの生き様を描いたエンタテインメント大作でした。

ゾンビものが好きな方はもちろん、ゾンビは少し苦手、そもそも読んだことない、そんな方でもハマれると思います!
かっこいいジジイが好きならば!!

★★★ Excellent!!!

人が死ぬと留人(るじん)と呼ばれるゾンビになり人を襲う。
その様な世界観の中、とある限界集落で送り人として二度目の眠りを死者に与える主人公恐山。
普通のゾンビものは一風違った設定に興味を惹かれ、本作を読みましたが、大正解でした。

住人の殆どが高齢で総勢100にも満たない限界集落での閉塞した空気と、送り人と留人という哀れで救いが存在しない錯覚に陥ってしまう様な物悲しさ。
どこか人を惹きつける魅力を持った独特の雰囲気からこの物語は始まります。
もちろん話はそれで終わりません。
物語が動く頃に巻き起こる事件。僅かな住人はこの脅威に慣れないながらも立ち向かうことを強制され、事態は大きく動き出します。

無謀で蛮勇だけど人としての優しさを忘れていない若者。自らの役目を理解し、覚悟を持って使命に準ずる老人。
震えて逃げ隠れる人、なんとか抗おうとする人。
様々な人の生き様が魅力的で、彼らがこの後どの様な物語を紡ぐのか?と自然に感情移入させられました。


そして物語の肝となるゾンビ。
何が起こったのか? 何故この様な事態になったのか? これからどうなるのか? あれは何か?
まさに自分がそこに居る様な先の見えない恐怖とともに、続きが読みたいと強く惹きつけられページを読む手を止められませんでした。

もっと早くこの作品を読んでおくべきだったと後悔するとともに、よくぞこの作品を読んだと今の自分を褒めてやりたいくらいです。


"ホラー"を読みたい人。
是非本作を読んで下さい。恐ろしく悲しい、最高の恐怖体験をお約束します。

★★★ Excellent!!!

全体的に真剣に向き合う作者の心意気が感じられます。
人が死ぬとゾンビになってしまうという特殊な世界観よりも、
ただただ、リアルな現実を作り出す手腕に圧倒されます。
特に五感、嗅覚に関する描写が大変多く、
まるでその場にいるような空気感が伝わります。

なおかつ、送り人が常態化して、
平和になっていった日本というのも物凄くリアル。
だんだん危険に対して現実味がなくなっていく最中、
迫り来る緊急事態が半端なく、ぐいぐい読ませる。

そしてこれは私の個人的な趣味ですが、
爺ちゃんが!!!!
強い、いぶし銀の爺ちゃん達が格好良くてたまりません!!!!
それぞれの役目、それぞれの生きる場所、死ぬ場所、
そこを、自分の力の範囲内で最善に持って行こうとする。
年寄りにはやはり勝てない、経験こそ力だと、
そう思わせてくれます。

また、さりげなく「木」を「鬼」と読ませるのも見事。
マタギ衆をまさかまさか、そう読ませるとは…!!
町に古くから残るゾンビ対策の役目が継がれているのも、
熱い展開だと感じました。

爺ちゃんが好きなら本当にオススメです!!

★★★ Excellent!!!

ゾンビものとして凄く完成度が高い。ありがちなショッピングモールのような舞台装置や、男女のエロティックなドラマ要素が介在する余地のない山奥の限界集落の話なのに、ここまで面白いとは......。
使い古されたゾンビジャンルの新たな可能性を見た気がします。

★★★ Excellent!!!

死後、ゾンビ化するのが日常と化した世界で起こった非日常。
その正体は、ゾンビという「災害」だった。
ここまでならば、失礼ながら「よくある」舞台ではあるのです。

しかし「限界集落」という状況を持ってきただけで、ドラマが一気に色彩を帯びる!
寿命という形での「死」がぼんやりと見えてくる世代に、突如として突き付けられる「死の恐怖」
人生の盛りを過ぎ、ゆるやかに降っていく世代だからこそ、発せられる言葉にも加わっていく重み。
そこで活躍する、長い経験に裏打ちされた老ゾンビキラーの安心感と、老齢故の「もしかしたら…」と思わせる危うさ!

ゾンビパニックを勢いだけでない、静かな、じわりとした恐怖で書き出す良作とオススメします。

★★★ Excellent!!!

タイトルとキャッチコピーに騙されてはいけない。これは笑いを一切廃したサバイバルホラーである。だからこそなのだろう、ある人物が村人を守るために犠牲になったとき、胸を締め付けられた。

 そして送り人である恐山の強さも決してチートではなく、下手したら死ぬというレベルに抑えられているのも、緊張感を高めるスパイスとなっている。

 高齢化社会が生んだ英雄になれるか、恐山。

★★★ Excellent!!!

私はゾンビものが苦手だ。なぜなら怖いから。
しかしこの作品の「強いジジイがぶっ飛ばす」というコピーがどうしても気になってしまい、ついに読んでしまった。
するとやっぱり怖かった。ゾンビは怖かった。
でもそれを上回るジジイの安心感!

読む前はコンセプトからぶっ飛んだ作品かと思っていたが、そんなことはなく、ジジイは静かに力強くゾンビを葬る。
映像が浮かんでくるような地に足の着いた作品。
今後にも期待したい。

★★★ Excellent!!!

ゾンビ物+懇切丁寧な説明=みせられないよ!
今まで誰もやりそうでやらなかった、限界集落とゾンビ、そして老人主人公。
ゾンビ映画等で多くありがちな場面が無いのが、とても印象的でした。
鎖帷子を着ている とか 電話が支給制 といった、終末世界を生々しく描写していると感じました。
何と言っても注目して行きたいのは、恐山さんの活躍です。
無双とか、チートとか、数多あるジャンルは他に任せておきましょう。
刻んだ皺の分だけ、積み重ねた知識と経験、重みなどを通じて、恐山さん達の生き様を楽しんで読みたいと思っています。

3/25 第6話まで読了
おいげん

★★★ Excellent!!!

ホラーは苦手ですが、この作品に出て来るゾンビやゾンビを死体に返す「送り人」の設定は物悲しくも優しく、気がつけば読み込んでいました。

限界集落はゾンビが日常であるこの世界では決して珍しいものではないのかもしれません。
しかし希望を失わず、そして『亡くなった人がゾンビに変わるのはどこにでもあり得る事』として受け入れ、仕事にしている人物がいる。

この作品でのゾンビは災害というイメージでした。死人の姿をした災害に、村人たちがどのように立ち向かっていくのか。
夜中には読めませんけれど、楽しみにしています。

★★★ Excellent!!!

 タイトルと、シンプル極まりないキャッチコピーから、B級ゾンビパニック映画的なものを想像していたら、まずは地に足のついた終末世界からの描写が始まって、これは「アタリ」だと思いました。
 冒頭は、一見すると単なる田舎老人たちのお茶会。だが、主人公の仕事で徐々に明かされる、暗く冷たい世界観がたまらない。この世界は、物語の舞台となる集落だけではなく、まるごと限界に来ていたのだろう。
 個人的に、松森さんの回想に出てくる「血染めの雪景色」で、行間の向こうにその景色が透かし見え、ガツン! と世界に引きこまれました。このセンス、大好きです。また、ゾンビという異常を持ち込んだ上で、その世界で登場人物が生まれ、歳を取り、今も生活していると感じさせられる、細やかな生活感や存在感の描写が巧い。
 一話時点では期待を込めて星2にしていましたが、二話でテンションが上がって星3に変更しました。更新、楽しみにしています!

★★★ Excellent!!!

オブ・ザ・デッドというタイトルの時点で読者が「ああ、なるほどゾンビものなのね」という前提で読み進めてしまうところを逆手にとって、ところどころで「あれ?」っと思わせながら、独特な世界設定に引き込んでいくところが非常にテクニカル。

★★★ Excellent!!!

人の出入りがほとんどない限界集落で生活している老人たちの村に、ゾンビが押し寄せてくるという絶望的な状況。
しかし恐山を筆頭に老人たちはゾンビに対して抵抗を続ける……という筋書き。
しかしゾンビとなっても死者を厳かに送るという風習は残っており、ただのゾンビものにあるようなパニックホラーではなく、一種の物悲しさを感じさせる作品。


これが小説初挑戦とは思えないほどの文章と描写力に思わず舌を巻く。
果たして彼らは生き延びる事ができるのか、非常に楽しみな作品です。