五感を引き出す文章に圧倒される。これは、ドラマだ。

全体的に真剣に向き合う作者の心意気が感じられます。
人が死ぬとゾンビになってしまうという特殊な世界観よりも、
ただただ、リアルな現実を作り出す手腕に圧倒されます。
特に五感、嗅覚に関する描写が大変多く、
まるでその場にいるような空気感が伝わります。

なおかつ、送り人が常態化して、
平和になっていった日本というのも物凄くリアル。
だんだん危険に対して現実味がなくなっていく最中、
迫り来る緊急事態が半端なく、ぐいぐい読ませる。

そしてこれは私の個人的な趣味ですが、
爺ちゃんが!!!!
強い、いぶし銀の爺ちゃん達が格好良くてたまりません!!!!
それぞれの役目、それぞれの生きる場所、死ぬ場所、
そこを、自分の力の範囲内で最善に持って行こうとする。
年寄りにはやはり勝てない、経験こそ力だと、
そう思わせてくれます。

また、さりげなく「木」を「鬼」と読ませるのも見事。
マタギ衆をまさかまさか、そう読ませるとは…!!
町に古くから残るゾンビ対策の役目が継がれているのも、
熱い展開だと感じました。

爺ちゃんが好きなら本当にオススメです!!

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