これほど物悲しいゾンビ小説がこれまであっただろうか。

限界集落という、終わりの近い人々の住む地にやってきたゾンビ達。
住民達は終わりとの距離を知っているからこそ、彼らの生への熱情は力強い。
そして、終わりが近いからこそ、長い時を歩んだからこそ、その別れはより一層苦しいものとなる。

ゾンビを決してただの怪物としてだけでなく、かつて人であったものとして扱った本作品を評価したい。