第16話
/拾伍
……──それから数年後。
ゼウスに勝手に若返らされて、現在の歳は十六。
僕は、時間を移動する旅人となっていた。この時間は、未来に行くとか過去に行くとかの移動ではなく、世界の移動だ。その世界にはそれぞれの時間が流れている。そこを行ったり来たりするというものだ。
そして行き着いた世界を救って、移動する。また行き着いた世界を救って、移動。それをただ繰り返す日々だ。これは、ゼウスの許可を得ている。ずっとゼウスの言いなりと言ってもいい様に動いていたら、ゼウスから、「もっと自由にしろ」と言われた。そして、「旅人にでもなれ」と言われたから、本当になった。
時間を移動するという事は、それと同じ数の別れもあった。けど、悲しくはない。そこには、無限にも等しい出会いがあったから。
それに、行こうと思えば以前行った時間に行く事もできたから。
そしてある時、ゼウスからある手紙が届いた。
その手紙には、こう書いてあった。
『アジ・ダカーハの討伐を頼みたい。出来れば、大和に協力してやってくれ』
どうやら、大和を助けろと言いたいらしい。
僕はニタリと笑って、その世界に行った。
僕は今、カイネという名を捨ててる。
代わりに、適当さ極まる『R』と言う名前でいる。考えたのはゼウスだ。何のひねりもないし、そもそも僕のどこにも関係していない。けど、気に入ってはいたけど。
そして、今僕の目の前には、大和がいる。
フルネーム、村雨 大和。
槍使い。神であるブラフマー、シヴァ、ヴィシュヌの三人と契約した、逸材だと聞いている。今ではアフラ・マズダとやらとも契約しているらしい。
まだまだ未熟だ。
まだ、大和は僕の事を見つけていない。
どうやら、悩んでいる様だ。……アジ・ダハーカをどうするかで悩んでるのか。
よし。
僕は大和の前に姿を現し、こう言った。
「なら、そいつは俺が倒してやろう。アジ・ダハーカ、だっけ?」
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