第4話
/参
僕の右手には、光を放つ剣が握られている。これは正式な勇者にだけ贈られる「勇者の証」であり、史上最強とさえ言われる伝説の武具。その剣に名はない。大体は、「無銘剣」とか呼ばれる。勇者を嫌う人からは、「
形状は刀そのもの。大きさも誰もが知る刀と同じだ。僕は
光と同時にその剣、いや、刀は雷を孕む。触れる者を消し飛ばすほどの力を秘めた究極の武器だ。試しに北の森の中で大木に振るったところ、大木に触れた所から半径五十メートル近くが消し飛んだ。それ程だった。
今、僕の目の前には魔物がウヨウヨいる。それも上位個体の“龍型”がウヨウヨ。数は軽く数千を超える。まるで蟻の大群を見ている様だ。いや、空を飛んでいる個体もいるから蝙蝠でもあるかもしれない。
僕をタルテトに行かせないために、なのだろう。僕とタルテトの間に立ち塞がる。
あぁ、イライラする。
全く邪魔だ。
僕は右手の刀を両手で持ち、
僕はそれを容赦無く振るう。すると刀身に纏わりついていた光が宙を飛び、光の斬撃となって魔物に近づく。そして、魔物に衝突したその時その光は弾け、爆発を引き起こす。
……そして次の瞬間には、辺り一帯が全て消し飛んでいた。当然、魔物も。
この時僕はどれ程辺りを消し飛ばしたかを知らなかったが、どうやら僕は半径一キロの大穴を開けていたらしい。
そんな事が、これで合計七回目。振り返ると、一部分が丸く斬り取られた山があったり、今の様なクレーターがあったりする。空には雲が絶え間なく流れているはずなのに、見渡す限り青空だ。全部、吹き飛ばせた。
「待ってろ、タルテト! 待ってろよ魔王……ッ!」
僕はそう叫び、また目の前に現れた魔物に向けて剣を振るう。今回は縦に。
するとまた同じ様に光の斬撃が飛ぶ。だが今回は衝突しても爆発は起きず、代わりにずっと斬撃のまま突き進んでいった。
斬撃が通り過ぎた直後、魔物はバラバラに粉砕され、消失。更に地面に大きな一直線の切り傷を付け、そこからは溶岩が噴き出した。無駄に熱そうだったので、剣を軽く振ってマグマを冷却、凍結させ、崩壊させる。
そして、また僕は街に向けて走る。
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