なんだ、大きな猫じゃないか。

作者 芝村裕吏

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★★★ Excellent!!!

いくら猫でも、それが二間(ざっと3m半以上)もあれば、立派な猛獣だと思うが、あくまで「ただ大きくて可愛い猫」である点は、ファンタジーな存在。そうした不思議の側の存在(もしかしたら猫の神さまか、猫妖精かもしれない)が、恐ろしく洒脱な文章で描かれる。冒頭の書き出しから、気だるい夏の空気の包み込まれ、そのまま一気に読んでしまった。繰り返し主張される「熊本人気質」もくすりとさせられ、まさに珠玉の短編だろう。

★★ Very Good!!

かつての文豪のような語り口で語られる話がどうなるかと思ったけど、懐かしい地名や言葉と合わせてにんまりほっこりしました。
順番を決めたり、解散させられる段も肥後の議論倒れになるかと思いきやナイスなやり方で回避、でもやっぱり熊本県人を思わせてくれて笑っちゃいました。
この先、猫と彼がどうなるか先が読んでみたくはなりますが、ふわっと終わるこの終わりも好きです。

★★★ Excellent!!!

 この作品がおもしろいのは、著者がプロだから? 有名人だから? いいえ、違います。おもしろいからおもしろいのです。たとえこの作品が無名の誰かが書いた物語でも、間違いなく私は「おもしろい」と言っていました(作品を見つけることができるかどうかはさておき)。そして、そんな作品を書ける人間は決して多くありません。

 「大きな猫がいる」という、ただそれだけの状況、たった1つのフックからここまで魅力的に掌編を描ける人が、どれだけいるでしょうか。文体の端々から感じられる筆力と、たしかな知識にもとづいた説得力のある描写。そして、猫と熊本への愛。

 この物語の舞台となった場所へ行きたいと、そう強く思わせる魅力がこめられた作品です。

★★★ Excellent!!!

地元愛に溢れる物語です。
熊本の土地勘に明るければ、ああ、なんとなくあの辺りで褌一丁だったのかとその様子が目に浮かびます。虎退治と息巻きながらも、将棋を指して荒事を起こさず解決しようとする様が滑稽で愛らしいです。どこか抜けている熊本人です。
して大きな猫がたいぎゃむぞらしかです!(そして、大きな猫がとっても可愛いです)
誰や、虎んごたるとかいうたモンは!(誰だ、虎のようだとかいう奴は!)
物語を読み進める最中、そんな風に頭の中でツッコミを入れていました。
作者の芝村さんについて今更言うまでもない話ですが、セリフや解説に頼らず、言い回しや小道具、背景、わずかなキーワードでその時代を表現される手法が大好きで、いつも勉強させていただいております。

追伸
熊本でしたらまた飲み会開きます!

★★★ Excellent!!!

登場人物がどういう人間で、どういう性格で、どういう生活を送っているのか、そんな想像がどんどん広がる。
技巧によるものというよりも、作者が日頃からいかに人を観察し、分析し、理解しようとしているか…そんな作者の生き方が反映されているからなのだろう。
ここまで人を好きになれるのはうらやましい。