概要
孤立無援の人々へ
戦後間もなく、東京周辺三十三カ所に突如出現した異空間。
〈こちら〉とは全く違う法則に支配された場所に繋がる「そこ」は〈不可知領域〉と命名され、いつしか〈迷宮〉と通称されるようになる。
それから半世紀以上が過ぎた現在、〈迷宮〉はレアな物質を採取するための場所として認知され、東京という都市の風景にすっかりとけ込んでいた。
それら〈迷宮〉に挑む探索者たちは、一攫千金を狙う者か、それともなんらかの理由で一般社会から弾かれた訳ありか。
とにかく、まともな人間が迷宮に入る例は少なかった。
今日もまた、中学時代に不登校になって以来、長らく自宅に引き込んで無為無産な生活を営んでいた少年が、家族に無理矢理連行されて、迷宮前に捨てられ、もはや帰る自宅はないと宣言される。
生き残るために、少年は否応なく迷宮の中に身を投じた。
〈こちら〉とは全く違う法則に支配された場所に繋がる「そこ」は〈不可知領域〉と命名され、いつしか〈迷宮〉と通称されるようになる。
それから半世紀以上が過ぎた現在、〈迷宮〉はレアな物質を採取するための場所として認知され、東京という都市の風景にすっかりとけ込んでいた。
それら〈迷宮〉に挑む探索者たちは、一攫千金を狙う者か、それともなんらかの理由で一般社会から弾かれた訳ありか。
とにかく、まともな人間が迷宮に入る例は少なかった。
今日もまた、中学時代に不登校になって以来、長らく自宅に引き込んで無為無産な生活を営んでいた少年が、家族に無理矢理連行されて、迷宮前に捨てられ、もはや帰る自宅はないと宣言される。
生き残るために、少年は否応なく迷宮の中に身を投じた。