繋がりゆくもの
「きゃあああ! 思ったよりも可愛い!」
指定された場所に着いたその瞬間、浅葱を迎えたのは女のそんな声だった。
「うん?」
「うわ」
「……わー……」
誰だこれ? と首を傾げた浅葱の隣で、琥珀は少し眉を顰めた表情になり、千歳は何故か遠い目になって宙を見上げている。三者三様の反応だ。とりあえず浅葱は悟る。あ、割とあれか、これ面倒な感じの人なのか。悪い人じゃないけど、関わるともれなく対処に困る的な。そう理解した。で、結局この人誰ですか。
浅葱はこてんと首を傾げて、視線をやや横へとずらした。苦笑するような、どこか面白がるような表情をした、見覚えのある人物と瞳が合う。
燃えるような赤い髪の、小柄なカミサマ。籐条のカミサマ……とその存在を認識した時点で、あとはもう女の正体などさぁ悟れと言わんばかりだ。実際浅葱は、そこで察した。
あぁ、この人って、もしかしなくても籐条のご当主……と浅葱がその結論に思い至ったのと、少し癖のある長い髪を揺らして、女が瞳をキラキラとさせながら走り寄って ―― 否、突撃して来たのはほぼ同時のことだった。
「ぶっ!」
え、と思う間もあればこそ、気が付いた時にはきゃあきゃあと歓声を上げる女の腕の中に抱き込まれていた。ぎゅむっと、おそらくは全力での抱擁である。
浅葱とて、誰かに抱き締められるのは何もこれが初めてではない。もっと幼い頃には両親や年上の幼馴染みにも似たようなことをされたことはあるし、ある程度成長してからは下の弟妹を逆に抱き締めることもそれなりにあった。なので、抱き付かれたことに対する動揺はほとんどない。あったかいなぁとか、息苦しいなぁとか、柔らかいなぁとか、そんなことを思うだけだ。
「あー、いいわぁ、可愛いわぁ……! 朱緋よりもちょっと上って感じの子だって聞いてたけど、青嵐ぐらいかしらね? 身長。どっちにしろ前の当主様より断然いいわ! ふふふふ神様ありがとう!」
「神と呼ばれる存在なら、既にこの場所に結構な数がいると思うんだけれどね」
「あ、じゃ違うわ。むしろあたしの日頃の行いね。さすがあたし。それでこそあたし。わーい、かわいー!」
よく判らないぐらいにご機嫌な輩に絡まれているなぁ、と思いながら、浅葱はふぎゅ、と何とも表記し辛い声を上げた。あ、ちょっと、普通に苦しい。抱き潰されている。
ちょっとちょっと、手、緩めて……と声が出せないので代わりにぺしぺしと女の腕を叩いていたら、ようやくそれに気付いてくれた女があら? と腕の力を抜いてくれた。完全に離してくれたわけではなかったが、息苦しさは無くなったのでまぁ良しとする。
「ああ、ごめーん。感情が先走っちゃったわ。大丈夫?」
「まぁ、一応は……大丈夫」
「すまないね。真赭は一度暴走したら人の話なんて聞かないから、君の方が適当に諦めてくれると助かる」
何だかさり気なくすごいことを言われた。
諦めること前提、それはつまり生贄と言わないだろうか……と発言主へと視線を向ければ、夕焼け色の瞳をゆうるりと細めてにっこりと微笑まれた。……あ、肯定ですか。そうですか。
だがしかし、ここでそれに憤慨することも脱力することもないのが浅葱である。にこり、と微笑んだ朱緋の意図を正確に察しながらも、ひとつ小さく息を吐き出しただけだった。
「いや、まぁ……別にいいけど……」
「いやいやいやいや! ちっともよくねッスからね!? 若様!」
朱緋の言い分も、「あー……」と半ば諦めと共に実感として感じ取れる程度には、籐条の当主やカミサマの人柄を知っている千歳だったが、さすがに看過出来ない事態に突っ込みを入れた。何でそこ許容できちゃうんスか、ウチの若様は! てなものである。対する浅葱は首を傾げた。
「んー……、まぁ、死ななきゃいいかな、って……」
「そういう究極的なとこに基準を持ってくの止めてくださいッス!」
両者の言い分は、普通に千歳の方が圧倒的に正しい。が、今この場において、その『普通』がどれ程の力を発揮できるというのだろう。
おやおや……と楽しそうに肩を竦めた朱緋を背に、真赭が嬉々とした笑みを浮かべた。
「うふふふー、それじゃ遠慮なくー……」
完全に、浅葱の言葉を許しと取ったらしい。ぎゅむりと真赭は浅葱を腕の中へと抱え直した。力加減に微調整が加えられている辺りがさすがと言えばいいのか何なのか。
男女の位置が完全に逆転しているが、片やまだ成長期に差し掛かろうかという少年、もう片方は女性とはいえ成人している立派な大人である。構図的に真赭が浅葱を抱え込む形になるのは如何ともし難く、ついでに言えば浅葱はその辺のことにまったくもって頓着しない。徹頭徹尾、されるがままである。
かわいい、かわいいと飽きもせずに浅葱の頭を撫でていた真赭だったが、不意に鳩尾の辺りを押されているような感覚に、あら? と瞳を瞬いた。視線を落とせば、そこにははちみつ色の旋毛が見える。
「琥珀ちゃん?」
普段はあまり自分に近寄ってくることもない子供の珍しい行動に、真赭は再びぱちぱちと瞳を瞬かせた。
身長差の関係で、真赭の視点からだと見事に琥珀の旋毛しか見えない。自分にぴっとり貼り付くように ―― というか、鳩尾に加わっている力の方向性を考えると、どうも押しのけられようとしている気がする。そもそもの体格差というか、琥珀が飛び抜けて非力なせいで、真赭自体はその場からびくとも動いていなかったのだが。
ああ、と朱緋が微笑ましいものを見る眼差しになった。
「なーに? 琥珀ちゃん、どしたの?」
「真赭」
「うん?」
「そこで一生懸命頑張っている琥珀に免じて、浅葱を離してやったらどうだ?」
「え?」
どゆこと? と首を傾げながらも、真赭は浅葱を抱き込んでいた腕をぱっと離した。瞬間、両者の間に出来た僅かな隙間に、ぱっと琥珀が身体を滑り込ませる。そのままの勢いでぐいぐいと身体を押された浅葱は、逆らわず二・三歩後ろへと後退した。
「琥珀?」
自分の腰の辺りに抱き付くような恰好で、けれど視線はしっかりと真赭に固定したまま、尚もぐいぐいと押してくる琥珀を浅葱は不思議そうな表情で見下ろした。ちょっと行動の意味がよく判らないが、必死なその様子がかわいいなぁ……などという感想を抱いた辺り、浅葱は浅葱で歪みない。通常運転である。
ぎゅうっと、琥珀は浅葱回した腕に力を込めた。たいして苦しくもないので、浅葱は琥珀の好きなようにさせている。何か毛を逆立ててる猫みたいだなぁ……という感想は、とりあえず言わないでおいた。浅葱だって一応は空気を読む。
「ううぅ……っ」
「落ち着け、落ち着け。どうしたー?」
言葉が上手く出てこないのか唸るような声を発した琥珀の頭を、浅葱はぽんぽんと軽く撫でた。ううぅ……と再び唸った琥珀は、一度ぐりぐりと浅葱の腹の辺りに頭を押し付けた後、キッ! と背後にいる真赭を振り返った。
「だ……駄目、だからね……っ」
本人的には一生懸命睨んでいるのだろうが、その眼差しには迫力などまるでない。むしろ可愛らしいと称した方が良いだろう表情で真赭を見上げ、琥珀は駄目だからねと繰り返した。
「あげない、からね……っ!」
どうしてそこに認識が着地したのかなど、問うのは野暮というものだろう。
必至に言い募るその様子に、おやおや……と朱緋は瞳を細めた。随分と可愛らしくなったものだ、と感慨深い気持ちでそう思う。朱緋が琥珀に向ける眼差しは、確実に同年代に向けるものではない。
欲しいものを欲しいと、口にすることさえ出来ないような子供だった。
朱緋は、琥珀のことをそんな風に思っていた。いつだって求めているものを口にすることもなく、ただじっと何かに耐えるように小さくなっていた印象の子供。自分とそう年の変わらない相手を捉まえてのこの感想である。
健全な精神であればあるほど、ゆるやかに摩耗してゆくしかない。神代の家は、そんな閉じた場所だったように思う。多かれ少なかれ、五家はどの家であってもその傾向がある。とりわけそれが強かった神代の家の中にあって、琥珀はいつしか人として必要なものを忘れていった。失くすまでに至らなかったのは、きっと純粋に琥珀の強さだろう。それが良かったのか悪かったのかは、朱緋には判断が付かなかったけれども。
失くさなくて良かったんじゃないか、と。今になってそんなことを思う。
欲しいものを欲しいと口に出来なかった子供は、今は感情も露わに、手の中に在る物を抱き締めている。
求めることを知り、自分の中にある感情に随分と振り回されているようだが、それもまた笑みを誘われるものでしかない。年相応に可愛らしいものだ、と自分の年齢を完全に棚に上げた感想を朱緋は抱いた。
そうして、そう思ったところではた、と気付く。自分がそう思うぐらいだ。小さいものや可愛いものが大好きな真赭がこれを見てどう思うのか ――……、
「かっ……」
「『か』?」
「かっわいい……!」
感極まったようにふるふると震えながらそうのたまった真赭に、考えるまでもなかったな、と朱緋は思った。
興奮で赤く染まった頬を両手で挟みながらきらきらとした瞳を向けてくる真赭に、琥珀は素直に怯み、浅葱はあまりよく判っていない様子で首を傾げた。
実際はよく判っていないというよりも、いやウチのカミサマは確かに可愛いけどそれがどうした、と言わんばかりの思考回路である。表情にはこれっぽっちも現れていなかったが、浅葱の思考は割といろんな意味で残念仕様だ。
「かわいい、かわいい、かわいいぃぃっ!」
もはやそれ以外知らないとでもいうようにその単語を繰り返し、真赭は満面の笑みで両手を広げた。嫌な予感を覚えた琥珀が身を引こうとするよりも先に、真赭は浅葱たちとの間にあった距離を一瞬で詰める。そして。
「ふぎゃっ!」
「いやぁん、もう、二人纏めてかわいい……っ!」
なになに、琥珀ちゃんてばやきもちなの? かっわいー、とご機嫌な声を上げる真赭は、浅葱に抱き付いていた琥珀ごと浅葱を抱き込んだ。おかげでかわいいと称された琥珀が、真赭と浅葱の間で見事に潰れている。
「ちょっと朱緋、これって何事ー? 琥珀ちゃんがかっわいいことになってるんだけどっ」
「うん、ちょっと落ち着こうか、真赭。どちらかというと君の方が何事かと言われかねないことになっているよ?」
「朱緋から、琥珀ちゃんが新しいご当主様に懐いてるー、って話は聞いてたけど、想像以上だったわこれ。浅葱くんかわいいし、琥珀ちゃんがかわいいし、何これどうしたらいいのあたし!」
「……だから落ち着けばいいと思うッス」
「朱緋、朱緋! これ、二人纏めてお持ち帰りしても許されると思うんだけど、どう!?」
予想してはいたが、収拾がつかなくなってきた。
真赭は、小さいものや可愛いものが大好きだ。真赭にとっては、琥珀はおろか浅葱さえもその範囲内に入ってしまうらしい。
可愛いものが、可愛いことをしている。ということで、それを目の当たりにした真赭の言動は割とひどいことになっている。慣れている朱緋はものともしないが、律儀に突っ込みを入れている千歳は若干引き気味だ。
興奮のあまり人の話を聞かなくなってきた真赭に、どうと言われてもね……と苦笑を返しながら、朱緋はとりあえず力を緩めてあげないとそろそろ琥珀が死にそうになっているよ、と手遅れ感溢れる忠告を繰り出した。
* * *
顔合わせをするから、と宣言をされた。
前置きというものを一切排除した状態で、その決定事項を浅葱たちへと通達したのは、誰であろう籐条のカミサマ、朱緋である。縁側でひなたぼっこを兼ねたお茶をしていたところへ、唐突に現れてそう告げた。
比喩ではなく、誰もいなかったはずの空間にふっと姿を現した挙句の朱緋の通達に、浅葱はぱちりと瞬いて「あ、そう……わかった」と頷いた。反応薄っ!? と千歳に喚かれたが、浅葱の知ったことではない。驚いていないわけではなく、十分すぎる程に驚いたとも。カミサマすごい。半端ない。何で何もないところから現れるのか。
元々、何かしらがある度に五家の当主や真主が集まっていたことは浅葱も知っている。駆け落ち騒ぎから後は、そういった場には当主しか赴くことがなくなったが、割と定期的に集まりがあると出掛けていた。
今回の神代の当主の交代劇は、普通に議題に上る案件であろう。むしろこれを放置して他に何を話すのかというぐらいには、話題性と問題性に事欠かない代物である。なので、まぁ、近いうちに招集はされるのだろうなぁ……と、のほほんと日々を過ごす浅葱も思っていた。ただ、その日程があまりにも唐突で、なおかつ朱緋がびっくり手段でそれを伝えにくるというのは、さすがに予想の範囲外だったけれども。空間移動などという離れ業をあっさりと成し遂げてくださる籐条のカミサマに、浅葱はこういうの相手だと、警護とかまるっきり意味ないだろうなぁ……とそんなずれたことを考えた。うん、きっと気付いた時にはさっくりと害されていることだろう。警戒とか、意味がない。
カミサマ相手に真正面から挑むのがそもそもの間違いである。ここ最近で【異能】を目の当たりにする機会も増えた浅葱も、さすがにそう学んだ。まぁ、喧嘩売りに行く予定もないからいいけど……とさらりと嘯いた浅葱に、そッスねー、喧嘩は売ってないッスよねー、ただ真主様相手だろうがまったくもって物怖じも遠慮もしないだけで……と千歳の目線は遠かった。解せない。
朱緋と会うのは、これで二度目だった。
正確には浅葱が意識不明の重体の際にも神代の家を訪れていたようなのだが、当然の如く浅葱にその時の記憶はない。完治まで数ヶ月は掛かろうかというような怪我をひょいと治して帰って行ったという、反応に困る話を聞いただけだ。
あぁ、そういえば、と思って浅葱は目の前で涼やかな笑みを浮かべる朱緋へと視線を戻した。
「朱緋……さん?」
見た目的には年下だと思われるが、思わず敬称を付けたのは本能的なものだった。多分、下手な大人よりも取扱注意だと、浅葱の中の何かが告げた。
というより、そもそも名前がうろ覚えだったせいで若干上がり気味となった語尾に、それを向けられた側の朱緋は笑いを堪えるような表情で口元へと拳を当てた。実際、浅葱の考えていることなどある程度お見通しなのだろう。その上でくすくすと朱緋は笑い声を上げる。
「そう、僕は朱緋という。世間では籐条の神と呼ばれているね。朱緋で構わないよ。僕も君のことを浅葱と呼ばせて貰うから」
「そか? あー……敬語、とかは?」
「今更君に敬語を使われることほど微妙な気分になれることはないね。いいよ、普段の口調で構わない。そもそも初対面がああだったわけだし」
初対面、というと ―――― 浅葱が血みどろで、先代当主が黄泉を渡り終えていて、琥珀がぶち切れていて、そして朱緋が強かったあれだ。
血が足りない状態だったせいか、少しぼんやりとしているその記憶を断片的に並べただけでも、かなりどうかと思える初対面の状況である。当然浅葱に余裕などは欠片もなかったので、他家のカミサマ相手に思い切り素の状態で接してしまった。
その初対面を踏まえて、今更敬語を使われても……というのが朱緋の言い分であるらしい。ごもっとも、とむしろ浅葱も納得した。
実のところ、朱緋が名前を呼んでも構わない、と許す範囲は極端に狭く偏りがあるのだが、幸か不幸か浅葱はそれを知らない。驚いたようにまじまじとした視線を寄越す琥珀に、お前は少し腹芸というものを覚えた方が良いよ、と朱緋が肩を竦めて笑う。咎めるつもりはないらしい。
「朱緋」
許しを得たので、浅葱はもう一度朱緋の名を呼んだ。夕焼け空の瞳が、浅葱を振り返る。
「ありがと。助かった」
「ああ、別に構わないよ。然程の労力でもない」
「ううん、伝言を届けて貰ったことだけじゃなくて、前の……怪我を治して貰ったこととか、その他諸々のお礼」
その他で括られた範囲が多岐に渡りすぎている気はするが、この際それは脇へと置いておく。
気が付いたら、当主の座に据えられていた。その過程をお礼ひとつで賄えるなどと思ってはいない。とりあえずこれは、浅葱の気分の問題だ。
「まだ、言ってなかったと思って ―――― ありがとう」
己へと施されていた教育が、その言葉を口にさせた。
思いもよらない立場に押し上げられることになったわけだが、浅葱自身に不満はない。むしろ先程も告げた通りに助かった、と思っている。
流されたわけではなく、選択肢を与えられた。
つまりはそういうことだろう、と浅葱は理解し、それ故のお礼の言葉である。
素直で飾り気のない、そのままの意味しかない言葉だったにも関わらず、朱緋の表情に理解の色が広がるまでに少しばかり時間が掛かった。
「まぁ……どういたしまして、と言っておこうかな。こちらにはこちらの思惑があるし、純粋な好意からの行動でもないんだけれどね」
「うん、その辺はそれはそれで構わないんだ。そっちの考えてることがどうであれ、俺としては琥珀の隣にいてもいいって言って貰ったようなもんだし」
「……そう」
浅葱の言葉は、どこまでいっても浅葱の本心でしかない。出会ったのはこれで数度目、その程度の付き合いであっても、向けられた言葉に嘘がないことぐらいは朱緋にも判った。
それでも。
「やっぱり君、変わっているね」
苦笑と呼ぶにはあまりにも柔らかな笑みを履いて、朱緋は軽く首を傾げた。
利用されていると知りながら、それでも構わないとあっけらかんと言い切ってしまえる人間がどれ程いることだろう。理解していても、そこには何らかの負の感情が入り雑じるものだろうに、浅葱にはそれがない。構わない、助かったとお礼まで言う始末だ。
「あー……。何でかそれ、よく言われる」
何でだろうな? と大真面目な表情で言う浅葱に、朱緋は今度こそ声をたてて笑った。
「さぁ? 何でだろうね。―― ところで」
「うん?」
「そこで軽く琥珀が死にそうになってるんだけど、それはいいのかい?」
「え」
朱緋がにこやかな笑みと共に指差した先、そこには俯いた琥珀が浅葱たちから顔を背けるようにして肩を震わせていた。金色の髪の毛の隙間から、赤くなった耳たぶが覗いている。
これは、つまり……、
「あのな、前も言ったけど。俺は、お前の隣にいたいと思ってるよ」
「くっ……繰り返さなくても、いい……っ!」
思ったことを思ったままに口にする浅葱の台詞は、時として結構な破壊力を持つ。直撃を喰らい、今正に襲い来る何かと必死に戦っている様子の琥珀の姿に、浅葱は実にさらりと追い打ちを掛けた。
どう見ても琥珀の分が悪い一連のやり取りに、千歳は琥珀の手元からひょいと湯呑を取り上げた。近くに置いておくと零しかねないから、という配慮らしい。慣れきった対応に、朱緋は行儀悪く二人の方を指差しながら千歳に問うた。
「あれは放っておいてもいいのかい?」
「割り込んだ方が馬鹿見るッスよー。あれで通常運転ッス」
「なるほど」
そうだろうな、と納得できる辺りがどうだろうか。
お茶飲みます? と問う千歳に、朱緋は緩く首を振った。
「いや、構わなくてもいい。すぐに帰って来いと言われているしな。伝達事項は伝えたし、お暇するよ」
仲良く戯れる二人に限らず、千歳も随分とこの場に馴染んでいるようだ、と朱緋は思う。神代には珍しい類の軽めの性格は以前と同じだが、前以上に楽しそうに見えることも確かだ。
「そー見えるッスーぅ?」
「見えるな」
「真主様はともかく、若様に振り回されまくってて、俺、超大変なんスけどーぉ?」
「生きている、という感じがするだろう?」
心を殺して、何事もなく、誤魔化しながら生きるよりも。
ずっと、生きているという実感があるだろう……?
さらりと返された朱緋の言葉に、一瞬千歳は動きを止めた。ひた、と定められた視線を平然と見返して、朱緋は涼しげな笑みを浮かべてみせる。本心の掴み難いそれを前にして、先に根負けしたのは千歳の方だった。
「あー……はいはいはい。否定はしないッスよ……」
「おやおや……お前も随分と素直になったものだね」
「もう何とでも言ってくださいッスー。…………若様相手だと、捻くれた対応する方が難しいんスよ」
最後にぼそりと呟かれた台詞にこれでもかというぐらいの実感がこもっていて、朱緋は思わず笑ってしまった。恨みがましげな視線を寄越されたが、そんなものを気にするような可愛げはない。
「悪いことではないと思うけれどね」
「……そッスね。毎日が楽しくなってきたのは確かッス」
「おや、素直」
「んじゃ、その素直な俺にご褒美くれないッスかねー。―――― その顔合わせ、危険はないんスか?」
すとん、と。千歳の声の温度が下がった。口調だけはいつもと同じ、けれどひんやりと触れれば切れそうな程の冷たさと鋭さを兼ね備えた声音。朱緋はそれに一瞬驚いたように瞳を瞬かせたものの、すぐにいつもの笑みを浮かべてひょいと肩を竦めてみせた。
「さぁ……どうだろうね?」
「朱緋様、真面目に答えてくれると嬉しいんスけど……?」
睨まれた。朱緋は肩を竦めたまま、降参とでもいうように両手を軽く上げる。
「いや、悪いね。別にふざけているわけではないんだけれど」
「その割にはどーもからかわれてる気がしてならないんスけどー?」
「お前は僕のことを何だと思ってるんだい」
さすがに朱緋が突っ込んだが、それも怒っているというよりは呆れている調子が強い。もしくは面白がっているような様子も見える。
からかって遊ぶつもりはないのだが、千歳の問いは例え真剣に答えても朱緋の答えは変わらなかった。
「すまないが、その辺は本当に判らないんだ。籐条と鶴来以外がどう出るか……意外と読めないものでね」
「……そッスか……」
「元より、まったく危険がないなんて、お前も考えてはいないだろう?」
「そこまでお気楽にはなれねッス」
「そうだろうね。僕もだよ」
軽く同意を返して、朱緋は薄く笑みを浮かべる。
僅かに、風が吹いた。僅かに冷たさを孕んだ風が、朱緋の着物の袖と、灯のような色の髪をさらさらと攫ってゆく。ゆっくりとした動作で瞳を伏せ、それから朱緋は再び顔を上げた。風は、既に止んでいる。
「とりあえず、籐条は神代……というよりも、浅葱かな。彼の敵に回ることはないよ。僕の名でそれは約束しよう」
「そこはさすがに疑ってないッス」
思惑がどうであれ、浅葱が神代の当主の座に就けるようにいろいろと骨を折ってくれたのは朱緋たちだ。そこから疑っていたらきりはないだろう。すっぱりと返答した千歳に、それはどうも、と朱緋は笑う。
「あとは、鶴来。これも判り易く、顔合わせには欠席だね」
「でしょーねぇー。真主様たちの駆け落ち騒ぎからこっち、まったくもってウチと関わり持とうとしてないッスもん」
「そう。だからある意味行動は読みやすい。鶴来と神代の間にある確執は、当主ではなく真主に関わるものだからね。当主がすげ代わったところで鶴来の方針は変わらない。まず神代に積極的に関わろうとはしないだろうさ」
「んー……まぁ、実害がないならいいッス。とりあえず、しばらくは放置の方向で」
「それが妥当なところだろうね」
朱緋はひとつ頷いた。
五家、とひとくくりに称されることが多いものの、五つの家が纏まって動くことなどほとんどないと言ってもいい。五家はそれぞれの家で独立した気風があり、横の繋がりはそう強くない。せいぜいが、個人的な付き合いがあるかないかといった程度だろう。神代と鶴来のように、思いもよらぬことから犬猿の仲になってしまった家もある。
一枚岩ではないのだ。表立って敵対するわけではなくとも、進んで協調するような間柄とも言い難い。だからこそ。
「縁と吾妻、あの家がどう出るかは、当日になってみないと判らなくてね」
少し困ってはいるんだ、と朱緋はため息を吐いた。薄く笑みを浮かべたまま言い放った言葉は、けれど確かに朱緋の本音でもある。
「千歳、両家の当主たちと会ったことがあるかい?」
「縁の当主様と真主様には会ったことあるッスねー。吾妻は……多分、代替わり前の当主様にしか会ったことねッス」
「ああ、あそこの当主は数年前に変わったばかりだからね……」
「真主様の方はそのまんまなんでしたっけ? 眼鏡の女の子」
「そう。あそこの子は、若葉、というんだ」
そッスか、と相槌を打ちながら、千歳は視線を宙へと投げた。朱緋には告げていないが、縁の真主にはつい最近会ったばかりである。―――― ついでに言えば、おそらく当主にも。千歳自身は対面していないが、十中八九浅葱が出会ったという老婦人、それが縁の当主であろう。見覚えのない茶菓子を手に語られた出来事に、朝っぱらから頭を抱えたのは記憶に新しい。何でそういう妙な事態に巻き込まれるんスか、若様。
記憶を遡れば、千歳と浅葱の初対面 ―― 確かあの時も浅葱は鶴来の双子の神様に拉致監禁の類を決行されていた。その巻き込まれ体質はどうなんだ、と千歳は思う。しかもそれだけ巻き込まれておきながら、当の本人がこれっぽっちも動じていない事実が何とも言えない。
つらつらと思考を展開したところ、うっかりと痛々しい記憶まで掘り起こされてしまい、千歳は渇いた笑みを浮かべた。……いや違う、今はそうじゃなくて。
「若葉様……てーと、なんかこう……すっごいきりっとした、真面目な感じの子だった気がするんスけど……」
「まぁ……それで間違ってないよ。あれは堅物だから。本人に少し余裕がないせいもあるけど、どこか尖った物言いをする子だよ」
「ふぅん……」
それって昔の真主様みたいッスねぇ……と考えて、考えたところで、あれ? だったら問題なくね? と千歳は思った。
「…………そういえば、なんスけど」
「うん?」
「そういう感じの子、うちの若様誑すの得意なんスよねぇ……」
今も正に誑されている様子の自家のカミサマを見やって、千歳はしみじみと呟いた。やたらと実感がこもっている。
一拍置いて、朱緋が呟いた。
「……何故だろう、何だか吾妻に関しては大丈夫そうな気がしてきたよ」
「俺もッス」
千歳は若葉という名のそのカミサマのことはよく覚えてはいないが、ぼんやりと残っている印象がどうにも琥珀と重なる。おそらくは素直なくせに言動があまり素直じゃない感じの女の子だ。……ああ、うん。何だか大丈夫そうな気がしてきた。
お互い目を合わせることもなくそんな会話を繰り広げた後、朱緋がまぁ今回は吾妻も欠席らしいんだけどね、と言った。
「ちょ、それ早く言ってくださいッス」
「まぁ、別件で顔合わせの日は都合が付かない、っていう連絡を貰ってはいるんだけどね。欠席とはいえ、吾妻が何もしないとも言い切れなかったから。―― うん、今の一瞬で、懸念が妙な具合にふっ飛んでしまったわけなんだけれど」
「……一応、保留で」
警戒しておくに越したことはない、と千歳は結論を出すのを先送りにした。
「あとは ―――― 縁、なんだけれど……」
残る家名を呟いて、朱緋は肩を竦める。
「縁……まぁ、吾妻もなんだけれど、あそこの当主は別に悪い人たちじゃない。一般的に見て、良識のある人たちだ。身内はとことん大切にする性質だよ」
「へぇ……」
「でも、だからこそ、だろうね……敵と認識したものには容赦しない。そんな苛烈な面も持ち合わせている」
そこが厄介だ、と朱緋はため息を吐き出した。
「正直、顔合わせの場でどうなるかは、僕にも判らない。絶対に大丈夫、なんて保障もできないから ―――― 心して来ることだね」
後悔はしたくないだろう? と朱緋が笑みを残してくるりと踵を返す。そろそろお暇するよ、と告げる彼を、千歳はそのまま見送った。それじゃあまた後日、と声だけ残して、小さな背中が昼下がりの空気に溶けて消えてゆく。
その様をじっと見やっていた千歳は、朱緋の姿が完全に消えてから数泊の間を置いて大きく息を吐き出した。肺の中の空気をすべて吐き出すような、そんなため息だ。
「『心して』、ねぇ……」
言われたことは、よく判る。千歳だって後悔はしたくはない。
真っ赤な顔でべしばしと浅葱の肩を叩いている琥珀の姿を見やって、まーた何言われたんスかねぇ……と千歳は小さく笑みを浮かべた。ああ、ああ、そうッスね……と誰に聴かせるわけでもなく呟く。
「腹、括るしかないってことッスねぇ……」
閉じた瞼の裏側で、光が揺れている。
ゆらゆら、ゆらゆら。
その眩しさに瞳を閉じたまま、千歳はよし、と自分を叱咤するように、小さく声を上げた。
それが、三日前。本当に、つい先日の話である。
「朱緋様」
「なんだい?」
隣に立つ赤い髪のカミサマに、千歳は妙に真顔のまま問うた。
「心して、っていうのは、こういう事態を予測して言ってたんスか?」
「正直、予想外だったかな」
あっさりと朱緋がそれに応じる。すべてを見通すような言動をするカミサマにしては珍しい否定の言葉だ。けれど千歳は、朱緋のその言葉をそのまま鵜呑みにすることはなかった。じとり、とした視線を向けてくる千歳に、朱緋は肩を竦めて笑ってみせる。
「さすがに僕も、ここまでの事態は想像していなかったさ」
「……つまり?」
「真赭が暴走するところまでは予想通りだったかな」
いけしゃあしゃあととても良い笑顔で言い切ってくれた朱緋に、千歳はあああもう! と声を上げた。
何だ、何なのだ。自分は覚悟してこの場に来たはずなのに、今のこの状況は何なのかと問いたい。問いたいが、答えてくれなくてもいい気がしている。だってそれを聞いたら落ち込みそうだ。
そこまでは予想していた、という真赭の正に暴走と呼ぶに相応しいあれこれは、とりあえず今は落ち着いている。何故かと言えば、真赭と浅葱の間に挟まれていた琥珀が文字通り潰れたからだ。死んではいないが、状況的には圧死である。さすがにそこで真赭が我に返り、現在は潰れた琥珀を介抱している。
その傍らで。
「あ、そうだ竜胆。飴持って来たぞ?」
「わーい、ありがとー」
「伝言貰った通りに葡萄の飴持って来たけど……それでいいのか? 他のもあるぞ?」
「んーん、これがいい」
浅葱は何故か、縁のカミサマと全力で和んでいる。さすがにこれは予想外だったさ、と朱緋は笑った。
「というか、伝言って何だい?」
聴こえてきた会話の中から気になる単語を拾い上げて、朱緋は問うた。
「ん? あー……えっと、縁のご当主様に……」
「桔梗、だよー」
「え、あ、桔梗さん? に、竜胆がまた葡萄の飴欲しいって言ってた、みたいな伝言貰って」
それで飴持って来てみた、と浅葱の返答は何だか斜め上なシロモノだった。
「ちょっと若様、それ、俺聞いてねッス」
「うん、言ってない」
「いやいやいやいや! 堂々と言い切ってないで、そういう報告はしてくださいッス!」
「と、言われても。俺、あれって半分ぐらいは夢の中の出来事だと思ってたし」
「へ?」
「布団の中で寝てたはずなのに、気付いたらどっかの茶室でお茶振る舞われてて? そこで帰り際に伝言貰って、再び気付いた時にはちゃんと布団の中で寝てました ―― みたいな?」
「……すんません、若様。何言ってるのかよく判んねッス」
意味が不明だ。ものすごく。
千歳の言い分はもっともだったが、一方でおおよその事の次第を飲み込めてしまった朱緋は、胡乱な視線をそもそもの原因へと投げた。
「桔梗?」
それは、縁の当主の名だ。品の良い笑みを浮かべた老婦人 ―― 桔梗は、口元を着物の袖で覆い隠した。
「ふふ……迷い家を、一夜限りで開かせて頂きましたの」
迷い家、というのは桔梗の持つ【異能】の一部である。
夢と現の狭間、そう称すしかないような空間に、桔梗は己が思うがままに家を作れるのだ。それは正しく、自分が思うがままに振舞える世界の構築である。浅葱があの場所で感じ取ったことは概ね正しい。迷い家における桔梗は、条件付けはあるものの、ほぼ無敵と言ってもいい。
にもかかわらず、だ。要するに浅葱は、そんな手間暇掛けて開かれたその場所で、飴玉が欲しいという伝言を貰った、ということになる。
「……何だか途方もなく高度な手段で、この上なく気の抜ける伝言をされているような気がするんだけど……僕の気のせいかな?」
どことなく疲れた口調で朱緋に問われたが、浅葱としてはさぁ……? と答えるしかない。
「べーつに、いいんじゃないのー? それで誰も困ってないわけだし」
貰った飴を口の中に放り込みながら、竜胆がそう結論付けた。まぁ確かに誰も困ってはいないな、と浅葱は頷いた。
意味判んないッス……あああもう、俺ちょっと真主様の様子見に行ってくるッスー……と、がくりと脱力した様子の千歳を見送ると同時に、はた、と浅葱は気が付いた。顔合わせ、と言いながら実のところ初対面の人員がいない。普通ははじめまして、と言うための場所だろうに、と今更ながらに思う。えぇと……むしろ、あれだ。また会いましたね……?
朱緋には、それもどうなんだろうね……と微妙な眼差しを向けられた。
「顔合わせの前に顔合わせが済んでいるのもどうかと思うよ」
「いや、それ俺のせいじゃないし」
「そうね。私が顔合わせよりも先にあなたを見極めたかっただけだもの。それももう終わったわ」
あっさりと悪びれなく桔梗は言った。やんわりと細められた眼差しが浅葱を見る。
「縁の家は、新しい神代のご当主を歓迎しましょう」
「よろしくねー、浅葱」
「え、あ、うん。よろしく……?」
「縁は、神代を承認致します―― それで宜しいかしら? 朱緋様」
「……やれやれ。余計な手間が省けた、と喜ぶべきなのかな、僕は」
おっとりと微笑む桔梗に、朱緋は苦笑を浮かべた。えぇっと……と浅葱は首を傾げる。承認……? つまり……どういうことだ?
「僕たちは、君を歓迎する、ということだよ」
元々その為の集まりだ、と朱緋が言った。
五家の、顔合わせ。
それは文字通り挨拶をするためだけのものではなく、見極めの場も兼ねているのだという。他の当主や真主たちのお眼鏡に適った者だけが、本当の意味で五家として迎え入れられるのだと。神代の先代や鶴来の当主は、その限りじゃなかったけどね、と嘯かれた台詞が薄ら寒い。要するに、彼らは相応しくなかった、と言われたようなものだ。
縁は、迷い家にて見極めを終えた。籐条は、神代の先代が死んだその時に、既にそれを終えている。―――― 条件は、揃ったと。
「ようこそ、浅葱。『こちら側』の世界へ」
手を、差し伸べられた。
―― 見える世界が、違うのだという。
ここで認められるかどうかで、当主の【異能】の強さも代わってくるらしい。成程、先代の異能があまり強くなかったのはここにも原因があったのか……と、納得して浅葱は頷いた。
『こちら側』は、見える世界が、違うのだという。
神々の理が溢れた世界。そこでは出来ることが多くなる代わりに、人として生き辛くなるかもしれない。それでもこちらに来る覚悟はあるかと問われて、浅葱はこてりと首を傾げた。少しだけ、考える。
きっと、琥珀は既にその場所にいるのだろう。琥珀に限らず、千歳も、朱緋も、おそらくは今この場にいる者たちは皆、何らかの形でもって神々の理に関わっている。ならば考えるまでもない。
「こちら側でも、どこへでも。一緒にいたい人がいる場所へ、俺は行くよ」
迷いなく、浅葱は差し伸べられた手を取った。
そう、どちらでも構わないのだ。琥珀や、千歳や ―――― 浅葱が一緒にいたいと思った人が、そこにいるのなら。
浅葱は既に、その場所で生きてゆくと決めている。自分で、そう決めた。
見える世界が違っても、今更そこに、境界線なんて引かない。
何の気負いもなく言い切った浅葱に、君らしいね、と朱緋は笑った。
生きてゆく場所を、決めた。
神と人、境界線はどこにもない。
―――― それは、カミサマの傍で生きることを決めた、少年のお話。
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