概要
嘘でいいときみは言った。嘘のふりで僕は言うよ。最初で最後のこの言葉を。
深夜、一人暮らしのアパートに帰宅した高久は、包丁を持った侵入者と揉み合いになる。その拍子に怪我をした相手は、どうみても中学生くらいの少年だった。
前の住人を探しているという少年の思いつめた瞳に、追い出すこともできない高久は、とりあえず家に留め、事情を話すように説得する。
そして少年の口から語られたその内容は、ひき返すことのできない場所へと高久を連れて行くものだった。
乗り越えられない過去からの亡霊が目の前に現れたような錯覚に、高久は愕然とするが、少年には、彼自身も気づいていない秘密があって……。
前の住人を探しているという少年の思いつめた瞳に、追い出すこともできない高久は、とりあえず家に留め、事情を話すように説得する。
そして少年の口から語られたその内容は、ひき返すことのできない場所へと高久を連れて行くものだった。
乗り越えられない過去からの亡霊が目の前に現れたような錯覚に、高久は愕然とするが、少年には、彼自身も気づいていない秘密があって……。
おすすめレビュー
新着おすすめレビュー
- ★★★ Excellent!!!愛の意味を教わりました。
自分より、上位の価値を他者に見出すこと。
残酷な体験をした子供と、別のそれを救えなかったという自責の念を持ち続ける若者。
出会いが生きる力を与え合い、過去に縛られ前に進む意思すら持てなかった人々が、またいつか必ず会おうと未来を見つめる。
世界は暴力で動いている。
しかし、それを全身全霊で拒否すること。
世界を変えるために、自分の命を使う。
そして、進む道は違えど目的は同じ、支援し応援し合う仲間の存在。
美しく眩しい若き日の誓い。
いつの日か、主人公たちのその後を見たいという思いが抑え難いが、この物語が染み込んだ読者のみんなが、新しい世界に想いを馳せ、やがてはその想いが大きな流れを作り、世界…続きを読む - ★★★ Excellent!!!ヘヴィな話だが、キャラの力で引っ張って行ってくれる。読後感も良好。
重く、切ない題材の物語で、身につまされるような、胸が痛くなったりする場面もあるのですが、不思議とすいすい読み進められました。それは主人公が、決してスーパーヒーローではない等身大な普通の若者でありながらも、様々な葛藤を経ながら正義感を発揮して愛する者を救おうとする様が、感情移入をするのに絶妙なバランスで描かれていたからだと思います。何と言うか、自己を投影するのに丁度良い感じなんです。
また、主人公の愛情の対象となる人物が愛おしかったし、周りの協力者が実に頼もしく、魅力的だったのもそれに寄与しています。